上 下
233 / 464
第五章 シークレア子爵領

第三百二十八話 街を見てまわります

しおりを挟む
 中々忙しかった一週間も終わり、今日は安息日です。
 お仕事もないし、一日どうしようかと考えていました。

「シロちゃん、街に出てみる?」

 僕は毎朝の魔法の訓練を終えてシロちゃんに聞いてみたら、シロちゃんも賛成って触手を上げていました。
 この街の事をまだ把握出来ていないので、散歩してみましょう。
 という事を、朝食時にオリガさんとナディアさんに話しました。

「それじゃあ、案内する人が必要ね。ナディア、レオ君に街を案内してきなさい。宿の事は、お兄ちゃん達がいるから大丈夫よ」
「お母さん、ありがとう。昼食前には戻るわ」

 という事で、僕とシロちゃんはナディアさんと一緒に街を見に行くことにしました。
 ナディアさんも冒険者登録していて、ザンギエフさん達に負けず劣らずとっても強いそうです。
 因みにザンギエフさん達は、宿の裏で大量のシーツを洗って干しているそうです。
 まず最初に、漁港に向かいます。

「すごーい! 沢山のお船がありますよ! 近くで見ると、凄いです!」
「レオ君もシロちゃんも大興奮だね。この港は、王国でも有数の規模を誇るんだよ。漁獲量も多いし、交易の中心地にもなっているよ」

 遠くから港を見た事があるけど、ここまで近くで船を見た事はないよ。
 潮の匂いも凄いし、鳥も沢山飛んでいるよ。
 漁港にも沢山のお店が並んでいて、獲ったお魚を加工したり荷物を取り扱ったりしているんだね。

「そして、教会と並んで重要な灯りを灯す灯台だよ」
「わあ、とっても大きいですね。この高さだったら、遠くからでも灯りが見えますね」
「この灯台があるからこそ、船も自分の位置が分かるんだよ」

 港のかたわらには、とっても高い灯台がそびえていました。
 航海の安全を守る為に、とっても重要な施設だね。

「軍専用の港もあるけど、そこには入れないよ。でも、レオ君なら軍専用の港に入れるかもね」
「軍用船は作っていますけど、流石に僕でも厳しいかも」
「そっか、でも争いが収まって安全に船が航行できれば良いね」

 王国と帝国の緊張が高まっているので軍用船を増やしているそうだけど、争いが増えると怪我人が増えて大変だ。
 サンダーランド辺境伯とディフェンダーズ伯爵領でも沢山の兵を治療したけど、また僕が怪我をした兵を治療する事になるんだろうか。
 そういう怪我の治療は、僕も何となく嫌だなあ。
 僕とシロちゃんとナディアさんは、港から場所を移して市場に移動します。

「子爵領ですけど、辺境伯領や伯爵領と同じくらい賑わっていますね」
「交易が盛んってのもあるんだよ。王都にも行けるし、辺境伯領も近いからね」

 今まで行ったことのある領地の中でも、一番品物の種類が多い気がします。
 流石に品物の量自体は他の領地の方が多かったけど、それでも凄いですね。

「宿で扱っている品物を卸している商会があるから、そこに行きましょう」

 という事で、大きな商会に僕達は歩みを向けます。
 シークレア子爵領一番の商会で、子爵家の御用商会でもあるそうです。

「いらっしゃいませ。あら、ナディアさんじゃない。今日は黒髪の天使様と一緒ですか」
「はい、レオ君はまだ街をまわったとこがないので案内していました」
「そうですか。では、ご案内しますね」

 僕達を出迎えてくれた店員さんとナディアさんは顔見知りの様で、笑顔で話をしていました。
 商会の中は沢山の品物が並んでいるけど、僕とシロちゃんはとある物に目がいきました。

「あっ、簡易ベッドが売っている。簡単に広げられる椅子もあるよ。すみません、この簡易ベッドと椅子を買いたいです」
「レオ君、どうしたの? 簡易ベッドなんて購入するなんて」
「この前スラム街で治療した時に、もう少し簡易ベッドがあれば良いなって思ったんです。あれば担架もお願いします」
「畏まりました。レオ君は魔法袋を持っているから、持ち運びは大丈夫ね」

