上 下
304 / 527
第六章 バーボルド伯爵領

第三百九十九話 グラウンドでの訓示

しおりを挟む
 グラウンドに兵が整列しているけど、警備についている人以外全員が並んでいるのかな?
 凄く沢山の兵が並んでいるね。
 そして、一番前に偉い人たちが並んでいて、演台もセットしてありました。
 これから、演説が始まるんだ。
 まず最初に、軍務大臣のブランドルさんが話し始めた。

「諸君、おはよう。最近、軍の怪我人も数多く復帰し訓練もかなり捗っていると聞いていた。私も、今回の視察を心待ちにしていた。しかし、あってはならない事件が起きた。事件を起こしたのはどうしようもない者だが、諸君を見る周りの目も変わってしまう。とても残念な事だ。常に自分たちが周囲に与える影響力を考える様に。我々が守るべきもの、それは国家であり国土であり国民だ。守るべきものを自覚し、日々の訓練にあたるように」

 ブランドルさんは、昨日の事件の事を話の中に入れてくれた。
 それに、改めて軍が守るべきものを訓示していた。
 兵の表情は見えないけど、真剣に聞いているって感じだね。
 続いて、チャーリーさんが話をします。

「日頃から訓練し、国の為そして国民のために活動している皆に経緯を表す。さて、帝国の動向が不明の中、国境そして海上でも散発的な衝突が絶え間なく起きている。我が国が脅威に打ち勝つためにも、皆の力が必要だ。昨日起きた事件の件は、軍務大臣より話があったので私からは特に言及しない。しかし、皆の活動を支える多くの人がいるという事を忘れてはならない。日々多くの人に感謝し、これからの訓練に望んで貰いたい」

 チャーリーさんは、宰相らしく現在起きている事を含めて話をしていた。
 確かに、僕が訪れたところでも散発的な戦闘は起きていた。
 だからこそ、国を預かる宰相としてこの事を訴えたかったんだ。
 他にもマイスター師団長さんからの話だったりがあって、グラウンドに兵を集めての話は終了しました。
 偉い人たちが解散し、そして兵も解散しました。
 暫くすると、訓示をした人たちが師団長執務室に戻ってきました。
 お茶を出して貰って、一息ついていました。

「皆さんカッコよかったです。凄いお話でした!」
「はは、ありがとう。そう言われると、頑張った甲斐があったよ」
「気張って言わないと、部下に示しがつかない。話をするのは、肩が凝る仕事だ」

 チャーリーさんとブランドルさんは、ちょっと苦笑いしながらお茶を飲んでいました。
 やっぱり、偉い人でも人前で話をするのは大変なんだね。
 いつの間にかマイスター師団長さんが、ユキちゃんを抱っこしてもふもふしていたよ。
 えーっと、まだまだ朝早いけどこの後どうするんだろう?
 すると、これからの予定をコレットさんが教えてくれました。

「それでは、皆さまのこの後の予定をお伝えします。会議室にて幹部会議に同席頂いた後、グラウンドで行われる訓練の模様を見学頂きます。昼食は、皆様のご希望により大食堂になります。その後、王都にお戻りになられます。レオ君は、治療施設で重症者の治療をしてグラウンドに移動してね」
「ははは、私達の予定と一緒にレオ君の予定も言われるとは。レオ君も随分と偉くなったな」

 チャーリーさんは少し笑っていたけど、入院している人は少ないから重症者も全員終わっちゃうかも。
 それはそれで、とても良いことですね。

「それでは、皆さまご移動をお願いします」
「うむ、では行こうか」
「アオン!」

 そして、偉い人が立ち上がって会議室に向かいました。
 いつの間にかブランドルさんがユキちゃんを抱っこして会議室に行っちゃったし、ユキちゃんもやる気満々って表情をしています。
 僕もシロちゃんもぽかーんってしちゃったけど、グラウンドで合流するから大丈夫かな。
 僕とシロちゃんも立ち上がって、治療施設に向かいました。
しおりを挟む
感想 147

あなたにおすすめの小説

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

殿下、恋はデスゲームの後でお願いします

真鳥カノ
ファンタジー
気付けば乙女ゲームの悪役令嬢「レア=ハイラ子爵令嬢」に転生していた! いずれゲーム本編である王位継承権争いに巻き込まれ、破滅しかない未来へと突き進むことがわかっていたレア。 自らの持つ『祝福の手』によって人々に幸運を分け与え、どうにか破滅の未来を回避しようと奮闘していた。 そんな彼女の元ヘ、聞いたこともない名の王子がやってきて、求婚した――!! 王位継承権争いを勝ち抜くには、レアの『幸運』が必要だと言っていて……!? 短編なのでさらっと読んで頂けます! いつか長編にリメイクします!

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

【完結】平凡な容姿の召喚聖女はそろそろ貴方達を捨てさせてもらいます

ユユ
ファンタジー
“美少女だね” “可愛いね” “天使みたい” 知ってる。そう言われ続けてきたから。 だけど… “なんだコレは。 こんなモノを私は妻にしなければならないのか” 召喚(誘拐)された世界では平凡だった。 私は言われた言葉を忘れたりはしない。 * さらっとファンタジー系程度 * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

悪役令嬢日記

瀬織董李
ファンタジー
何番煎じかわからない悪役令嬢モノ。 夜会で婚約破棄を宣言された侯爵令嬢がとった行動は……。 なろうからの転載。

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。