小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第五章 シークレア子爵領

第二百九十三話 またあの豪華な宿に宿泊します

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 パカパカパカ。

 馬車便は、街を抜けて順調に街道を進んでいきます。
 ディフェンダーズ伯爵領での治療の時にもこの街道は通ったけど、今は決定的に違う事がありました。

「わあ、畑に芽が出ています。平原が一面緑です!」
「今は麦の種を蒔いて、芽が出揃ったタイミングだ。もう少しすると、麦ももっと大きく成長するぞ」

 冬には只の土だけだった畑に麦の芽が出ていて、僕とシロちゃんは思わず興奮しちゃいました。
 これから麦が大きくなって、美味しいパンやパスタに変わるんだね。
 そう思うと、何だか凄いなって思っちゃうね。
 一面の麦畑を両側に、馬車は街道を進んでいきます。
 道中は動物や魔物も全く現れないので、とっても平和な旅です。

「次の村で休憩を取るぞ。昼食もここで食べるぞ」
「あっ、あの村で昼食を食べるんですね。今度は何のパスタを食べようかな?」
「ははは、黒髪の天使様のトマトパスタ好きはとても有名だからな。沢山食べてこいよ」
「子どもらしくて、とっても可愛いじゃないですか」

 御者のおじさんも馬車に同乗している人も、皆僕がトマトパスタが好きだって知っているみたいです。
 でも、この村のパスタはとっても美味しいんだよね。
 今回はミートパスタを頼んだけど、とっても美味しかったよ。

 パカパカパカ。

「この後は、何もなければ夕方前には到着するぞ」
「そういえば、この前も夕方前に到着しました。村じゃないくらい大きかったですよ」
「ディフェンダーズ伯爵領にも近いから、あの村は便利なんだよな」

 ミートパスタを堪能した後は、馬車便の旅が再開します。
 あの村はとっても大きいから、この前泊まった豪華な宿以外にも、とっても良さそうな宿がありそうだね。
 しかし、本当に道中何も起きないね。
 動物や魔物だけでなく、盗賊とかも全くいません。
 きっと、守備隊の人が色々と対応してくれたんだね。
 何回か休憩をして、今夜泊まる村に到着しました。

「わあ、やっぱりとっても大きいね。明日は、今朝と同じ時間に出発しますか?」
「馬車便は変わるが、今朝と同じ位の時間に出発するぞ。寝坊しないようにな」

 御者のおじさんに明日の馬車便の時間を確認してから、今夜泊まる宿を探します。
 えーっと、今夜はどんな宿にしようかな?
 そんな事を考えていたら、僕に話しかけてきた人がいたよ。

「失礼します。レオ様で宜しいでしょうか?」
「えっ、あっ! この前泊まった宿の人ですね」
「左様でございます」

 あの豪華な宿の人が、僕に声をかけてきたよ。
 お揃いの制服だったから、直ぐに分かったよ。

「お館様より、レオ様を丁重にもてなすように仰せつかっております。宿にご案内いたします」
「えー!」

 思わぬ展開に、僕もシロちゃんもとってもビックリしたよ。
 でも、この前みたいな大きなお部屋だったら落ち着かないかも。
 馬車乗り場から豪華な宿まではとっても近いので、あっという間に到着しました。

「レオ様が到着されました」
「「「いらっしゃいませ」」」

 おお、宿に入ったらまたもやお揃いの制服を着た人達が迎えてくれたよ。
 男の人も女の人も、制服のデザインは一緒なんだね。

「では、部屋にご案内いたします」
「あ、あの、この前と同じ豪華な部屋ですか……」
「いえ、今回はお一人様用の部屋になります」

 ほっ、僕もシロちゃんもとっても安心したよ。
 この前は、フレアさんとミシャさんも一緒だったから大きいお部屋だったんだね。
 僕は宿の人の後をついていって、最上階に上がりました。
 あれ?
 最上階?

 ガチャ。

「こちらのお部屋になります。お食事の用意ができましたら、お部屋までお持ちいたします」

 おお、確かにこの前の部屋よりかは狭いけど、それでもとっても豪華な部屋だね。
 お風呂も付いているし、ベッドもとても大きいですね。
 因みに、この前の部屋はお隣にあります。
 じゃあ、夕食が来る前にお風呂に入っちゃおう。
 魔法でお湯を作って、湯船に入れてっと。

「ふいー。シロちゃん、お湯が気持ちいいね」

 やっぱり、お風呂は良いね。
 シロちゃんもお湯にぷかぷか浮いていて、とっても気持ちよさそうです。
 あっ、ちっちゃな湯船を買えばいつでもお風呂に入れるね。
 今度、お店で聞いてみよう。

「はあ、大きいベッドだけどふかふかで気持ちいいね」

 豪華な夕食の後は、大きなベッドに潜り込みます。
 懐中時計型の魔導具のタイマーをセットして、これで大丈夫。

「シロちゃん、おやすみなさい。はふう……」

 僕は、枕元にいるシロちゃんに挨拶しました。
 うわあ、ベッドが気持ちいいからあっという間に眠たくなっちゃった……
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