小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

第三章 コバルトブルーレイク直轄領

第二百四話 新たな街へ出発します

　いよいよ、コバルトブルーレイクの街を出発する朝になりました。
　僕とナナさんは簡単に魔法の訓練をした後、着替えて部屋を片付けました。

　キラーン、シュイーン。

「これでよしっと、ベッドも綺麗になったよ」
「相変わらず、レオ君の魔法は凄いわね」

　生活魔法を使って、春からずっと泊まっていた部屋を綺麗にします。
　ナナさんは少し呆れていたけど、これで次に泊まる人も気持ちよく泊まれるはずだよね。
　食堂で朝食を食べてから、宿の玄関に向かいました。

「フルールさん、色々とありがとうございました」

　外まで見送りに来てくれたフルールさんに、僕はお礼を言いました。
　すると、フルールさんもニコリとして話し始めました。

「こちらこそありがとうね。皆が活躍したから、この宿も直ぐに次の人が決まったのよ」
「それは良かったですね」
「この宿が、活躍した冒険者が泊まっていた宿ってのもあるの。新人の女性冒険者にとって、憧れもあるそうよ」

　若い女性と小さな子どもの冒険者が中心となって盗賊団を捕まえたってのもあって、僕達は有名になっちゃったんだって。
　次に泊まる人も、この街で活躍して欲しいなあ。
　僕達は、フルールさんに手を振りながら宿を後にしました。
　早朝の街を、僕達は馬車乗り場に向かって歩いて行きます。
　まだ朝早いので、街を歩いている人はまばらでした。
　そんな中、馬車乗り場に到着です。

「おっ、レオ来たな」

　馬車乗り場には、冒険者が何人も待っていました。
　こんなに朝早いのに、僕とシロちゃんはビックリです。

「おはようございます。皆さん、朝早くからどうしたんですか？」
「お前らが一足先に旅立つって聞いてな、見送りに来たんだよ」

　わざわざ多くの人が、僕達の見送りに来てくれたんだ。
　皆も、僕達と握手してくれています。

「そろそろ、サンダーランド辺境伯領へ向かう馬車便が発車します」

　あっ、僕の乗る馬車が出発するよ。
　僕は改めて、ユリアさん達にお礼を言います。

「今まで、色々とありがとうございました。僕、とっても勉強になりました」
「私達こそ、色々と勉強になったわ。一緒に活動する時は少なかったけど、やっぱりレオ君は凄いと思ったわよ」
「私達だけじゃ、盗賊団を捕まえる事は出来なかったわ。レオ君も、元気でね」

　僕は、ユリアさんとイリアさんとハグをします。
　ゴブリンキングとの戦いでも、ユリアさんとイリアさんのアドバイスがとても役にたったね。

「ユマさんもハナさんもナナさんも、頑張って下さいね」
「レオ君に負けない様に頑張るわよ」
「私も、もっと頑張ります」
「師匠に負けない様に、これからも訓練を続けますわ」

　ユマさんとハナさんとナナさんとも、僕は握手してハグをしました。
　シロちゃんとも、握手をしてくれました。
　そして僕は、お金を払って馬車に乗り込みます。
　馬車には五人のお客さんが乗っているし、待たせるのは悪いよね。

「よっと、皆さん行ってきます！」
「「「気をつけて行ってこいよ！」」」

　僕とシロちゃんは、集まってくれた人に手を振りました。
　集まってくれた人も、僕とシロちゃんに手を振ってくれました。
　そして、お互いに姿が見えなくなるまで手を振っていました。
　半年くらいの滞在だったけど、コバルトブルーレイクの街の人は良い人が多かったね。
　さあ、新たな旅の出発です。