上 下
183 / 527
第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百七十八話 花飾りを作ってみよう

しおりを挟む
 そしてお花の祭りまであと半月になった時、僕はミシャさんのお父さんに話しかけられました。

「レオ君、もうそろそろ花祭りがあるのは知っているよね?」
「はい、フレアさんとミシャさんから教えて貰いました」
「そうか、それは良かった。実は、レオ君に頼みがあるんだ」

 僕に頼みって何だろうって思いながら、そのままミシャさんのお父さんの話を聞きました。

「頼みは二つあるんだよ。一つは花祭りの時に飾る花飾りを、うちの職人と一緒に作ってくれないかなってね。手先の器用なレオ君なら、きっと綺麗にできるよ」
「是非とも、やってみたいです!」
「はは、それは良かった。ミシャも参加するから、詳しくはミシャに聞いてくれ」

 どんな花飾りを作るのか、とっても楽しみです。
 僕だけでなく、シロちゃんもやる気満々になっていますね。

「二つ目は、レオ君用の出店を出そうかと思っているんだよ。レオ君に花をモチーフにしたピンブローチを作って貰って、それを販売するんだ」
「店頭でデモとか、リクエストを受けて作るのもやりますか?」
「それもお願いしようかな。お金の管理は、フレアとミシャに任せれば良い」

 僕の出店が出るんだね。
 何だか、とってもワクワクしちゃうね。

「花飾りは、販売用も含めて作っているんだ。店の中にある工房で作っているんだよ」
「わあ、見てみたいです」
「ふふ、興味津々って感じだな。この辺は、年頃の男の子って感じだね」

 僕は、何かを作るのが好きなんだよね。
 花飾りを作るのも、とっても興味津々です。
 僕とシロちゃんは、ミシャさんのお父さんの後をついて行って、工房に案内して貰いました。

 ガラガラ。

「ここだよ。おーいミシャ、レオ君が工房の作業を見てみたいそうだよ」
「あら、レオ君も来たのね。こっちだよ」
「じゃあ、ミシャ、後は頼んだよ」

 工房の中では、ミシャさんを含む人が手際よく花飾りを作っていました。
 花飾りも種類があって、棒に花をつけるものや、リースの大きいのだったり、花束みたいなものもあります。
 僕とシロちゃんは、ミシャさんの隣に移動してどんな作業をしているのか見せて貰いました。

「お花も、普通のお花を使ったり造花を使ったりと色々なんですね」
「レオ君、直ぐに分かったのね。花も長持ちするように、ドライフラワーを使ったりしているのよ」

 お花も何種類も用意しているし、造花も本当のお花みたいだよ。
 そして、気になったのはリースの大きさです。

「何だか、とっても大きなリースもありますね」
「店頭に飾る物なのよ。目立つように、大きなリースにしているのよ」

 確かにお店に飾るとなると、とっても大きなリースじゃないと目立たないもんね。
 注文を受けた分を作って、中には自分のお店のリースは自分で作るって所もあるんだって。

「リース作りは、ベテランの職人がやっているのよ」
「わあ、凄い! 枝を複雑に絡めて輪っかを作っています!」

 おじいちゃん職人さんが、器用にとっても大きなリースを作っていました。
 長年の職人技って感じで、とってもカッコいいです。

「花束を作る所は、ドライフラワーを使っているのが多いわね」
「確かに、生花だと枯れちゃいますね」

 花束も店頭に飾る事が多いらしく、とっても華やかな色の物があります。
 おばちゃんが手際よく作っていて、とってもカッコいいです。

「レオ君なら、簡単なリースを作れそうだね。やってみる?」
「やってみたいです!」
「じゃあ、作ってみましょうね」

 僕はミシャさんから、簡単なリースの作り方を教えて貰います。
 ミシャさんが手にしたのは、とっても小さなリースです。

「どんな形にするかを考えたら、花をいくつかの束にしてリースの土台に置いて麻紐や針金とかを使って固定します。今回は麻紐ね。最後に、リボンで装飾して完成です」

 わあ、あっという間にリースができちゃったよ。
 でも、作り方は簡単だから、僕とシロちゃんにもできそうだね。
 早速、作ってみよう!

「えーっと、綺麗に見えるように上手く組み合わせてっと。出来た!」
「凄いわ、一回でできちゃったね。ピンブローチを作っているから、とても手際がいいわ」

 何とか、それなりのリースができちゃったよ。
 色々な組み合わせができるから、作る人次第だね。

「シロちゃんは、わあ、凄いね!」
「念動で宙に浮かべて作るなんて、シロちゃんらしい作り方だね」

 シロちゃんは、リースを念動で浮かべてカラフルなリースを作っていました。
 如何にも、シロちゃんらしい作り方だね。
 こうして、いくつかのリースを作ってみました。

「うん、良い出来ね。じゃあ、店頭に置いてくるわ」
「あの、もしかして販売するんですか? 練習じゃなかったんでしたっけ」
「良い出来だから、販売しても全く問題ないわ」

 いきなり販売するなんて、僕とシロちゃんはとてもビックリしています。
 でもミシャさん曰く、店頭に置いて直ぐに売れたそうです。
しおりを挟む
感想 147

あなたにおすすめの小説

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

【完結】平凡な容姿の召喚聖女はそろそろ貴方達を捨てさせてもらいます

ユユ
ファンタジー
“美少女だね” “可愛いね” “天使みたい” 知ってる。そう言われ続けてきたから。 だけど… “なんだコレは。 こんなモノを私は妻にしなければならないのか” 召喚(誘拐)された世界では平凡だった。 私は言われた言葉を忘れたりはしない。 * さらっとファンタジー系程度 * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

悪役令嬢日記

瀬織董李
ファンタジー
何番煎じかわからない悪役令嬢モノ。 夜会で婚約破棄を宣言された侯爵令嬢がとった行動は……。 なろうからの転載。

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。