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第三章 コバルトブルーレイク直轄領

第百五十二話 闇魔法を馬鹿にした初心者冒険者

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「レオ君、お待たせ」
「いえ、僕もポーション作っていましたから」
「レオ君は真面目だね。ここ数日大変な事が続いていたから、ゆっくりと休んで良かったのよ」

 ちょっと苦笑しながら、イリアさんが話してくれました。
 僕は暇になると、何かをしたくなっちゃうんだよね。

「でも、早速ポーションを作ってくれて助かったわ。少しでもポーションがあると、怪我をした人の為になるわ」

 ギルドマスターも初心者向け講習に参加していたみたいで、ニコリとしながら僕に話しかけてきました。

「皆さんはどうでしたか?」
「皆、凄い才能を持っているわよ。ユマちゃんは剣士、ハナちゃんは槍で、ナナちゃんは何と闇魔法の適性があったのよ」

 おー、凄いです。
 特に魔法使いは本当に少ないし、ナナさんの頭の良さももしかしたら魔法が使える恩恵なのかもね。

「でも、闇魔法って聞くと何だか怖いイメージがあるわ」

 ナナさんの表情はちょっと暗かったけど、確かに闇魔法は嫌なイメージがある魔法もあるよね。
 でも、闇魔法も使いこなせばとっても有効なんだよ。

「ははは、闇魔法なんて陰険なお前にぴったりだな」
「そうだな。それに、どうせ魔法使いなんて大した事ないしな。ははは!」

 むっ、突然若い男性二人組が突然僕達に絡んできたよ。
 ナナさん達と一緒に出てきたからこの二人組みも初心者なのに、何でこんなにも偉そうなの?
 僕もカチンとなっちゃったよ。
 シロちゃんもプンプンで、僕の頭の上に触手をフリフリして抗議しているよ。

「むー。僕も魔法使いだけど、そんな言い方はないですよ!」
「ははは、スライムをテイムしているガキが何を言っているんだが」
「ガキは家に帰って遊んでな。がはは!」
「むー!」

 何だろう、この勘違いをしている二人組は。
 すると、ギルドマスターがある提案をしてきました。

「なら、さっきの訓練場でこの子と対戦してみると良いわ」
「ふん、ギッタギタにしてやるぞ!」
「死んでも知らないぞ!」

 ギルドマスターが僕にウインクをしていたけど、もしかしたらこの二人組は問題児なのかもしれないね。
 そう思うと、僕もちょっと気持ちが落ち着いたよ。
 そして、皆と一緒に冒険者ギルド内にある訓練場に向かいます。

 ぞろぞろぞろ。

「な、何だか人がいっぱいついてきますよ」
「ふふ、中々面白い事になってきたわね。きっと、ついてくる人はレオ君の実力を知っているのよ」

 ちょうどお昼前で、ギルド内には沢山の冒険者が昼食を食べに集まっていました。
 中には、料理を片手についてくる人もいます。
 よく見ると、コバルトブルーレイクの街まで一緒だった冒険者の姿もあるよ。
 もはや観戦する気満々なんだね。

「公正を期する為に、私が審判を務めるわ。レオ君はシロちゃんとタッグね。では、準備を」
「はい」
「けっ、結局ガキとスライムが相手か。気が抜けるな」
「そうだな。さっさと終わらせて、飯にするか」

 二人組は余裕綽々だけど、僕はそう簡単に終わらせる気はないよ。
 という事で、僕も準備を完了させました。

「では、試合始め!」
「うら! がっ?」
「な、なんだこれは? 動けないぞ?」

 僕は、絶対に二人組が僕とシロちゃんに向かって突っ込んで来ると思ったので、ダークバインドで二人組を背中合わせで縛り付けます。
 二人組は訳も分からずにいて、ペタンと尻もちをついてしまいました。

「ナナさんの為に、今日は闇魔法を使って戦います。闇魔法もいっぱい凄い魔法があるんですよ」

 僕は観客席にいるナナさんにニコリとしてから、ジタバタしている二人組の拘束を解きます。
 バインド系はどの属性でも使えるし、汎用性もとっても良いですよね。
 次は、別の補助魔法です。

 ブォーン。

「な、なんだ? 目が見えないぞ!」
「何がどうなっている!」

 今度はブラインドで、相手の視力を一時的に奪います。
 うーん、何も見えなくて赤ちゃんみたいな動きをしているよ。

「本当はブラックアウトという視力だけじゃなくて声と耳も使えなくする魔法があるんですけど、僕はまだ使えないんですよね」

 僕は使えない魔法も沢山あるから、もっと訓練しないとね。
 では、またまた別の魔法です。
 先ずは、ブラインドを解いてっと。

 カキーン。

「おい、今度は閉じ込めたのかよ!」
「ここから出せ!」

 ダークバインドの上位魔法の、ダークケージです。
 小さな檻を作って、相手を拘束します。
 ダークバインドよりも、多くの対象物を拘束できます。
 まだまだいくよー!
 今度はダークケージを出したままで、やってみます。

 もわーん。

「今度は真っ黒な霧かよ」
「また、何も見えないぞ」

 ダークケージの中を、今度はダークミストで覆います。
 全く見えないのは、とっても怖いですよね。
 取り敢えず、補助魔法はこのくらいにしておきます。

 シューン。

「「はあ、はあ、はあ……」」

 補助魔法を使っただけなのに、二人とも叫んだりしていたからとっても疲れているよ。
 じゃあ、今度は攻撃魔法です。

 シューン、ヒュンヒュン。

「「うげー!」」

 ずさー。

「勿論、ダークバレットやダークアローにダークカッターみたいな、闇系の攻撃魔法もあります。結構、威力もありますよ。ブラックホールっていう魔法もあるみたいですけど、まだ僕には使えないです」

 二人とも、僕が放ったダークバレットをモロにみぞおちに食らって吹っ飛んでいきました。
 ブラックホールは強力な吸引力で相手を引き寄せて圧力で粉々にする、とんでもない魔法だよ。

「う、うげー」
「こ、殺す、殺してやる」

 景気よく吹っ飛んだ二人は、嘔吐をしながらもナイフを手に殺気を出してきました。
 でも、足はガクガクブルブルとしているし手も震えているし、二人とも満身創痍って感じだね。
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