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第三章 コバルトブルーレイク直轄領

第百六十二話 勲章をもらう事になっちゃった!

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 翌日から、ナナさんの朝の訓練内容に魔力制御が加わります。
 体の中を循環させるのと、手などに集めるのですね。

「じゃあ、魔力をぐるぐると体中に回してみましょう」
「な、中々難しいですわね。レオ君と一緒に魔力循環をしてなければ、感覚が掴めませんでしたわ」

 でも、いきなり一人で魔力循環が出来ているから、やっぱりナナさんは凄いよ。
 思わずシロちゃんも、触手を叩いて拍手しています。

「次に、魔力を一箇所に集めます。実は魔力はどこにでも集められますが、最初は手とか指が良いですよ」
「こ、これは何とかできますわ。しかし、やはり難しいですわね」

 ナナさんは額に汗をかきながらも、指先に上手に魔力を集めています。

「最初は僕も中々できなかったですが、段々と魔力を制御出来てきますよ。魔力を制御できないと、魔法が暴発してしまうので」
「ええ、改めて魔法の難しさを実感しました。でも、難しいこそやりがいもありますわ」

 朝の魔法訓練も終わって休憩しているけど、ナナさんは汗を拭きながらも良い笑顔でした。
 ナナさんなら、コツコツと魔法の訓練を続けてくれそうです。

 ポツポツ。

「あっ、雨が降ってきちゃった……」

 剣技の訓練も終わって別荘に向かう皆を見送ったら、ぽつぽつと雨が降り出しました。
 本降りじゃないけど濡れちゃいそうなので、昨日購入したマントと帽子を被ります。
 シロちゃんは僕の胸元に入って、雨に濡れないようにします。

「雨の日は、街も何だか静かだね」

 雨で人通りが少ないのもあってか、街は普段よりも静かでした。
 そんな街中を、僕とシロちゃんはてくてくと歩いて行きます。
 いつもよりもちょっと時間がかかって、チャーリーさんの別荘に到着しました。

「レオ君、雨の中わざわざ来てくれて済まなかったね」

 応接室に向かうと、チャーリーさんが出迎えてくれました。
 でも、僕は雨くらい全然へっちゃらです。
 因みに、クリスちゃんはシロちゃんと一緒に遊んでいました。
 あっ、そうだ。
 早い内に、クリスちゃんにプレゼントを渡しちゃおう。
 僕は魔法袋の中から、髪留めをテーブルの上に取り出しました。

「わあ、とってもきれーだね!」
「クリスちゃんへのプレゼントです。シロちゃんも一緒に選んだんだ」
「わあー、ありがとー!」

 沢山の髪留めのプレゼントに、クリスちゃんは大喜びです。
 クリスちゃんの手の上にいるシロちゃんも、撫で撫でしてあげてました。

「レオ君、わざわざすまないね」
「昨日雨が降りそうだったから、たまたま寄った商店で購入しました。クリスちゃんに似合いそうな物を見ていたら、いっぱい買っちゃいました」
「そうか、そうか。クリスも喜んでいるし、大切に使わせてもらうよ」

 チャーリーさんもニコニコしてくれているし、髪留めをプレゼントして良かった。
 今日のクリスちゃんは綺麗に髪をセットしているので、明日から使うそうです。

「レオ君に伝えないとならない事がある。レオ君が解決に関わってきたセルカーク直轄領とアマード子爵領、そして今回のコバルトブルーレイク直轄領の事件を解決した事を受けて、レオ君に勲章が授与される事になった」
「ええっ! チャーリーさん、本当ですか?」
「ああ、本当だ。そもそも、今までレオ君に勲章が授与されなかった方がおかしいレベルなのだよ」

 僕が勲章を貰うなんて、何だかびっくりです。
 僕だけじゃなくて、周りの人の助けもあったから貰えるんだろうね。

「あと五日もあれば、軍とフランソワーズ公爵家の者がこのコバルトブルーレイク直轄領に着く。当初の予定よりも急いで来ているらしいぞ。そして、代官邸で授与式を行う予定だ」

 えっ、もうそんな直ぐに授与式ですか?
 僕の頭の中は、突然の事で何だかぐるぐるです。

「そうだ、授与式に着る服も用意しないならないな」
「あっ、アマード子爵家の皆さんに作って貰った服があります」

 僕は、魔法袋から一着の服を取り出しました。
 アマード子爵家の服屋さんで作った、それなりの事で使える服です。

「ふむ、革靴もあるし、これなら問題ないな。アマード子爵家は、しっかりとしている」

 ほっ、良かった。
 チャーリーさんも、アマード子爵家の準備の良さに感心していました。

「だが、これとは別にもう一着服があってもよかろう。仕立ての専門家を呼んでいる」
「えっ、あっ、はい……」

 チャーリーさんが、ニヤリとしながら僕の事を見たよ。
 最初から、僕の服を作ってくれるつもりだったんだね。
 ここは、ご厚意に甘えるとしましょう。
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