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第二章 アマード子爵領

第百五話 ケリーちゃんは皆の人気者

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 教会の修復も続くけど、僕はいつもの依頼を受けていきます。
 僕は週一回しか教会の依頼を受けられないので、教会に行く度に床が新しくなっていそうですね。
 冒険者にとっては臨時の仕事が発生しているし、助かっているみたいです。

「教会も古いからね。床の一つくらいは抜けるだろう」

 休憩時間に、フローネさんとアクアさんと教会の事で話をしました。
 フローネさんも教会の件は知っていて、しょうがないねって表情をしていました。
 壊れちゃったものは仕方ないので、直せばいいだろうって考えみたいです。
 
「この時期は結婚式も少ないし、教会としての行事もないわ。安息日の集まりには問題なさそうですし、新年の説法までに間に合えば良いですね」

 アクアさんはというと、床が壊れたタイミングが今で良かったと言っています。
 春先だと結婚式が行われる事が多いらしく、今の時期は寒くなるので結婚式が行われないそうです。
 新年は人が集まるらしいけど、それまでには良くなるのかな?
 と、こんな事を聞いていますが、僕は今大変な事になっています。

「えろえろえろ」
「ケリーちゃん、舐めるのやめようね」
「えろえろえろえろ」

 僕は座りながらケリーちゃんを抱っこしているんだけど、何故かケリーちゃんが僕のほっぺをずーっと舐めているんです。
 ケリーちゃんは、実に楽しそうにニコニコしながら僕のほっぺに夢中になっています。
 お陰で、僕のほっぺはケリーちゃんのよだれでべろべろです。

「ケリーは、本当にレオ君の事が大好きなのね。でも、そろそろ仕事を再開しないとね。ケリー、お家に帰るわよ」
「ううー」

 アクアさんが僕からケリーちゃんを引き離したけど、ケリーちゃんはとっても不満そうです。
 僕はタオルで涎まみれになったほっぺを拭いてから、仕事を再開します。
 今日は沢山の希少金属が搬入されたから、僕も頑張ってお仕事しないと。
 休憩後は、昼食の時間まで頑張って希少金属に魔力を注入しました。

「あれ? アクア、ケリーはどうした?」
「ケリーは、今は事務所でお昼寝しているわ」
「そ、そうか……」

 昼食時のケリーちゃんとのふれあいタイムが無くなってしまい、ドモンさんは思わずガクッとしてしまいました。
 流石に、お昼寝中のケリーちゃんを起こす訳にはいかないもんね。

「ドモンは仕事の後にケリーと触れ合えば良いだろうよ。あの子は、俺らが触っても全然嫌がらないし、俺らも触れ合いたいんだよ」
「そうだな。ケリーは外見はアクアそっくりだけど、あの図々しさはどう考えてもドモン譲りだ」
「おい、誰が図々しいってか?」

 ケリーちゃんは全然人見知りしないので、工房の職人さん達にも大人気です。
 でも、今日のケリーちゃんとのふれあいタイムはお預けですね。

「大の大人が赤ん坊に会えなくてぴーぴーしているなんて、みっともないったらありゃしないよ」
「そういうばーちゃんだって、家にいるときはケリーにべったりじゃないか」
「当たり前だよ。可愛いひ孫じゃないか」

 フローネさんも、仕事中はあまりケリーちゃんとは触れ合わないでいるんだよね。
 その代わりに、お家に帰ったらいっぱい遊んでいるんだって。
 お風呂には、親方さんかドモンさんがケリーちゃんを入れているそうです。
 皆仲良しで、とっても良いですね。
 こんな雰囲気の中で、午後も順調に仕事は進んで行きました。

「へえ、工房の人たちは皆仲良いんだね」
「レオ君にぴったりの職場だね」

 仕事を終えた僕は、ユリアさんとイリアさんと一緒にお風呂に入っています。
 因みに、ユリアさんとイリアさんは指名依頼以外は暫く教会の仕事に専念するそうです。
 教会としても、有能なユリアさんとイリアがいるのはとっても助かるよね。

「教会の床の張り替えは、予定よりも進んでいるよ」
「もしかしたら、新年前には終わっちゃうかもって聞いたわ」

 皆が頑張っているから、教会の修繕も色々進んでいるそうです。
 新しい床が張られた教会で、皆で新しい新年を迎えたいね。
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