257 / 527
第五章 シークレア子爵領
第三百五十二話 僕の初めての料理
しおりを挟む
翌日は教会でなくスラム街での出張治療なんだけど、ここにもライサさんがついてきました。
昨日と同じく護衛もついているし、出張治療の近くではモゾロフさん達が朽ちている建物を解体しています。
「いくぞー!」
「「「せーの」」」
バキバキバキ。
多くの人が、順々に建物を解体していきます。
僕もシロちゃんもライサさんも、出張治療の準備が整うまで解体現場から少し離れたところで見学しています。
今日は造船場も鉄板の搬入待ちで、手の空いた職人さんが解体のバイトをしています。
「こうして、徐々にスラム街の改善を進めているんですね。空いたスペースでは、集合住宅の建築が進んでいますし」
「そうなんですよ。シークレア子爵領は人口も増えておりますので、徐々にスラム街を解体できる様にしておりますわ」
今日はアンジェラさんが一緒についていて、ライサさんにスラム街解体の状況を説明していました。
集合住宅の建設も進んでいて、造船場で働いている男の子の一家も集合住宅ができたら移り住む予定です。
僕たちは治療の準備ができたので、出張治療の場所に向かいます。
「最近は、レオ君がいない時にも出張治療に来てくれて本当にありがたいぞ」
「レオ君がシークレア子爵領にずっといてくれる訳ではないので、ポーションや生薬を使って治療をしているんですわ」
治療を受けにきた老人がアンジェラさんと話をしているけど、僕も年が明けて少ししたら次の目的地に向かう予定です。
アンジェラさんはその事を分かっているので、早めに対策をうってくれています。
もちろん、僕もシロちゃんも治療できるときは全力で行なっているけどね。
「レオ君が来たのがきっかけですが、こうして色々なところの改善に乗り出す事ができました。私もいずれは嫁に行く身ですが、それまではシークレア子爵領の為に頑張って行きますわ」
「私も早くシークレア子爵領の一員になれるように、精一杯頑張りたいですわ」
もしかしたら、今日はアンジェラさんとライサさんがゆっくり話せるようにとセルゲイさんが配慮したのかもしれない。
二人の会話を聞いて、そんな事を思いました。
「今日は治療も順調ですし、重症の人もいないですね」
「今までレオ君が継続的に治療をしてくれたお陰ですわ」
午前中の治療も無事終了し、スラム街で解体作業をしている人向けに炊き出しを行います。
ここで、僕は初めての作業を行います。
トントン。
「えっと、こんな感じで良いですか?」
「そうそう、上手ですよ」
僕は、初めて料理を作ってみます。
シロちゃんは念動で野菜を浮かべてホーリーカッターで野菜を刻んでいるけど、僕はあえて包丁を使って野菜を切って行きます。
アンジェラさんと一緒に来ている侍従の人に教えてもらいながら、少しずつ野菜を刻んでいきます。
「指を切らない様に、猫の手で切るのがコツなんですね」
「そうですわ。料理も訓練を行なえば、誰でも上達しますわよ」
頑張って野菜を切ったけど、初めて教わる事が多くてとっても勉強になりました。
いつもユリスさんや食堂のおばちゃんの作った料理を食べているけど、料理って本当に大変なんだ。
今度は、刻んだ野菜とお肉を大きな鍋で煮ていきます。
と、ここでモゾロフさん達がやってきました。
「おっ、今日はレオが料理をしているのか。最初は薄味にして、あくを良く取れよ。段々水分が飛んで濃い味になってくるぞ」
「そういえば、皆さん料理が得意なんですよね。とっても羨ましいです」
「まあ、おやじとかーちゃんの手伝いを小さい頃からやっていたからな。野営とかで凄く役にたったぞ」
僕がお鍋の番をしているのを見て、セルゲイさんが色々とアドバイスをしてくれました。
料理を覚えれば色々な事に役に立ちそうだから、頑張って覚えないと。
ユリスさんとオリガさんの教えだと、とっても厳しい気がするね。
さてさて、味見をしてみてと。
「こんな感じでできました。どうでしょうか?」
「うん、良い感じですね。では、火を止めて器に盛り付けましょう」
「盛り付けは、私も手伝いますわ」
「私も手伝います。レオ君も頑張って料理をしましたね」
侍従の人の合格を貰ったので、僕はアンジェラさんとライサさんと一緒に作った料理を器に盛り付けます。
さてさて、みんなの反応は?
