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第五章 シークレア子爵領

第三百五十九話 次の旅の予定

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 年末に近づいてきたある日、僕は仕事終わりにお屋敷に呼ばれました。
 一体何だろうなと思いつつ、僕はお風呂に入って着替えてから迎えに馬車に乗り込みました。
 応接室に案内されると、セルゲイさんとアンジェラさんだけでなく海軍司令官のワイアットさんもいた。
 余計に、何で呼ばれたのか分からなくなっちゃった。
 とにかく話を聞いてみよう。

「忙しいところ、来てもらって悪かった。話というのは軍関連の事なんだよ」
「軍、ですか?」
「軍といっても海軍ではない。陸軍の方だ」

 ワイアットさんが話し始めたけど、ワイアットさんは海軍司令官だから直接は陸軍とは関係ないはずだ。
 でも、お話は陸軍の方なんだね。

「レオ君は年明けに王都に向けて出発する予定らしいけど、その際に王都周辺にあるバーボルド伯爵領に寄って欲しいそうだ。ここには王都周辺や直轄領の対応にあたる軍の一大駐屯地があり、以前レオ君とあったマイスター師団長もいるぞ」
「わあ、マイスター師団長さんもいるんですね」
「そこで、訓練場の整備や治療を手伝って欲しいそうだ。マイスター師団長も、レオ君に会いたいそうだ」

 マイスター師団長さんに手紙を送ったりはしたけど、直接会うのはコバルトブルーレイク直轄領以来だ。
 僕もシロちゃんも、なんだか嬉しくなっちゃったよ。

「でも、僕は年が明けて少ししてから王都に向けて出発する予定ですけど、それで大丈夫ですか?」
「大丈夫だろう。一ヶ月くらいは滞在して欲しいそうだが、今回はお願いベースだから強要はしないよ」

 一ヶ月はいて欲しいということは、2月の終わりにはバーボルド伯爵領につかないといけない。
 となると、シークレア子爵領からバーボルド伯爵領までどのくらいかかるんだろうか。

「ワイアットさん、シークレア子爵領からバーボルド伯爵領まで馬車便でどのくらいかかりますか?」
「大体四日でバーボルド伯爵領に着く。バーボルド伯爵領から王都までは、数時間もあれば到着するぞ」

 思ったよりも早くバーボルド伯爵領に着くんだ。
 だったら、今後の予定も立てやすいです。

「二月半ばにシークレア子爵領を出発すれば、問題なくバーボルド伯爵領に到着しますね」
「その日程で問題ないだろう。バーボルド伯爵領駐留軍に連絡しておこう」

 という事で、まだ先だけど今後の予定が決まりました。
 でも、いよいよまた旅が始まるんだね。

「しかし、旗艦船の建造どころか高速船の建造にまで取りかかれるとは、やはりレオ君の力はとても大きかった。職人も、小さい子に負けてられないとやる気を出していたぞ」
「僕も、職人さんの技術はとっても凄いって思いました」
「シークレア子爵領が誇る造船職人だからな。彼らの技術は、王国内でも国内随一だ」

 僕とシロちゃんは材料を切るだけしかできなかったし、本当に職人さんは凄かったよね。
 造船場の人はとっても良い人だったし、しっかりと分業もできていたからプロの技術者集団なんだ。
 そんな事を思っていたら、今度はセルゲイさんから別の話がありました。

「あと数日で年が明けるが、年明けの元旦に海岸でイベントを毎年している。オリガさんなら詳しく知っていると思うけど、もし良かったら参加するとよい。ただ、朝早いがな」

 海岸でイベントがあるんだ。
 お祭りっぽいものなのかな?
 宿に帰ったら、オリガさんに聞いてみないと。
 ちょうどこれで話は終わったので、帰って速攻でオリガさんに聞いてみました。

「新年初めての日の出を見ながら、今年一年の海の安全を祈る祭りよ。日の出とともに、海の仕事に関わる人がパンツのみになって海に入っていくのよ。身を清めるみたいね」

 えっ、パンツだけで海に入っていくの?
 今は冬でとっても寒いから、海に入ったら凍えちゃいそうだよ。

「海から出てきたら、たき火にあたって温かいスープが出されるわ。それに、いつもザンちゃん達は参加するのよ。名物の祭りだから、観光客も沢山くるわ」

 うん、ザンギエフさんたちなら寒いのも大丈夫そうに思えます。
 ユリスさんも昔は参加していたらしいけど、流石に今は参加しないみたいです。
 僕も巻き込まれない様に、他の人と一緒に観戦組にまわろおっと。
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