小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百四十二話 ミシャさんの商会に向かいます

　そして、いよいよボーガン様の屋敷からミシャさんの商会に移る時がやってきました。
　僕は借りていた客室を綺麗にして、更に生活魔法をかけます。

　きらりーん！

「よし、これでピカピカになったね。じゃあ、シロちゃん行こうか」

　シロちゃんもぴょんと僕の頭の上に飛び乗って、スタンバイ完了です。
　荷物をまとめて、僕とシロちゃんは玄関に向かいました。

「色々お世話になりました」
「こちらこそ、助かったよ。ありがとう。諸々の依頼料は、後で順に冒険者ギルドに手続きしよう」

　僕は、ボーガン様と握手をしながら挨拶をしました。
　お金は沢山あるし、直ぐに必要としないから全然平気なんだよね。
　そして、他の人とも握手しました。

「寂しいと思っても、来週また屋敷に来るんだもんね」
「また直ぐに会えるから、楽しみにしているよ」

　あれ？
　チェルシーさんとスーザンさんが握手しながらにこやかに話をしたけど、来週屋敷に来る用事って何かあったっけ？

「レオ君、忘れているのね。治療で延び延びになったけど、来週から礼儀作法とかの勉強を行うわよ」
「あっ、そうでした！」

　チェルシーさんがちょっと苦笑しながら教えてくれたけど、街道の土砂崩れの報酬の一環で色々な勉強を教えてくれるんだった。
　シロちゃんも完全に忘れちゃったみたいです。

「来週から、第一の日と第二の日に勉強しましょう。息子を教えていた家庭教師にお願いする事になったわ」

　あの、マシューさんを教えていた家庭教師って、凄い人じゃないんですか？
　だって、未来の領主様を教えていた家庭教師だもんね。
　でも決定事項みたいだし、実際に会ってみないとどんな人か分からないもんね。
　直ぐに会うという事なので、サンダーランド辺境伯家の皆さんとは軽いお別れにしました。

「じゃあ、行きましょうね」
「お願いします！」

　そして、ミシャさんがボーガン様の屋敷までお迎えにきてくれたので、一緒に商会に向かいます。
　僕とミシャさんは、手を繋いで屋敷を後にしました。

「お屋敷から商会まで、どのくらいかかりますか？」
「歩いて十分くらいよ。レオ君の足だと十五分くらいかな。だから、勉強で屋敷に行くのも直ぐよ」

　ミシャさんの商会は冒険者ギルドの近くにあるそうで、冒険者ギルドに行くにもとっても便利ですね。

「街も沢山の人が歩いていますね。今までいたどの街よりも人が多いです」
「辺境伯領は、王都に次いで大きいわよ。だから、周辺の領地からも多くの人が訪れるのよ」

　僕の質問に、ミシャさんが返答してくれました。
　サンダーランド辺境伯領に着いた時にも思ったけど、本当に大きな街だよね。
　そして、十五分歩いてミシャさんの実家の商会に到着しました。

　どーん。

　って音が聞こえそうな程、とっても立派な建物の商会なんですけど。
　えっと、もしかしてもしかしてかな？

「ミシャさん、もしかして辺境伯領の中で一番大きなお店ですか？」
「実はそうなのよ。辺境伯家の方々も、良く使って頂いているわ」

　うん、凄いとしか言いようがない。
　僕もシロちゃんも、思わずビックリしちゃいました。
　という事は、ミシャさんは大商会のお嬢様なんだね。

「隣にある武器屋が、フレアの実家よ」
「武器屋さんもとっても大きいですね。凄いです！」

　フレアさんも、大きな武器屋さんのお嬢様なんだね。
　という事は、ミシャさんとフレアさんって実はとっても凄い人だったんだ。

「ミシャお嬢様、お帰りなさいませ」
「ただいま。この子が暫く一緒に暮すレオ君です」
「レオです、宜しくお願いします。このスライムは、シロちゃんです」

　商会に入ると、いきなり店員さんがミシャさんの事をお嬢様づて呼んだよ。
　そして、店の中にはこの前会ったミシャさんのお母さんもいました。

「おはようございます。暫くの間、宜しくお願いします」
「いえいえ、こちらこそ宜しくね。部屋を用意しているから、ミシャについて行ってね」

　ミシャさんのお母さんに挨拶して、僕はお店からお家の方に移動しました。

「今日はお店から中に入ったけど、別の入口もあるから後で教えてあげるね」

　ミシャさんに大きなお家の中を案内されています。
　うん、流石にボーガン様のお屋敷程じゃないけど、それでもかなりの広さだね。
　そして、とある部屋の前に着きました。

　ガチャ。

「はい、ここがレオ君の部屋よ。狭くてごめんね」
「いえ、あの、十分広いんですけど……」

　ミシャさんに案内して貰った部屋は、ビックリするくらい広いお部屋でした。
　僕が十人寝ても大丈夫そうな大きなベッドがあるし、応接室みたいなセットもあるよ。
　お部屋の中に、最新式の魔導具を使ったトイレまであったよ。

「じゃあ、また声をかけるから。それまでゆっくりしていてね」

　ガチャ。

　そして、ミシャさんは部屋を出て行きました。
　部屋がとっても大きいから、何だかとっても緊張しちゃいそうだよ。
　取り敢えず、ベッドに腰掛けて……

「うわあ、ふかふかだよ！」

　とってもふかふかなベッドに、またまたビックリです。
　僕とシロちゃんは、暫くの間ベッドの柔らかさを堪能していました。