219 / 464
第五章 シークレア子爵領
三百十四話 本当はいい子
しおりを挟む
翌日も、昨日と同じく朝食を食べたら造船所に向かいます。
「あーあ、今回は面白い仕事になると思ったのになあ」
「ほら、愚痴を言っていないで荷物を運んで」
「へーい」
今日は、三男のゲンナジーさんが宿のお手伝いとして残ります。
オリガさんに色々と言われながら、もの凄い量の洗濯物を運んでいました。
僕たちも、しっかりとお仕事頑張らないとね。
「そういえば、工場長経由で色々な所に連絡がいったそうだ。俺達も、気をつけながら仕事をしよう」
「はい」
「「おう!」」
造船所に向かう途中、ザンギエフさんが情報を教えてくれました。
といっても、昨日の午後とほぼやる事は変わらないもんね。
こうして、造船所に着くまで色々とお話していました。
「よーし、じゃあレオやっちまってくれ。スライムもだな」
「はい、じゃあ切りますね」
シュイーン、シュパッ。
今日のお仕事も、型通りに木材を魔法で切る作業です。
時々怪我をした職人さんの治療をするけど、何事もなく順調そのものです。
シュパッ、シュパッ。
「よし、それで良いぞ。お前らもスライムに負けるなよ」
「「「おう!」」」
シロちゃんは、時々職人さんに頼まれて細かい加工のお手伝いをしています。
繊細な魔力の制御が必要だけど、シロちゃんは難なくこなしていました。
でも、僕もシロちゃんももっと細かい加工はできないから、やっぱり職人さんの技術は凄いよね。
「適材適所だ。レオが大まかな加工をして人手が余れば、細かい加工に人を回せる。そういう事だ」
職人さんのリーダーさんが、絶妙なタイミングで人の割り振りをしています。
こうして、作業は中々のスピードで進んでいき、あっという間に昼食の時間になりました。
今日は、僕たちが一番最初に昼食を食べる班です。
みんな揃って、食堂に移動します。
「はいよ、今日はご飯を炒めた物よ」
「わあ、初めて出てきた料理です」
「米を炊いた物を、調味料で炒めたものよ。シークレア子爵領の港には、米も入ってくるのよ」
食堂のおばちゃんが料理の説明をしてくれたけど、お米の料理って初めてだよ。
どんな味か、とっても楽しみです。
ではでは、さっそくスプーンでよそって一口食べます。
「わあ、不思議な感じです。でも、味もとっても美味しいです」
「そうかい、そりゃ良かったよ。おかわりもあるからな」
お米に味がしみていて、とっても美味しいです。
シロちゃんも、美味しそうな表情で料理を堪能していました。
「「「ニヤニヤニヤ」」」
「おい、おっさん等よ。そのニヤケ顔はかなり怖いぞ」
食堂のおばちゃんが僕の事をニヤニヤと見ている職人さんに注意するけど、僕とシロちゃんは全然気にせずに目の前の料理を堪能していました。
食堂のおばちゃんは、凄腕の料理人なんだね。
他の人たちが来るので、昼食を食べたら直ぐに席から移動します。
作業を行う倉庫は火気厳禁なので、タバコを吸う人たちは専用の喫煙所に向かいました。
「あっ、レオ君。あとザンギエフもだな。旦那がレオの仕事に問題ないか聞きたいから、所長室に来てくれって言っていたよ」
「分かりました。直ぐに行きます」
「じゃあ、俺はタバコ吸ってくるわ」
「あんちゃん、頼んだぞ」
「おう、任せとけ」
食堂のおばちゃんが、食堂を出ようとした僕とザンギエフさんにはなしかけてきました。
タバコを吸いに行くモゾロフさんとヒョードルさんと別れて、僕とザンギエフさんは事務所に向かいました。
コンコン。
「所長、俺とレオだ」
「おお、入ってくれ」
所長室のドアをザンギエフさんがノックした後、僕とザンギエフさんは所長室の中に入って行きました。
ソファーに座って、書類整理をする所長を待ちます。
「いやいや、待たせたな。ははは、面白い事が分かったぞ」
「「面白い事?」」
所長さんがちょっと笑いながら、僕たちの対面のソファーに座りました。
所長さんは、面白い物を見たって表情ですね。
「あの子ども達が、造船所内で何かをしていたのは間違いない。でも、何も知らない他の職人が奴らがイジっていた場所をこっそりと直していたぞ。子どものイタズラって事で、全然気にしていなかった」
「ははは、職人は意外と子ども好きが多いからな。だから、事故も大した物が起きなかったんだな」
所長さんが話してくれたけど、あの子ども達がしていた事の殆どが、何事もなかったかの様に職人さんが直してくれたんだ。
荒海一家の目論見が、殆ど崩れていたんだ。
「子どもを尾行した兵によると、子どもの家の前で怪しい男が子どもと話をしていた様だ。そいつが、荒海一家の関係者で間違いないな」
「となると、明日辺りに一斉に動く可能性があるのか」
「そうだな、こういうのは早めが良い。子どもを、悪の道から助けないとならないからな」
所長さんとザンギエフさんが、お互いに顔を見合わせて頷きました。
僕もシロちゃんも、ふんすって気合を入れたよ。
と、ここで所長さんがザンギエフさんにニヤリとしました。
「まあ、お前らはどちらかと言うと父親より母親に叱られていたがな」
「そいつは否定しねーよ。とーちゃんも怒るけど、かーちゃんの方がめちゃくちゃ怖いぞ」
うん、僕もザンギエフさんの意見に同意です。
