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第六章 バーボルド伯爵領

第三百七十二話 軍の施設に到着です

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 僕とシロちゃんは、マイスター師団長さんが乗った馬車に乗り込みました。
 そして、馬車は直ぐに進み始めました。

 パカパカパカ。

「レオ君の噂は常に入ってくるけど、手紙を受け取ると更に色々な事も分かってくる。レオ君は、本当に周りの人に恵まれているね」
「はい、僕もそう思います。色々な人に助けて貰って、多くの事を学べました」
「ビクター海軍総司令官も、レオ君の事は凄腕の魔法使いだと高く評価していたぞ」

 馬車の中でも、マイスター師団長さんは僕の事をずっと話していました。
 サンダーランド辺境伯領やシークレア子爵領でも、沢山の良い人と出会えました。
 良い人だけど、物凄く強い人もいたね。

「レオ君が強くなるだけでなく、様々な社会経験を積んで大きくなるのを見るのも私達の楽しみだ。レオ君の事を気にかけている者は、レオ君が思っている以上に多いんだよ」

 そういえば、昨日子爵領の食堂であった冒険者のおじさんも、僕の成長を喜んでくれたっけ。
 そう思うと、旅で出会った人も僕を気にかけてくれているのかも。
 そんな事をマイスター師団長さんと話していたら、僕達を乗せた馬車が無事に軍の施設に入りました。

「わあ、とっても大きな施設ですね」
「王都周辺と直轄領を管轄する部隊だからね。軍人も働いている人も、かなりの人数になるよ」

 軍の施設は数多くの人が忙しく動いていて、何だか一つの街みたいです。
 そして、その中の立派な建物の前に馬車が停まりました。

「さあ、着いたよ。ここが、私の執務室のある事務棟だ」
「何だか、役所みたいな施設ですね」
「ほぼ役所に近い組織でもあるよ。それこそ、総務から武器の補充に後方支援に至るまで、何でも行うからね」

 馬車から降りた僕達は、階段を上がりながらチラリと見えたフロアについて話をしていました。
 多くの事務員さんが働いていて、時折僕達の事をチラリと見ていました。
 事務員さんは、女性の人の方が多かったです。
 そして、最上階の師団長執務室の前に到着しました。

 ガチャ。

「凄い、広い部屋ですね!」
「師団長ってのもあるから、それなりに格をつけているんだよ。昼食を用意させるから、ソファーに座ってくれ」

 僕とシロちゃんは、マイスター師団長さんに言われるがままに応接セットのソファーに座りました。
 すると、直ぐに制服に身を包んだ女性が、野菜サンドと飲み物を持ってきてくれました。
 どうも、事前にマイスター師団長さんと僕の分を用意してくれていたみたいです。
 マイスター師団長さんもソファーに座ったので、さっそく野菜サンドを食べ始めました。

「野菜にチーズとちょっとピリ辛なソースが挟んであって、食欲が進む味です。とっても、美味しいです」
「それは良かった。お腹空いているとおもうから、沢山食べてくれ」

 とても美味しい野菜サンドだったので、僕もシロちゃんもあっという間に完食しました。
 やっぱり、美味しい食事はパワーの源だね。

「この後、一ヶ月の予定を話すのだが、それはバーボルド伯爵が来てからになる」
「バーボルド伯爵領に関わる事もあるからですか?」
「レオ君は、理解が早くて助かる。軍に関わる仕事が殆どだがな」

 僕がお手伝いする事だと、やっぱり治療がメインなのかなって思っちゃうよ。
 この軍の施設には沢山の人がいるし、それだけに怪我をした人も多そうです。
 バーボルド伯爵が来るまでの間、マイスター師団長さんは書類を整理しながら僕に話しかけていました。
 少しだけ、セルカーク直轄領にいた事を思い出しちゃいました。
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