異世界転生したので、のんびり冒険したい!

藤なごみ

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第十二章 ルキアさんの結婚式

第二百五十三話 露店でお買い物

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「「こんにちは!」」
「はい、いらっしゃいませ」

 玄関ホールでオーウェン皇子とベラ皇女が元気よく挨拶をすると、中からルキアさんが出てきた。
 二人を笑顔で出迎えている。

「ルキア様、この度は改めてのご招待に感謝致します」
「こちらこそ遠い所からいらして頂き、誠に有難うございます。お部屋を用意していますのでご案内しますわ」

 ルキアさんは侍従に指示をして、三人を滞在する部屋に案内した。
 どうもオーウェン皇子とベラ皇女は、街中に行くのが楽しみで仕方ないらしい。
 滞在する部屋に向かいながら、ソフィー皇女に一生懸命に話をしている。
 そんな様子を眺めながら、ルキアさんと応接室に入っていった。

「あら、早かったのね」
「王妃様、一体これは?」
「フラワーガールにフラワーボーイの衣装よ」

 応接室に入ったら、先入りしていた王妃様達が子ども用のスーツとドレスを広げていた。
 スーツもドレスも、結構な数があるぞ。

「これはまた、すごい数の衣装ですね」
「今回参加する小さい子が多いから、どうせなら、皆で結婚式を盛り上げようというわけ」
「確かに、思ったよりも小さい子が多いですね」
「ベールボーイとベールガールは、ルキアたっての希望で保護している子ども達がやることになっているわ」
「あの子達も少しずつ働いてくれていますが、私にとっては家族同然なので」
「ルキアさんは保護した子も家族の様に大事にしてきますから、丁度良い役割ですね」
「ちなみにリングボーイとリングガールは、ウィリアムとルーナがやることになっているの」
「未来の王様と王妃様ですか。でもよく考えれば、ルキアさんとアルス王子の親戚でもあるんですよね」

 結婚式をアットホームに演出できるし、とっても良いアイデアだと思う。
 この演出にはオーウェン皇子とベラ皇女も参加するそうなので、後ほどサイズ合わせをするそうだ。

「お待たせしました」
「「お祭り!」」

 と、そこにソフィー皇女と、街に行くのが楽しみで仕方ないオーウェン皇子とベラ皇女が入ってきた。
 ソフィー皇女は冒険者スタイルで、オーウェン皇子とベラ皇女も普通の人が着るような服だ。

「では、街に向かいましょう。王妃様、ルキアさん、行ってきます」
「「行ってきます!」」

 ソフィー皇女とオーウェン皇子にベラ皇女を連れて、俺は屋敷を出た。

「お、やっときた」
「では行きましょうか」

 と、外に出たところでエステルとリンが待っていた。
 二人とも騎士服で、剣も下げている。

「海外からの要人なのだから、護衛は必要でしょう?」
「王妃様からも頼まれましたので」
「皆様、すみませんが宜しくお願いします」
「良いのよ。仕事なのに飲み食いできるって最高ね!」

 エステル、本音だろうがそれは心の中に閉まっておきなさい。
 そばにいた門番が苦笑しているぞ。

「「うわあ!」」
「活気があっていいですね」

 皆で街に出ると、色々な掛け声がして様々なものが売られている。
 早速オーウェン皇子とベラ皇女に、綿飴みたいな物を買ってあげた。
 二人は美味しそうに食べているな。

「えーっと、肉串焼きにソーセージ焼きにお好み焼きにたこ焼きに……」

 エステル、貴方は自重しなさい。 いくらなんでも買いすぎです。
 買って直ぐにマジックバックにいれているから、後で食べるつもりだろう。

「おもちゃとかも売っていて、とても楽しいですね」

 ソフィー皇女は、二人に手作りおもちゃを買ってあげていた。
 ちなみについてきたマーモ達にも、果物を買ってあげている。
 器用に手を使って、美味しそうに食べている。
 
「あ、お兄ちゃんだ!」
「本当だ!」
「オーウェンとベラもいるよ!」

 ここで巡回中のミケとララとリリに遭遇。
 何やら、ズリズリ引っ張っているけど。

「ミケ、この人達は何だ?」
「スリだよ」
「これから騎士団に預けてくるの」
「もう三回目だよ」

 縄で拘束された五人を、ミケがズリズリ引っ張っている。
 ミケの力なら問題ないけど、物凄い注目を浴びている。
 何より、スリの連中が痛そうだ。

「ミケ、リアカーを出すからそれで運びなさい」
「おお。そういえば、ミケリアカー持っていたよ」

 持っているなら使いなさい!
 テヘヘってやりながら、ミケはリアカーを出してスリの連中を乗せた。
 俺はこっそりと、スリの連中の擦り傷を治療しておいた。

「フルーツジュースをララに渡しておくから、後で飲みなさい」
「ありがとー!」

 ララにジュースを渡すと、ミケ達はリアカーを引いていった。
 ララ達がいるから、もうミケがズリズリ引っ張る事はないだろう。

 その後も巡回中のメンバーにちょくちょく遭遇したが、一番驚いたのがスラタロウがバハムートに乗って市場で買い物をしていた事。
 既に何回かやり取りをしていたのか、店のおばちゃんも普通に対応していた。
 アイテムボックスからカードを取り出して会計をして、商品を受け取るとアイテムボックスに入れている。
 そして、そのままバハムートに乗ってお屋敷に向かっていった。

「スラタロウは、王都でも馬やバハムートに乗って買い物しているよ。この間も、巡回中に店のおばちゃん達と話をしているスラタロウを見かけたし」
「ワープで遠くの食材も仕入れているし、サトーさんも知っているかと思いました」

 スラタロウは、普段から買い物に出ているの?
 どうも俺以外のうちの人は、皆この事を知っているという。
 メイドさんとも買い物に行くという。
 これでは、ますますスラタロウに頭が上がらなくなる。

 一時間程街を巡ったところで丁度お昼になったので、皆でお屋敷に戻った。
 今日は王妃様もいるので、ちょっとしたコース料理が出されている。
 どうも披露宴で出される料理の試食も兼ねているらしく、いつの間にか陛下や宰相も来ていた。

「さて、食後はしっかりと働かないとな」
「あれ? 俺は今日一日ここにいる予定でしたけど」
「まあまあ、書類も沢山あるしね」
「え?」

 そして俺はスラタロウによって陛下と宰相と共に王城にワープし、沢山の書類をこなす事になった。
 明日は一日ブルーノ侯爵領ですよね?
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