 今だけでなく今後の治療でも役に立ちそうなので、僕は毛布に担架も購入しました。
 もちろん、シロちゃんの分も購入します。
 その他にも、ポーションの瓶とかも購入します。
 中々良い買い物が出来ました。

「お兄ちゃんも、もう少し気が利けば買い物とか出来たのにね」
「でも、ザンギエフさんも色々な事を教えてくれますからとっても助かっています」
「お兄ちゃんはあんなゴリゴリマッチョなのに、脳筋じゃなくて妙に気が付くんだよね」

 商会で買い物を終えたらちょうど良い時間なので、僕達は宿に戻ります。
 ザンギエフさん達はとっても良い人だから、僕もシロちゃんもとってもお世話になっているんだよね。

「「ただい……」」
「まだまだ掃除をするところがあるわよ。ふふ、男子が喜ぶ女子風呂よ」
「「「「はい!」」」」

 宿に戻ると、ザンギエフさん達を指揮しているオリガさんの姿がありました。
 うん、やっぱり色々な面で最強はオリガさんですね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす

こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!

【完結】聖女ディアの処刑

大盛★無料
ファンタジー
平民のディアは、聖女の力を持っていた。 枯れた草木を蘇らせ、結界を張って魔獣を防ぎ、人々の病や傷を癒し、教会で朝から晩まで働いていた。 「怪我をしても、鍛錬しなくても、きちんと作物を育てなくても大丈夫。あの平民の聖女がなんとかしてくれる」 聖女に助けてもらうのが当たり前になり、みんな感謝を忘れていく。「ありがとう」の一言さえもらえないのに、無垢で心優しいディアは奇跡を起こし続ける。 そんななか、イルミテラという公爵令嬢に、聖女の印が現れた。 ディアは偽物と糾弾され、国民の前で処刑されることになるのだが―― ※ざまあちょっぴり!←ちょっぴりじゃなくなってきました(;´・ω・) ※サクッとかる~くお楽しみくださいませ!(*´ω`*)←ちょっと重くなってきました(;´・ω・) ★追記 ※残酷なシーンがちょっぴりありますが、週刊少年ジャンプレベルなので特に年齢制限は設けておりません。 ※乳児が地面に落っこちる、運河の氾濫など災害の描写が数行あります。ご留意くださいませ。 ※ちょこちょこ書き直しています。セリフをカッコ良くしたり、状況を補足したりする程度なので、本筋には大きく影響なくお楽しみ頂けると思います。

チート転生~チートって本当にあるものですね~

水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!! そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。 亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。

自重知らずの転生貴族は、現在知識チートでどんどん商品を開発していきます!!

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
無限の時空間の中、いきなり意識が覚醒した。 女神の話によれば、異世界に転生できるという。 ディルメス侯爵家の次男、シオン・ディルメスに転生してから九年が経ったある日、邸の執務室へ行くと、対立国の情報が飛び込んできた。 父であるディルメス侯爵は敵軍を迎撃するため、国境にあるロンメル砦へと出発していく。 その間に執務長が領地の資金繰りに困っていたため、シオンは女神様から授かったスキル『創造魔法陣』を用いて、骨から作った『ボーン食器』を発明する。 食器は大ヒットとなり、侯爵領全域へと広がっていった。 そして噂は王国内の貴族達から王宮にまで届き、シオンは父と一緒に王城へ向かうことに……『ボーン食器』は、シオンの予想を遥かに超えて、大事へと発展していくのだった……

気が付けば丸々とした令嬢でした。

ミント
ファンタジー
前世の記憶が戻った瞬間、婚約者に婚約破棄されてました。 でも私的には全然ショックじゃない! むしろ私の体型がショックでした。 こんなに太ってるなんて許せない! 令嬢の私はダイエットします!  恋愛要素に繋がるかまだわからないためファンタジーにさせていただきました🙋‍♀️ 皆様に役立つ?情報が入っているかもしれない小説です🙋‍♀️(本人談) 文の最後に私の呟き?入ってることがあります。 ご了承くださいm(_ _)m

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生! 悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした… アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか? 痩せっぽっちの王女様奮闘記。

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜

ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。 社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。 せめて「男」になって死にたかった…… そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった! もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。