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第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百八十二話 窃盗団が活動している?

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 翌日も、朝から出店で僕とシロちゃんが作ったリースとピンブローチを販売します。

「あの、今日もお客さんが沢山並んでいますね」
「そうだね。これは予想外だわ」

 フレアさんもビックリする程のお客さんが、僕達の出店にやってきています。
 なので、僕とシロちゃんはリースとピンブローチを作り続けています。

「どうやら、昨日私達が窃盗犯を捕まえたのが噂になっているみたいね。強い二人組の女性と、小さな可愛らしい魔法使いがいるお店みたいよ」

 お客さんの対応をしていたミシャさんが、何で沢山の人が並んでいるかを教えてくれました。
 そういえば、たまにミシャさんと握手をしていたり、僕の頭を撫でていく人もいるね。
 という事は、今日も昨日と同じくらい忙しくなりそうです。

 あみあみあみ、ポチポチポチ。

 僕とシロちゃんは、リースとピンブローチを作る速度を上げました。
 でも、決して雑には作らないよ。
 まだまだだけど、そこは職人としてのプライドもあるんだよ。

「はい、どうぞ。沢山お店がありますよ」
「あら、わざわざありがとうね。頑張ってね」

 勿論、手の空いた時にはミシャさんのお父さんから受け取った会場案内図を配っていきます。
 こうして、午前中はあっという間に過ぎて行きました。

「流石に、二日目までお客さんがいっぱいだとは思わなかったです」
「昨日の騒ぎが、更に人を呼び寄せたのね。二つ名を持つ冒険者が目の前にいると、冒険者に憧れている人も来ているみたいだわ」
「元より人だかりがあると、何かありそうだと寄っていくものだよ。それもありそうだわ」

 今日も昼食は、ミシャさんのお家で食べます。
 もう少し人の波が落ち着いたら他のお店に行こうかと思ったけど、流石に今日は無理ですね。
 でも僕達の出店に寄った後に他の出店に行っている人も多いので、今の所問題は出ていないそうです。

「これだけのお客さんが来ているのって、少し久々ね」
「ここ数年は帝国との小規模な衝突があったから、お客さんの数が少なかったんだよね。勿論、レオ君のお陰でもあるわ」

 そういえば、僕がサンダーランド辺境伯領に来る前に、王国と帝国で小競り合いがあったって言っていたね。
 危険を感じた人々が、花祭りに来るのを控えていたんだ。
 そういう意味でも、僕とシロちゃんはサンダーランド辺境伯領の為になっていたんだね。
 さて、昼食も食べ終えたし午後も頑張ります。

 あみあみあみ、ポチポチポチ。
 あみあみあみ、ポチポチポチ。

「ありがとうございます、また宜しくお願いします」
「はい、次の方どうぞ」

 午後も、沢山の人が僕達の出店に来ています。
 それでも、午前中よりかは少し余裕が出てきました。
 フレアさんとミシャさんも、表情に余裕が出てきています。

「うんうん、沢山の人が来ているね。とっても嬉しい事だよ」

 夕方になって、そろそろ店じまいのタイミングでミシャさんのお父さんが出店の様子を見に来ました。
 僕達以外の出店にも沢山の人が集まっていて、ミシャさんのお父さんもとっても満足そうです。
 僕もシロちゃんもお昼にミシャさんの話を聞いているので、人が沢山いてとっても嬉しいです。

「おじさん、一旦売上金をお店に持っていくわ」
「お父さん、ちょっとこの場をお願いしても良い?」
「ああ、良いよ。行っておいで」

 今日も売上額が凄いから、夕方の早い段階で一旦商会に持っていきます。
 商会の奥で、今日の売上金を確認してくれます。
 何でも、自動でお金がどれくらいあるか確認する魔導具があるんだって。
 魔導具って、何でもあるから凄いよね。
 そんな事を思っていたら、出店の並んでいる列に急に割り込んできた四人組がいたよ。
 何だか不良冒険者っぽくてとっても怪しいので、僕とシロちゃんは警戒しています。

「へへへ、ここだな」
「だいぶ稼いでいるようだな。でも、屋台を壊されたくないだろう?」
「大人しく売上金を俺等に寄こしな」
「なあに、俺達はそこまで極悪じゃない。売上金の半分で良いぞ」

 何だろう、典型的なチンピラの決め台詞を言っているよ。
 不良冒険者も、こんな事を言っていたね。
 取り敢えず営業の邪魔だから、退場してもらいましょう。
 二人ほど、ナイフを手にしているもんね。

 シュイン、シュイン、シュイン。

「いきます、えーい」

 バリバリバリ。

「「「「ギャー!」」」」

 ぷすぷすぷす、バタン。

「ふう、これで良いですね。でも出店の前だと邪魔だから、端に寄せておかないと」
「「「「あがががが……」」」」

 二日連続で不良が来ていたんだ。
 人が沢山いるから、お金を狙っているんだね。
 僕とシロちゃんは、身体能力強化で不良を店の前から移動させます。

 がきーん。

「ふう、これでよしっと」

 逃げられないように、ダークゲージの中に不良を入れておきます。
 後は、守備隊が来るのを待つだけですね。

「いやはや、レオ君は素早く対応するね。感心したよ」
「もう冒険者歴もそこそこですし、不良か脅しても全然平気ですよ」
「そういえば、レオ君は有名な盗賊団を壊滅させていたね」

 ミシャさんのお父さんとお話をしていたら、フレアさんとミシャさんが商会の中から出てきました。

「ただいま。何かあったのかなって、チリチリになりながら捕まっているのがいるね」
「お帰りなさい。売上金寄越せって脅してきたんです。でも、とっても弱かったですよ」
「レオ君とお父さんの前で脅迫だなんて、自殺しに来た様なものだね。じゃあ、販売を再開しましょう」

 フレアさんとミシャさんは、僕があった事を説明するとあっという間に納得しちゃいました。
 うーん、二日続けていいオブジェになっちゃっているね。

「人が多くなって、窃盗団が動き始めたか。スリも多いと聞くし、あまり良くない傾向だな」

 ミシャさんのお父さんが、不良を見て懸念事項を口にしていました。
 確かに、このままだと僕達だけでなくお客さんにも被害が出ちゃうよね。
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