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第五章 シークレア子爵領

第三百二十五話 無事にスラム街での無料治療が終了

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 そんなことを思っていたら、慌てた表情のザンギエフさんとマックスさんがテントの中に入ってきました。
 そんなに慌てて、何かあったのかな?

「おい、凄い光がテントの中から出てきたぞ!」
「何か事故でもあったか?」

 あっ、そうか。
 僕とシロちゃんの魔法がテントの外まで出ちゃったから、ザンギエフさんとマックスさんが慌てちゃったんだ。

「あの、僕とシロちゃんが具合の悪いおじいさんをフルパワーで治療したんです。全力なので、結構眩しかったかも」
「あっ、何だ。そういう事か」
「さっき運ばれて行った老人の治療だね。悪いけど、この後も治療を頼むよ」

 理由を説明すると、ザンギエフさんとマックスさんはあっという間に納得しました。
 僕とシロちゃんは、あっという間にテントから出ていくザンギエフさんとマックスさんに手を振りました。
 そして、未だに信じられないという表情のシスターさんに話しかけました。

「この位の治療でしたら、ずっとやっていたので問題ないですよ。僕もシロちゃんも、まだまだ魔力あります」
「あっ、そ、そうですか……」
「黒髪の天使様の実力は、とんでもないものなんですね……」

 シスターさんも、少し復活してくれたみたいです。
 ではでは、治療の続きをしていきましょう。

「最近肩と腰が痛くてねえ。動くのもおっくうなんだよ」
「それは大変ですね。膝も悪くなっているので、一緒に治療しちゃいますね」

 今の僕は、ベッドに腰掛けているおばあさんの治療をしています。
 途切れなく人が治療に来ているけど、みんな貧しくて治療を受けられなかったんだって。

「わあ、スライムが魔法を使ってるよ!」

 僕は年配の人を主に治療していて、シロちゃんは子どもの治療をしています。
 スライムが魔法を使うのが珍しいのか、子どもも大喜びです。
 シロちゃんは筆談ができるので、会話にも殆ど影響がありません。
 シスターさんも上手く患者を振り分けてくれたので、混乱もありません。
 こうして、中々忙しい午前中が終わりました。

「はい、お弁当を持ってきたよ。いっぱい食べてね」
「あっ、オリガさんとナディアさん。配達ですか?」
「そうよ。レオ君も、いっぱい食べてね。私も料理のお手伝いをしたのよ」

 昼食どうしようかなと思ったら、オリガさんとナディアさんが配達してくれた。
 美味しそうなスープとサラダだ。

「ザンちゃん達の所は、別のシスターさんが炊き出しをしていたわね」
「スラム街の人も炊き出しを食べていたし、とてもいい事だと思うよ」

 ザンギエフさんのところも、昼食の時間なんだ。
 お家を解体したりするのは時間がかかるし、炊き出しも暫くやるんだろう。
 オリガさんとナディアさんも一緒に昼食を食べたら、ザンギエフさんがテントの中に入ってきました。

「おーい、レオいるか? おっ、かーちゃんとナディアもいたか」
「あら、ザンちゃんじゃない。わざわざテントに入ってきて、どうしたの?」
「ああ、解体作業中にざっくり腕を切ったのがいるから連れてきたんだよ」

 あらら、ザンギエフさんが連れてきた人の右腕から結構な量の血が出ているよ。
 僕が治療しようかと思ったら、シロちゃんが直ぐに動いた。

 ぴょーん、きらー。

 シロちゃんが男の人の肩に飛び乗って、直ぐに回復魔法をかけます。
 出血も傷も良くなったけど、服が血で汚れちゃったから生活魔法で服も綺麗にしていました。

「わあ、シロちゃんの回復魔法も生活魔法も凄いんだね」
「シロちゃんは、身体能力強化も出来るんですよ。ゴブリンキングなら、簡単に倒せますよ」
「シロちゃんの魔法は俺も造船所でよく見ているが、鉄板もスパって切るよな。ゴブリンキングぐらい楽勝だろう」

 うんうん、みんなでシロちゃんを囲んで楽しくお喋りしているよ。
 シロちゃんは、凄いスライムだもんね。

「黒髪の天使様が連れているスライムも、もうスライムの枠を超えておりますわね」
「私、半日で常識が色々と崩れちゃいました……」

 何だかシスターさんがまた固まっちゃったけど、時間が経てば復活するはずです。
 こうしてワイワイとした昼食も終わり、午後も頑張って治療して無事に無料治療が終わりました。
 明日は、予定通り教会で治療をします。
 まだまだ治療しないといけない人が多いから、頑張って治療しないとね。
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