オリガさんが怒ったら、とんでもなく怖そうだね。
「まあ、レオの仕事ぶりは問題ないってリーダーから聞いている。ちょっと張り切りすぎって聞いているが、初めて仕事をする者は誰でもそんなもんだ。慣れてくれば、肩の力も抜けるって事だな」
そう言って、所長さんは僕にニコリとしてきました。
やっぱり張り切っちゃっているみたいだけど、このくらいなら大丈夫だって。
こうして、所長さんともう少しお話をしていました。
「あーあ、今回は面白い仕事になると思ったのになあ」
「ほら、愚痴を言っていないで荷物を運んで」
「へーい」
今日は、三男のゲンナジーさんが宿のお手伝いとして残ります。
オリガさんに色々と言われながら、もの凄い量の洗濯物を運んでいました。
僕たちも、しっかりとお仕事頑張らないとね。
「そういえば、工場長経由で色々な所に連絡がいったそうだ。俺達も、気をつけながら仕事をしよう」
「はい」
「「おう!」」
造船所に向かう途中、ザンギエフさんが情報を教えてくれました。
といっても、昨日の午後とほぼやる事は変わらないもんね。
こうして、造船所に着くまで色々とお話していました。
「よーし、じゃあレオやっちまってくれ。スライムもだな」
「はい、じゃあ切りますね」
シュイーン、シュパッ。
今日のお仕事も、型通りに木材を魔法で切る作業です。
時々怪我をした職人さんの治療をするけど、何事もなく順調そのものです。
シュパッ、シュパッ。
「よし、それで良いぞ。お前らもスライムに負けるなよ」
「「「おう!」」」
シロちゃんは、時々職人さんに頼まれて細かい加工のお手伝いをしています。
繊細な魔力の制御が必要だけど、シロちゃんは難なくこなしていました。
でも、僕もシロちゃんももっと細かい加工はできないから、やっぱり職人さんの技術は凄いよね。
「適材適所だ。レオが大まかな加工をして人手が余れば、細かい加工に人を回せる。そういう事だ」
職人さんのリーダーさんが、絶妙なタイミングで人の割り振りをしています。
こうして、作業は中々のスピードで進んでいき、あっという間に昼食の時間になりました。
今日は、僕たちが一番最初に昼食を食べる班です。
みんな揃って、食堂に移動します。
「はいよ、今日はご飯を炒めた物よ」
「わあ、初めて出てきた料理です」
「米を炊いた物を、調味料で炒めたものよ。シークレア子爵領の港には、米も入ってくるのよ」
食堂のおばちゃんが料理の説明をしてくれたけど、お米の料理って初めてだよ。
どんな味か、とっても楽しみです。
ではでは、さっそくスプーンでよそって一口食べます。
「わあ、不思議な感じです。でも、味もとっても美味しいです」
「そうかい、そりゃ良かったよ。おかわりもあるからな」
お米に味がしみていて、とっても美味しいです。
シロちゃんも、美味しそうな表情で料理を堪能していました。
「「「ニヤニヤニヤ」」」
「おい、おっさん等よ。そのニヤケ顔はかなり怖いぞ」
食堂のおばちゃんが僕の事をニヤニヤと見ている職人さんに注意するけど、僕とシロちゃんは全然気にせずに目の前の料理を堪能していました。
食堂のおばちゃんは、凄腕の料理人なんだね。
他の人たちが来るので、昼食を食べたら直ぐに席から移動します。
作業を行う倉庫は火気厳禁なので、タバコを吸う人たちは専用の喫煙所に向かいました。
「あっ、レオ君。あとザンギエフもだな。旦那がレオの仕事に問題ないか聞きたいから、所長室に来てくれって言っていたよ」
「分かりました。直ぐに行きます」
「じゃあ、俺はタバコ吸ってくるわ」
「あんちゃん、頼んだぞ」
「おう、任せとけ」
食堂のおばちゃんが、食堂を出ようとした僕とザンギエフさんにはなしかけてきました。
タバコを吸いに行くモゾロフさんとヒョードルさんと別れて、僕とザンギエフさんは事務所に向かいました。
コンコン。
「所長、俺とレオだ」
「おお、入ってくれ」
所長室のドアをザンギエフさんがノックした後、僕とザンギエフさんは所長室の中に入って行きました。
ソファーに座って、書類整理をする所長を待ちます。
「いやいや、待たせたな。ははは、面白い事が分かったぞ」
「「面白い事?」」
所長さんがちょっと笑いながら、僕たちの対面のソファーに座りました。
所長さんは、面白い物を見たって表情ですね。
「あの子ども達が、造船所内で何かをしていたのは間違いない。でも、何も知らない他の職人が奴らがイジっていた場所をこっそりと直していたぞ。子どものイタズラって事で、全然気にしていなかった」
「ははは、職人は意外と子ども好きが多いからな。だから、事故も大した物が起きなかったんだな」
所長さんが話してくれたけど、あの子ども達がしていた事の殆どが、何事もなかったかの様に職人さんが直してくれたんだ。
荒海一家の目論見が、殆ど崩れていたんだ。
「子どもを尾行した兵によると、子どもの家の前で怪しい男が子どもと話をしていた様だ。そいつが、荒海一家の関係者で間違いないな」
「となると、明日辺りに一斉に動く可能性があるのか」
「そうだな、こういうのは早めが良い。子どもを、悪の道から助けないとならないからな」
所長さんとザンギエフさんが、お互いに顔を見合わせて頷きました。
僕もシロちゃんも、ふんすって気合を入れたよ。
