上 下
281 / 527
第六章 バーボルド伯爵領

第三百七十六話 綺麗に洗われちゃった

しおりを挟む
 ネストさんとイストワールさんはこの後の僕の歓迎会の準備があるそうなので、僕とシロちゃんは応接室から今夜泊まる客室に案内して貰います。
 僕も歓迎会で着る服を確認しないと。
 客室のベッドの上に、ちゃんとした時用の上着とズボンと靴を取り出します。

「うーん、ズボンは半ズボンだけどきっと大丈夫だよね。勲章もばっちりしまってあるし、これで大丈夫です」

 シロちゃんと一緒に、色々な物を確認してばっちり確認できました。
 すると、客室のドアがノックされました。

 こんこん。

「あっ、はい。どうぞ」
「失礼します。お風呂のご用意ができました。また、アイロンをかけますので歓迎会でお召しになる服をお預かりいたします」

 侍従の人が、客室の中に入ってきて要件を教えてくれました。
 ちょうど良いタイミングですね。
 僕は、服と靴一式を侍従の人に預けてそのまま後をついていきました。
 服と靴一式は途中で別の侍従の人が受け取って、着いた先はバーボルド伯爵家の大きなお風呂でした。
 僕は、侍従の人に促される形で服を全部脱ぎました。

「服も洗いますので、明日朝までにはお渡しできるかと」
「わっ、分かりました」
「ガウンを用意しましたので、お風呂上がりはご用意が終わるまでこちらをご使用下さい」

 な、何だか侍従の人がとってもやる気のある表情で熱弁していました。
 服を洗ってくれるのはとっても助かると、そう思っておきましょう。
 すると、侍従の人はお風呂の洗い場までついてきました。
 そして、スポンジを手にニコリとしています。

「レオ様、体の隅々までピカピカにしますので」
「あ、あのあのあの、僕は一人で体を洗えますので!」
「遠慮は不要です。それでは、洗わせて頂きますね」

 うう、僕は体の隅々まで侍従の人に洗われました。
 僕の体を洗い終えた侍従の人は、さっきよりも何だかお肌がツヤツヤとしていました。
 ついでに、シロちゃんもピカピカに洗って貰いました。

 ちゃぽん。

「ふいー」
「ふふ、レオ様、気持ちよさそうな表情をしていますわね」

 なんだかんだいって、僕のお風呂好きは相変わらずです。
 お湯が気持ちの良い温度なので、シロちゃんも思わずとろけちゃいそうですね。
 こうしてゆっくりとお湯で温まった後は、脱衣所でパンツをはいてガウンを羽織ります。
 何だか、ガウンを羽織ると貴族になった気分だね。
 そして、ここからが準備の本番でした。
 僕がお風呂場からとある部屋に案内されると、そこには沢山の侍従の人が待ち構えていました。

「お待ちしておりました」
「皆で、レオ様を可愛らしく仕上げていきますわ」
「まずは、少しだけ髪を整えましょう」

 それから暫くの間、僕は鏡のある化粧台に座らされて沢山の侍従の人に髪を整えてセットして貰ったり、歓迎会で着る服を簡単に直して貰ったりしていました。
 歓迎会で着る服は、実はちょっと小さくなっていました。
 手早くぱぱぱと服を直せるなんて、侍従の人は凄いですね。
 そして、たっぷり三十分をかけて僕の髪型と服装のセットが完了しました。

「とても可愛らしく、凛々しく仕上がりましたわ」
「これなら、王城の晩餐会に招かれても全く問題ありませんわ」

 侍従の人が、良い仕事をしたと額の汗をぬぐっていました。
 うん、確かにとっても良い仕上がりなんだけど、途中の侍従の人の笑顔の圧力が凄かったよ。
 シロちゃんも、僕から離れたところでじっと僕の事を見ているだけだったもんね。
しおりを挟む
感想 147

あなたにおすすめの小説

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

殿下、恋はデスゲームの後でお願いします

真鳥カノ
ファンタジー
気付けば乙女ゲームの悪役令嬢「レア=ハイラ子爵令嬢」に転生していた! いずれゲーム本編である王位継承権争いに巻き込まれ、破滅しかない未来へと突き進むことがわかっていたレア。 自らの持つ『祝福の手』によって人々に幸運を分け与え、どうにか破滅の未来を回避しようと奮闘していた。 そんな彼女の元ヘ、聞いたこともない名の王子がやってきて、求婚した――!! 王位継承権争いを勝ち抜くには、レアの『幸運』が必要だと言っていて……!? 短編なのでさらっと読んで頂けます! いつか長編にリメイクします!

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

【完結】平凡な容姿の召喚聖女はそろそろ貴方達を捨てさせてもらいます

ユユ
ファンタジー
“美少女だね” “可愛いね” “天使みたい” 知ってる。そう言われ続けてきたから。 だけど… “なんだコレは。 こんなモノを私は妻にしなければならないのか” 召喚(誘拐)された世界では平凡だった。 私は言われた言葉を忘れたりはしない。 * さらっとファンタジー系程度 * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

悪役令嬢日記

瀬織董李
ファンタジー
何番煎じかわからない悪役令嬢モノ。 夜会で婚約破棄を宣言された侯爵令嬢がとった行動は……。 なろうからの転載。

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。