「初めて作ったにしては上出来だ。良い味だぞ」
「そうだな。良い感じにできているぞ」
職人さんが、ニカっとしながら僕に答えてくれました。
ユリスさんやオリガさん、食堂のおばちゃんに比べたら全くかなわないけど、それでも普通に食べられるスープが出来上がったよ。
僕もシロちゃんも、ホッと一安心です。
「黒髪の天使様が初めて作った料理を食べる事ができたなんて、絶対に他の方に自慢できますわ」
ライサさんは、なんだが別方向で僕の作った料理を食べて感動していました。
今度はもっと美味しい料理ができる様に、僕もシロちゃんも頑張って勉強しようと心に決めました。
昨日と同じく護衛もついているし、出張治療の近くではモゾロフさん達が朽ちている建物を解体しています。
「いくぞー!」
「「「せーの」」」
バキバキバキ。
多くの人が、順々に建物を解体していきます。
僕もシロちゃんもライサさんも、出張治療の準備が整うまで解体現場から少し離れたところで見学しています。
今日は造船場も鉄板の搬入待ちで、手の空いた職人さんが解体のバイトをしています。
「こうして、徐々にスラム街の改善を進めているんですね。空いたスペースでは、集合住宅の建築が進んでいますし」
「そうなんですよ。シークレア子爵領は人口も増えておりますので、徐々にスラム街を解体できる様にしておりますわ」
今日はアンジェラさんが一緒についていて、ライサさんにスラム街解体の状況を説明していました。
集合住宅の建設も進んでいて、造船場で働いている男の子の一家も集合住宅ができたら移り住む予定です。
僕たちは治療の準備ができたので、出張治療の場所に向かいます。
「最近は、レオ君がいない時にも出張治療に来てくれて本当にありがたいぞ」
「レオ君がシークレア子爵領にずっといてくれる訳ではないので、ポーションや生薬を使って治療をしているんですわ」
治療を受けにきた老人がアンジェラさんと話をしているけど、僕も年が明けて少ししたら次の目的地に向かう予定です。
アンジェラさんはその事を分かっているので、早めに対策をうってくれています。
もちろん、僕もシロちゃんも治療できるときは全力で行なっているけどね。
「レオ君が来たのがきっかけですが、こうして色々なところの改善に乗り出す事ができました。私もいずれは嫁に行く身ですが、それまではシークレア子爵領の為に頑張って行きますわ」
「私も早くシークレア子爵領の一員になれるように、精一杯頑張りたいですわ」
もしかしたら、今日はアンジェラさんとライサさんがゆっくり話せるようにとセルゲイさんが配慮したのかもしれない。
二人の会話を聞いて、そんな事を思いました。
「今日は治療も順調ですし、重症の人もいないですね」
「今までレオ君が継続的に治療をしてくれたお陰ですわ」
午前中の治療も無事終了し、スラム街で解体作業をしている人向けに炊き出しを行います。
ここで、僕は初めての作業を行います。
トントン。
「えっと、こんな感じで良いですか?」
「そうそう、上手ですよ」
僕は、初めて料理を作ってみます。
シロちゃんは念動で野菜を浮かべてホーリーカッターで野菜を刻んでいるけど、僕はあえて包丁を使って野菜を切って行きます。
アンジェラさんと一緒に来ている侍従の人に教えてもらいながら、少しずつ野菜を刻んでいきます。
「指を切らない様に、猫の手で切るのがコツなんですね」
「そうですわ。料理も訓練を行なえば、誰でも上達しますわよ」
頑張って野菜を切ったけど、初めて教わる事が多くてとっても勉強になりました。
いつもユリスさんや食堂のおばちゃんの作った料理を食べているけど、料理って本当に大変なんだ。
今度は、刻んだ野菜とお肉を大きな鍋で煮ていきます。
と、ここでモゾロフさん達がやってきました。
「おっ、今日はレオが料理をしているのか。最初は薄味にして、あくを良く取れよ。段々水分が飛んで濃い味になってくるぞ」
「そういえば、皆さん料理が得意なんですよね。とっても羨ましいです」
「まあ、おやじとかーちゃんの手伝いを小さい頃からやっていたからな。野営とかで凄く役にたったぞ」
僕がお鍋の番をしているのを見て、セルゲイさんが色々とアドバイスをしてくれました。
料理を覚えれば色々な事に役に立ちそうだから、頑張って覚えないと。
ユリスさんとオリガさんの教えだと、とっても厳しい気がするね。
さてさて、味見をしてみてと。
「こんな感じでできました。どうでしょうか?」
「うん、良い感じですね。では、火を止めて器に盛り付けましょう」
「盛り付けは、私も手伝いますわ」
「私も手伝います。レオ君も頑張って料理をしましたね」
侍従の人の合格を貰ったので、僕はアンジェラさんとライサさんと一緒に作った料理を器に盛り付けます。
さてさて、みんなの反応は?
「初めて作ったにしては上出来だ。良い味だぞ」
「そうだな。良い感じにできているぞ」
職人さんが、ニカっとしながら僕に答えてくれました。
ユリスさんやオリガさん、食堂のおばちゃんに比べたら全くかなわないけど、それでも普通に食べられるスープが出来上がったよ。
僕もシロちゃんも、ホッと一安心です。
「黒髪の天使様が初めて作った料理を食べる事ができたなんて、絶対に他の方に自慢できますわ」
ライサさんは、なんだが別方向で僕の作った料理を食べて感動していました。
今度はもっと美味しい料理ができる様に、僕もシロちゃんも頑張って勉強しようと心に決めました。
1,282
お気に入りに追加
5,442
あなたにおすすめの小説
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
【完結】平凡な容姿の召喚聖女はそろそろ貴方達を捨てさせてもらいます
ユユ
ファンタジー
“美少女だね”
“可愛いね”
“天使みたい”
知ってる。そう言われ続けてきたから。
だけど…
“なんだコレは。
こんなモノを私は妻にしなければならないのか”
召喚(誘拐)された世界では平凡だった。
私は言われた言葉を忘れたりはしない。
* さらっとファンタジー系程度
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。