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第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百七十九話 久々の店内実演です

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 その後は、僕は勉強の日以外は花飾りを作る事が多くなりました。
 というのも、僕とシロちゃんが作るリースが直ぐに売れちゃうんだって。
 なので、どんどんとリースを作っています。
 ふふふ、僕とシロちゃんはリーフ作りがとっても上手になったよ。

「何だかね、黒髪の天使様が作ったリースを飾ると幸せが訪れると噂になっているみたいよ」
「えっ!」
「ピンブローチみたいに、色々と言われているみたいだよ」

 僕の様子を見に来たフレアさんが街での噂を教えてくれたけど、何だかとんでもない事になっているよ。
 でも、幸せな気持ちになってくれれば良いもんね。

「でも、中には本当に黒髪の天使様が作ったのと疑問に思っている人もいるみたいね」
「あー、確かにその気持ちは分かります。僕とシロちゃんは工房で作っているから、誰が作っているか分からないですよね」
「そうなのよ。なので、今日は店頭で作ってくれないかな?」

 ミシャさんからも言われたので、僕とシロちゃんは早速お店の中に移動してちょこんと置かれた机と椅子でリースを作り始めました。

「よーし、シロちゃん頑張って作るぞ!」

 僕とシロちゃんは、気合を入れて材料を選んでいきます。
 えーっと、この材料を使ってっと。

 あみあみあみ。

「よし、一個目ができた!」
「は、早いわ。流石は黒髪の天使様だわ」

 うん?
 誰かが、僕とシロちゃんがリースを作っているのを見ていたよ。
 顔を上げると、おばあちゃんが僕とシロちゃんがリースを作っているのを見ていました。
 どうも、僕とシロちゃんがあっという間にリースを作ったのを見て、とってもびっくりしちゃったみたいですね。
 直ぐに店員さんが、僕とシロちゃんの作ったリースを店頭に置いてくれます。
 すると、おばあちゃんが僕に話しかけてきました。

「えっと、リクエストとかもできたりするのかしら?」
「はい、難しいものでなければ大丈夫ですよ」
「ありがとうね。じゃあ、明るい感じのリースを作ってくれるかしら」

 初めてのリクエストなので、僕は気合を入れてリースを作ります。
 明るい感じだから、赤やオレンジ色のお花を使ってみよう。

 あみあみあみ。

「はい、できました。こんな感じでどうでしょうか?」
「凄い、華やかなリースだわ。このリースを頂くわ」

 リクエスト通りにできたみたいで、僕もホッと一安心です。
 おばあちゃんは、満足そうにリースを受け取って店員さんに支払いをしていました。
 よーし、もっともっと頑張って作るぞ。
 シロちゃんも、やる気満々でリースを作っていきます。

 あみあみあみ。

「わあ、スライムがリースを作っているよ!」

 次に僕に声をかけてきたのは、僕と同じくらいの歳の女の子でした。
 お母さんと一緒に、商会に買い物に来たみたいですね。

「お母さん、このリースが欲しいよ!」
「そうね、値段も手頃だから一個なら良いわよ」
「わーい」

 お母さんのオッケーも貰ったので、女の子は大喜びです。
 どれを買おうかなとリースを見ている女の子に、僕は声をかけました。

「よかったら、どんな物がいいかリクエストを聞くよ」
「えっ、良いの? じゃあ、お花がいっぱいなのがいいな!」

 リクエストを聞いたシロちゃんが、触手をあげて了解とリアクションしました。

 シュイン。

「わあ、リースが宙に浮いているよ。凄い凄い!」

 スラちゃんが念動でリースを宙に浮かべながら作っていると、女の子は大興奮です。
 そして、直ぐにお花がいっぱいのリースが完成しました。
 スラちゃんは、ふわりとリースを浮かべて女の子の腕の中に渡しました。

「ありがとー!」

 女の子も、満面の笑みでリースを受け取っていました。
 その間に、お母さんが支払いを済ませていました。

「バイバーイ」

 女の子が手を振ったので、僕とシロちゃんも手を振り返します。
 とっても喜んでくれたし、僕もシロちゃんも大満足です。
 さあ、どんどんとリースを作っていこう。
 時間を見て、ピンブローチも作っておこう。

 あみあみあみ。

「凄いわね。どんどんと、リースが売れていくわ」
「やっぱり、レオ君が店頭で作っている宣伝効果があるわ」

 フレアさんとミシャさんが様子を見に来てくれた時には、店頭には沢山のお客さんがリースを購入していました。
 たまに作るピンブローチも、あっという間に売れちゃいました。
 あまりに忙しいので、一旦リクエストは中止しています。

 あみあみあみ、あみあみあみ。

 あまりにもリースが売れるので、フレアさんとミシャさんもリース作りを手伝ってくれます。
 フレアさんとミシャさんも二つ名を持っている冒険者なので、僕とシロちゃんが作ったリースと同じくらい売れていきます。
 こうして、閉店時間までとっても忙しい時間が過ぎていきました。

「凄い忙しかったですね。コバルトブルーレイク直轄領で、ピンブローチを店頭で作った時の事を思いました」
「正直なところ、レオ君の集客力を甘く見ていたわ」
「こんなにも来るなんて、ちょっと予想外だわ。今後は、午前中だけとか時間を区切りましょう」

 フレアさんとミシャさんも、このお客さんの数は予想外だったみたいです。
 でも、僕とシロちゃんは頑張って良い物を作るだけだね。
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