と、ここで所長さんがザンギエフさんにニヤリとしました。
「まあ、お前らはどちらかと言うと父親より母親に叱られていたがな」
「そいつは否定しねーよ。とーちゃんも怒るけど、かーちゃんの方がめちゃくちゃ怖いぞ」
うん、僕もザンギエフさんの意見に同意です。
オリガさんが怒ったら、とんでもなく怖そうだね。
「まあ、レオの仕事ぶりは問題ないってリーダーから聞いている。ちょっと張り切りすぎって聞いているが、初めて仕事をする者は誰でもそんなもんだ。慣れてくれば、肩の力も抜けるって事だな」
そう言って、所長さんは僕にニコリとしてきました。
やっぱり張り切っちゃっているみたいだけど、このくらいなら大丈夫だって。
こうして、所長さんともう少しお話をしていました。
679
お気に入りに追加
5,471
あなたにおすすめの小説
チート転生~チートって本当にあるものですね~
水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!!
そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。
亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。
【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。
まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」
そう、第二王子に言われました。
そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…!
でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!?
☆★☆★
全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。
読んでいただけると嬉しいです。
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
自重知らずの転生貴族は、現在知識チートでどんどん商品を開発していきます!!
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
無限の時空間の中、いきなり意識が覚醒した。
女神の話によれば、異世界に転生できるという。
ディルメス侯爵家の次男、シオン・ディルメスに転生してから九年が経ったある日、邸の執務室へ行くと、対立国の情報が飛び込んできた。
父であるディルメス侯爵は敵軍を迎撃するため、国境にあるロンメル砦へと出発していく。
その間に執務長が領地の資金繰りに困っていたため、シオンは女神様から授かったスキル『創造魔法陣』を用いて、骨から作った『ボーン食器』を発明する。
食器は大ヒットとなり、侯爵領全域へと広がっていった。
そして噂は王国内の貴族達から王宮にまで届き、シオンは父と一緒に王城へ向かうことに……『ボーン食器』は、シオンの予想を遥かに超えて、大事へと発展していくのだった……
【完結】聖女ディアの処刑
大盛★無料
ファンタジー
平民のディアは、聖女の力を持っていた。
枯れた草木を蘇らせ、結界を張って魔獣を防ぎ、人々の病や傷を癒し、教会で朝から晩まで働いていた。
「怪我をしても、鍛錬しなくても、きちんと作物を育てなくても大丈夫。あの平民の聖女がなんとかしてくれる」
聖女に助けてもらうのが当たり前になり、みんな感謝を忘れていく。「ありがとう」の一言さえもらえないのに、無垢で心優しいディアは奇跡を起こし続ける。
そんななか、イルミテラという公爵令嬢に、聖女の印が現れた。
ディアは偽物と糾弾され、国民の前で処刑されることになるのだが――
※ざまあちょっぴり!←ちょっぴりじゃなくなってきました(;´・ω・)
※サクッとかる~くお楽しみくださいませ!(*´ω`*)←ちょっと重くなってきました(;´・ω・)
★追記
※残酷なシーンがちょっぴりありますが、週刊少年ジャンプレベルなので特に年齢制限は設けておりません。
※乳児が地面に落っこちる、運河の氾濫など災害の描写が数行あります。ご留意くださいませ。
※ちょこちょこ書き直しています。セリフをカッコ良くしたり、状況を補足したりする程度なので、本筋には大きく影響なくお楽しみ頂けると思います。
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。
何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~
秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」
妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。
ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。
どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。