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第三章 コバルトブルーレイク直轄領

第百三十六話 突然の襲撃

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 しかし、次の日の夜明け頃に予想外の事件が起きました。

 カンカンカンカン、カンカンカンカン。

「うーん、むにゃむにゃ。えーっと、この鐘の音は何だろう?」

 ベッドですやすやと寝ていたら、突然外から大きな鐘の音が聞こえてきました。
 しかも、何回も打ち続けています。
 僕だけでなく、シロちゃんも大きな音にビックリして起きちゃったみたいです。

 ゆさゆさ、ゆさゆさ。

「ユリアさん、イリアさん、起きて起きて。大きな鐘の音がするよ」

 ゆさゆさ、ゆさゆさ。

「「うーん」」

 僕が何回か揺すると、ユリアさんとイリアさんも目をこすりながら起きてきました。
 一体何だろうという表情をしていたんだけど、大きな鐘の音を聞いたらユリアさんとイリアさんの表情が焦ったのに変わりました。

「この鐘って、まさか!」
「緊急事態を知らせる鐘だわ!」

 えっ、緊急事態?
 一体何があったんだろうかと思ったら、部屋のドア越しに冒険者からの声がかかりました。

 ドンドン。

「おい、起きろ! ゴブリンの集団が街を襲ってきやがった!」
「「「えっ!」」」

 まさかゴブリンが襲ってくるなんて、僕もシロちゃんもユリアさんとイリアさんも顔を見合わせてビックリしちゃいました。
 急いで着替えて、宿の外に出ます。

「ゴブリンが襲ってきたぞ! 早く避難を!」

 宿の外では、守備隊の人が大声で叫んでいました。
 多くの人が、建物の外に出てきました。

 カンカンカンカン、カンカンカンカン。

 まだ薄暗い村の中を、大きな鐘の音が響いています。
 念の為に、僕は広範囲の探索魔法を使いました。
 えっ、これは?

「街の外に、敵っぽい反応が凄く沢山あります!」
「そいつ等がゴブリンだろう。この村の防壁は木造だ。早くしないと、ぶち壊されるぞ!」

 僕達は、一斉に敵の反応っぽい所がある場所へ走り出しました。
 すると、防壁の門の櫓に守備隊の人が集まっていて、門の上から弓矢を使って攻撃していました。
 でも、木の防壁が集まったゴブリンに押されてミシミシといっていて、今にも壊れそうだよ。

「助太刀にきました」
「おお、助かる」

 櫓は二箇所あって、僕とユリアさんとイリアさんと他の冒険者達に分かれました。

「レオ、この際仕方ない。魔力を使うが広範囲魔法で門の前の奴らをどうにかしろ!」
「はい、やってみます」

 もう一つの櫓から、冒険者の声が聞こえました。
 僕は、両手に魔力を溜め始めました。

「風魔法で一気にゴブリンを倒します!」

 そして、一気に魔力を放出します。

 ヒュー、ヒュー、グォーン!

「「「ギャー!」」」
「す、凄い。これが黒髪の魔導師の広範囲魔法……」
「一発で、百匹は倒したぞ……」

 僕は竜巻みたいな風魔法を発動させて、一気にゴブリンを包み込みます。
 ゴブリンは、風に包まれて切り刻まれながら倒れていきました。
 櫓の上にいる守備隊の人は、僕の魔法にビックリしたみたいです。

「よっしゃ、スペースが空いたぞ。防壁の前に出て、ゴブリンを倒すぞ!」
「僕は補助魔法で支援します」

 防壁の前に大きなスペースが出来たので、皆で櫓を降りて防壁の門から外に出ます。

「「「ギャッギャー!」」」
「ちい、まだ結構いるぞ」
「でも、まだゴブリンだけだ。各個撃破せよ」

 森からまだまだゴブリンが襲ってくるけど、守備隊の人も冒険者もやるしかありません。
 負けちゃったら、村の人も含めて全滅だもんね。

「えーい!」
「グォ?」

 僕はエアバインドを使って、ゴブリンを次々と拘束していきます。

「えい、やあ!」
「とー!」

 拘束されたゴブリンは、守備隊の人やユリアさんとイリアさんを始めとする冒険者に次々と討ち取られていきます。

 ピュッ、ピュッ。

「ギシャー」

 そして、僕の頭の上から肩に移動したシロちゃんも、触手から酸弾を飛ばしてゴブリンを倒していきます。
 凄い!
 シロちゃんの酸弾一発で、ゴブリンが倒れていくよ。
 シロちゃんって、こんなに強かったんだね。

「これは本当に楽だ。ゴブリンの反撃を気にせずに対応出来るなんて」
「レオ君の補助魔法が凄いんだよ。我々も、ほぼ無傷で対応できるとは思ってもみなかった」

 守備隊の人は僕のエアバインドにとても驚いているけど、僕としては安全第一でやった方が良いと思っているよ。
 安全に確実に。
 僕はそう思いながら、どんどんとエアバインドを放ちます。

「あっ、こうすれば良いのかな?」

 キュイーン。

「「「ギャッ!」」」

 エアバインドを沢山放っていたら、何だか効率よく出来る様になったよ。
 試してみたら、数匹まとめて拘束できる様にもなっちゃった。

「レオ、五匹位は纏めても全然平気だ。どんどんやっちまえ!」
「そうだな。五匹くらい一気に倒せなければ、守備隊の名折れだ」

 冒険者からも守備隊の人からも、纏めて拘束するのは好評です。
 僕は気合を入れ直して、エアバインドを放って行きました。
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