上 下
66 / 509
第三章 コバルトブルーレイク直轄領

第百六十一話 クリスちゃんに髪飾りを買ってあげよう

しおりを挟む
 昼食もごちそうしてくれる事になったので、僕達は食堂に移動しました。
 ポーションを作っている側で良い匂いがしてきたので、特にお腹ペコペコのクリスちゃんが我慢できなくなっちゃったみたいですね。

「レオ君、クリスの相手をさせて済まなかった」

 チャーリーさんも、午前中のお仕事を終えて昼食を食べにきました。
 ちょっと疲れているから、朝から忙しかったみたいですね。
 因みにクリスちゃんは、美味しそうに昼食を食べています。
 食欲があるのは、とても良い事ですね。

「僕は、クリスちゃんにポーション作りを見せていただけですので。それにしても、休暇中なのにお仕事で大変ですね」
「はは、魔導具が発達した弊害だな。ある程度の事は何処にいても出来てしまうのだよ」

 チャーリーさんはちょっと困った表情を見せているけど、コバルトブルーレイクの街に来るまでの間も馬車の中でお仕事をしていたんだって。
 休暇中なのにゆっくりできないのは、かなり残念だね。

「とはいえ、レオ君がクリスの相手をしてくれたお陰でかなりの仕事を片付けられた。例のバーサス子爵の件も、処分の方向性が決まったからな」
「処分の方向性、ですか?」
「ああ、王都では結構な大騒ぎになっている。バーサス子爵の屋敷から大量の武器などが見つかった。バーサス子爵に近い貴族と共に、目障りな貴族を襲撃して勢力拡大を狙っていたらしい」

 うわあ、バーサス子爵はそんな大事件を起こそうとしたんだ。
 そんな大事件が発覚すれば、王都が大騒ぎになるのも頷けるよね。

「元々コバルトブルーレイクの件も大事件だが、更に大きな事件に発展したからな。犯罪組織との取引疑惑も加わったし、バーサス子爵家は当然取り潰しになるだろう」

 確かに毒入りポーション事件でも凄い事なのに、更に大事件が発覚したからもうどうしようもないね。
 バーサス子爵には、キチンと反省して貰わないとね。

「おにーさま、おにくとってもおいしいの」
「それは良かったね。いっぱい食べるんだよ」
「うん!」

 おっと、クリスちゃんがとっても良い笑顔で話しかけてきたよ。
 僕も、きちんと昼食を食べないとね。

「では、僕はこれで失礼します」
「気を付けて帰るんだぞ」
「またあしたね」

 僕はチャーリーさんとクリスちゃんに挨拶をしてから、別荘を後にしました。
 うーん、空はますます雲が厚くなってきたね。
 僕は念の為に雨具を買いに、商店街に向かいました。

「水が浸透しない素材を使ったマントはどうでしょうか? 頭部を覆うものもありますよ」
「じゃあ、これをお願いします」
「畏まりました」

 少し大き目の商店で、フード付きのマントを手に入れる事が出来ました。
 防寒着にも使用できるらしいので、一石二鳥ですね。
 普段のキャスケット帽子とは違う、つばの広い帽子も手に入れました。
 これで雨が降ってもばっちりです。
 折角だから、店内をもう少し見てみよう。

 ちょんちょん。

「うん? シロちゃんどうした?」

 ふと僕の頭の上に乗っていたシロちゃんが触手でちょんちょんとしてきたけど、どうやらアクセサリーコーナーに行きたいみたいですね。

「もしかして、クリスちゃんのアクセサリーを選ぶの?」

 シロちゃんは、正解と言わんばかりに頭の上でふるふると震えているよ。
 幸いにして僕もお金を持ってるし、クリスちゃんへのアクセサリーを購入しよう。

「うわあ、色々な種類があるんだね」
「当店は貴族の方も立ち寄られますので、様々な種類を揃えております」

 マントを一緒に選んでくれた店員さんが説明してくれたけど、本当に色々な種類の髪飾りが置いてあります。
 クリスちゃんの髪色はとても綺麗なピンク色だから、どんな髪飾りでも似合いそうだね。

「迷っちゃうけどお金は沢山あるから問題ないし、この際だからいっぱい買っちゃおう!」
「ありがとうございます」

 という事で、クリスちゃんに似合いそうな髪飾りをシロちゃんと一緒に沢山選んで購入しました。
 店員さんもほくほく顔だったけど、たまにはこういうお金の使い方も良いもんね。
 僕は、購入したものを全部魔法袋に入れてお店を後にしました。

「お帰りなさい、レオ君」
「今日は何だか良い顔ね」

 宿に戻ると、ユリアさんとイリアさんが僕を出迎えてくれました。
 今日は、午前中に別荘関連のお仕事が終わったらしいです。

「クリスちゃんに似合いそうな髪飾りを沢山買ったんです」

 僕は、素直に髪飾りの事を話してしまいました。 
 ここで大失敗に気が付きませんでした。

「そう、それは良かったわね」
「じゃあ、私達には買ってくれなかったのかな?」
「あっ!」

 僕とシロちゃんは、ユリアさんとイリアさんの言葉にあってなっちゃいました。
 あわあわしている僕とシロちゃんに、ユリアさんとイリアさんは動きの邪魔になるから大丈夫よって言ってくれました。
 うう、ちょっと失敗しちゃいました……
しおりを挟む
感想 146

あなたにおすすめの小説

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

一家処刑?!まっぴら御免ですわ! ~悪役令嬢(予定)の娘と意地悪(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

チート転生~チートって本当にあるものですね~

水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!! そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。 亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。

聖女のはじめてのおつかい~ちょっとくらいなら国が滅んだりしないよね?~

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女メリルは7つ。加護の権化である聖女は、ほんとうは国を離れてはいけない。 「メリル、あんたももう7つなんだから、お使いのひとつやふたつ、できるようにならなきゃね」 と、聖女の力をあまり信じていない母親により、ひとりでお使いに出されることになってしまった。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~

月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。 「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。 そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。 『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。 その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。 スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。 ※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。) ※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。