上 下
390 / 527
第七章 王都

第四百八十五話 ゴルゴン侯爵家に突入

しおりを挟む
 僕は、ビクターさんとブラウニー伯爵と同じ馬車に乗り込みました。
 でも、ゴルゴン侯爵と嫡男が捕まっちゃうと、ゴルゴン侯爵家はどうなっちゃうのだろうか?

「レオも会ったことがあると思うが、嫡男の娘がいる。幼年で全く問題ないし、当面はその子が代理当主となる。というのも、ゴルゴン侯爵夫人に嫡男夫人にも捕縛命令が出ていて、今日中にも親戚一同に捜査の手が伸びるだろう」

 確か、王妃様とグレッグちゃんとのお茶会にゴルゴン侯爵が会わせようとした小さな女の子だっけ。
 あの小さい女の子が悪いことをしているとは考えにくいし、血縁的にも代理当主としては問題はない。
 きっと、しっかりとした誰かが後見人としてつくのだろう。
 ビクターさんも、ブラウニー伯爵の意見に同意していた。

「国家反逆罪が適用されるから、かなりの厳罰は避けられないだろう。取り潰しになるかは分からないが、周りへの見せしめも間違いなくあるだろう。ただ、陛下もその幼女には配慮するはずだ」

 もしかしたら、あの子は保護される可能性もありそうです。
 というか、間違いないと思うけどなあ。
 そうこうしているうちに、ゴルゴン侯爵家に到着しました。

 ドーン。

 という効果音が聞こえるくらい、物凄く大きな屋敷がそびえていました。
 間違いなく、フランソワーズ公爵家の屋敷よりも大きいです。
 更に、庭にも訳のわからない像が沢山あります。
 混沌度で言うと、間違いなくポール男爵家の比ではないです。
 そして、案の定というか門では押し合いになっていた。

 ガシャガシャ。

「陛下からの命令である、ここを開けるのだ!」
「ここは通さないぞー!」

 門を何とかこじ開けようとするけど、門兵が押さえつけていました。
 うーん、どうしようかなと思っていたら、シロちゃんが柵の隙間から庭の中に侵入しました。

 シュイーン、ズドドドドーン!

「「「グギャー!」」」

 ズササ。

 シロちゃんは、門兵をホーリーバレットの乱射で吹き飛ばしました。
 そして、門兵の懐に潜り込んで、鍵を奪い取りました。

 ガチャガチャ、ガチャ!

「はっはっは! これは凄いな」
「シロちゃんは、もっとやっても良いぞ!」

 シロちゃんの活躍に、ビクターさんとバッツさんは大喜びです。
 二人は、シロちゃんの強さを知っているからね。
 兵も勢いよく庭になだれ込んでいったけど、そこにも邪魔者がいました。

「「「ここは通さねー!」」」

 屋敷からどう見てもならず者と思わしき人たちが、短刀を抜いて襲いかかってきました。
 ここは、僕もシロちゃんに負けないように頑張らないと。
 杖を構えて、一気に魔力を解放しました。

 シュイーン、ズドドドドーン!
 シュイーン、ズドドドドーン!

「「「ウギャー!」」」

 僕がサンダーバレットを乱射したら、シロちゃんも再びホーリーバレットを乱射しました。
 うん、三十秒もかからずにならず者の制圧が完了しました。
 なんというか、あっという間だったよ。

「すげー、これが黒髪の魔術師の実力……」
「あのスライムも、半端なく強いぞ」
「俺たち、何もする間もなかったな」

 ついてきた兵が倒したならず者を拘束しながらブツブツと言っているけど、こういう時は先手必勝です。
 無理に倒さなくても、相手を動けなくすれば良いですもんね。

「ある意味、冒険者らしい考え方だな。安全を考えて対応している」
「でも、やっぱり凄い実力ですわ。流石はってところもありますよ」

 ブラウニー伯爵とアイリーンさんが感心しながら感想を述べていたけど、僕にとってはこのくらいは全然大丈夫です。
 屋敷の周囲を兵が取り囲み、屋敷に突入します。

 ガチャガチャ。

「くそ、やっぱり玄関を閉めているか」

 バッツさんが玄関ドアを開けようとしても、全然びくともしません。
 無理矢理ドアを開けようと思ったら、アイリーンさんが一歩前に出ました。

「ここは、先輩魔法使いらしいところをレオ君に見せてあげないとね」

 そういうと、アイリーンさんは目を閉じて右手を鍵穴の近くに寄せました。

 シューン、ガチャ!

 なんとアイリーンさんが魔法を使うと、玄関ドアの鍵が空いたのです。
 これには、僕もシロちゃんもビックリしました。

「もしかして、解錠の魔法ですか?」
「ええ、そうよ。無属性の魔法だから、レオ君も練習すれば使えるはずですよ」

 アイリーンさんは、僕が使えない魔法を使えるんだ。
 やっぱり、宮廷魔導士って凄いんだね。
 そして、屋敷内に入るとまたもやならず者が待ち構えていました。

「「「おらー! ここで終わりだ!」」」
「今度は、俺たちがやる番だぞ!」
「「「おう!」」」

 あらら、今度はバッツさんたちが先頭になって突撃しちゃったよ。
 しかも、手加減して木剣を使っているのに、普通の剣を叩き折っているよ。
 よく見ると、バッツさんの木剣が魔力でコーティングされていますね。

「バッツさんが本気で真剣を扱ったら、一振りで鉄の塊を切り捨てます。ミスリル製の愛剣で魔法剣を発動させたら、それこそ屋敷も切り捨てますよ」

 アイリーンさんがニコリとしながら説明してくれたけど、バッツさんはやっぱり凄い人だったんだ。
 あくまでも木剣は手加減用だけど、普通のならず者にとってはとんでもない脅威です。
 こうして、僕たちは屋敷の中をドンドンと進んで行きます。
しおりを挟む
感想 147

あなたにおすすめの小説

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

殿下、恋はデスゲームの後でお願いします

真鳥カノ
ファンタジー
気付けば乙女ゲームの悪役令嬢「レア=ハイラ子爵令嬢」に転生していた! いずれゲーム本編である王位継承権争いに巻き込まれ、破滅しかない未来へと突き進むことがわかっていたレア。 自らの持つ『祝福の手』によって人々に幸運を分け与え、どうにか破滅の未来を回避しようと奮闘していた。 そんな彼女の元ヘ、聞いたこともない名の王子がやってきて、求婚した――!! 王位継承権争いを勝ち抜くには、レアの『幸運』が必要だと言っていて……!? 短編なのでさらっと読んで頂けます! いつか長編にリメイクします!

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

【完結】平凡な容姿の召喚聖女はそろそろ貴方達を捨てさせてもらいます

ユユ
ファンタジー
“美少女だね” “可愛いね” “天使みたい” 知ってる。そう言われ続けてきたから。 だけど… “なんだコレは。 こんなモノを私は妻にしなければならないのか” 召喚(誘拐)された世界では平凡だった。 私は言われた言葉を忘れたりはしない。 * さらっとファンタジー系程度 * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

悪役令嬢日記

瀬織董李
ファンタジー
何番煎じかわからない悪役令嬢モノ。 夜会で婚約破棄を宣言された侯爵令嬢がとった行動は……。 なろうからの転載。

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。