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第三章 コバルトブルーレイク直轄領

第百九十一話 盗賊を捕まえた事が皆の噂に

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 僕達は安息日は体の回復に努めて、第一の日から普通に冒険者活動を再開します。
 僕も、いつもと同じく魔導具修理工房に向かいました。

「レオ君、盗賊に襲われたんだって? 大丈夫だった?」
「全員捕まえたんだってな」
「あの、かまいたちのゼンとやりあったってな」
「わあ!」

 僕が工房に入ると、職人さんが僕の事を取り囲んできました。
 とっても心配してくれている人と、興味津々な人に分かれているね。

「僕は大丈夫ですよ。あのおばあさんはとても強かったけど、何とか倒せました。戦術に長年の経験が生かされていました」
「ギルドも騙す位の依頼を出したらしいし、組織として作られた盗賊団だったのだろうな」

 男性の職人さんが腕を組んでうんうんと頷いていたけど、事件の真相は正しい物がひろまっているんだね。

 シュイーン。

 僕は職人さんと話をしながら、シロちゃんと一緒に魔石に魔力を注入します。

「今回は、とても勉強になりました。初めての遠征でしたし、依頼内容にも注意する様にします」
「その考えは正しいぞ。美味しい依頼ほど、裏に何かがあると考えた方が良い。前にも、偽の依頼で大騒ぎになった事があったぞ」

 偽の依頼は、昔からあったんだね。
 悪い人は、あの手この手で色々と考えるんだな。
 僕も気をつけないと。

「あと、別の事で気をつけないとならないな。あの盗賊団には、かなりの額の懸賞金がかけられていた。となると、レオ達にたかる馬鹿な冒険者が出てくるだろう」

 前にも、僕に絡んできた冒険者がいたよね。
 確かにお金が絡むとなると、ちょっと面倒だよね。
 僕もシロちゃんも、十分に気をつけようっと。

 ゴソゴソ。

「あっ、空っぽの魔石が無くなっちゃった。追加の魔石はありますか?」
「おう、ちょっと待っていろ」

 職人さんに追加の魔石を持ってきて貰う間に、僕とシロちゃんはうーんと背を伸ばしました。

「じゃあ、魔石を持ってきたら休憩にしましょうね」

 ジュンさんが、お茶とお菓子をトレーに載せて持ってきてくれました。
 皆で大きなテーブルに移動して、昼食前の休憩タイムです。

「しかし、久々に大きな事件だったのに、難なく盗賊を捕まえるとは」
「やっぱり、レオ君は凄いんだね」
「ユリアさんとイリアさんが、色々指示をしてくれたので。僕は、その指示通りに動いただけですよ」
「そうだよな。レオ君と一緒にいた冒険者も、とても評価が高いんだよね」

 僕一人だけじゃ、盗賊は倒せなかったもんね。
 ユリアさんとイリアさんが的確な指示をしてくれたし、ナナさん達もとても頑張っていたもんね。

「そういえば噂で聞いたけど、レオ君が村を覆う高い土壁を作ったらしいけど、それは本当かい?」
「だいたい三メートルの高さの土壁を作りました。でも、魔力の節約であまり固くはしていないんです」
「いやいや、そんな土壁を作るだけで凄い事だよ。私の知っている魔法使いは、そんな事出来ないわよ」

 うーん、ナナさんが土魔法使いなら、普通に土壁はできそうなんだけどなあ。
 魔法使いによって魔力量が違うから、出来るできないはありそうだね。

「後は、かまいたちのゼンが放った巨大なトルネードを、咄嗟に放った小さなトルネードで打ち破ったってのは?」
「実際には、魔力溜めなしのトルネード二発です。あのおばあさんは、本当に強かったですよ」
「その強かった相手に、レオ君は同じ属性で戦いを挑んで勝ったのか。やっぱり、黒髪の魔術師は一味違うんだね」

 確かにおばあさんと戦った時に、強力なエリアスタンでも使えば直ぐに終わったかもしれないね。
 でも、強い魔法使いの魔法を見てみたいと思ったのも確かなんだよね。

「じゃあじゃあ、怪我をした村人を一人残らず治療したのも本当なの?」
「あっ、治療したのはシロちゃんですよ。今回、色々な人の治療はシロちゃんに任せちゃいました」
「凄い事を聞いちゃった。シロちゃんも、村では大活躍したんだね」

 シロちゃんも得意げに体をフリフリしているけど、今回はシロちゃんも大活躍だったもんね。
 シロちゃんは小さいけど、スーパースライムだもんね。
 休憩後も普通に仕事をして、夕方前に今日の仕事が完了しました。

「レオ君、再来週の午後はいつも通りにアクセサリー作りだけど、ちょっと場所を変えて行うわ」
「どこでやるんですか?」
「店内よ。理由は今度説明するわ」

 帰りがけにジュンさんから再来週の仕事について教えて貰ったけど、うーん何で店内でやるんだろうな?
 今度教えて貰えるみたいだし、きっと大丈夫だね。
 僕はそう思いながら、冒険者ギルドに行って窓口で完了手続きをしに行きました。

「おめーらが、盗賊を捕まえたっていう女性パーティだな」
「どうせ使い道がないんだから、俺等に貸してくれや」
「その体を貸してくれても良いんだぞ。ガハハ!」

 あっ、ナナさん達に不良冒険者が絡んでいるよ。
 運悪く、ユリアさんとイリアさんも近くに居ないみたいだ。
 僕とシロちゃんが急いで駆けつけようとしたら、その前にナナさん達は直ぐに動いていました。

 シューン、バシッ。

「な、何だこれは?」
「くそ、外れねえ」
「おいこら、コイツを外しやがれ」

 ナナさんが、ちょっと怒りながら不良冒険者をバインドで動けなくしました。
 すかさずユマさんとハナさんが、不良冒険者を縄で拘束しました。

「やれやれ、盗賊の方が怖かったけど大人しかったよね」
「そうだね。余計な事は言わなかったね」

 あっという間に不良冒険者を拘束して、駆けつけた守備隊員が不良冒険者を連行していきました。

「あの子らも、とても強くなったわね」
「今回の件が、良い方向に働いたわね」

 いつの間にか、ユリアさんとイリアさんが僕の側に立っていました。
 僕も村での出来事は良い経験になったけど、ナナさん達も本当に良い経験になったんだね。
 僕もユリアさんもイリアさんも、ニコニコしながらナナさん達を見てきました。
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