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第八章 ドワーフ自治領

第百八十八話 サザンレイク侯爵領への道中

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「道中お気をつけて」
「また来てね!」

 ミケたちを王都に送った後、俺達はバルガス様とサリー様に見送られながらドラコの実家に出発。
 道中はサザンレイク侯爵領で一泊することに。
 マリー様がそんな速く走る馬車があるのかと乗りたがっていたが、お腹の赤ちゃんに何かあっては行けないので遠慮してもらった。

 馬車は田舎道を、ゆっくりではなく爆走しながら進んでいく。
 そしてこのメンバーでは、俺が御者をしないといけない。

「うーん、うーん」

 あ、ドラコの頭から煙が出ていそうだ。
 というのも、馬車の中では暇なのでビアンカ殿下とレイアが仕事を始めてしまい、マチルダも勉強を始めていた。
 そうなると、流石に勉強しないわけにもいかないドラコは、俺が持ってきた勉強の本を読んでいた。
 問題は解けるのだが集中力が続かず、開始から一時間でオーバーヒートを起こしていた。
 ちなみに、ベリルは御者席で俺の横にいる。
 勉強している雰囲気がそもそも駄目らしい。

 それから一時間、お昼前には最初の街に到着。
 ここはまだバルガス公爵領だという。
 バルガス様の領地はすごく広い。
 そう実感させられる。
 街と言っても小さな宿場町で、市場で売られているものもバルガス公爵領では大体同じだ。

 休憩をして、軽く軽食をとったら直に次の街に出発する。
 ここからは別の貴族の領地に入っていく。
 平原が続いていき、アチラコチラで麦が作られている。
 この辺はどこの領地でも、あまり変化はない。
 農業が主流の小さな領地の集まりだ。
 ちなみに馬車の中では、皆お昼寝タイム。
 よく考えると、ビアンカ殿下もドラコも今年九歳なんだよね。
 とても優秀だけど、まだまだ子どもだ。

 二時間も走れば、次の街に到着。
 小さな男爵領だが、実はここの街の教会に用事がある。
 
「クマミは元気にしておりますか?」
「今朝着いたばっかりですけど、早速仕事を始めています」
「そうですか、あの子は小さいけど一生懸命てすからね」
  
 両親が不慮の事故で亡くなってしまったので、クマミはこの街の教会に引き取られていた。
 そこからバルガス様のところでメイド見習いとして仕事を始め、うちのところにきたわけだ。
 壮年のシスターにクマミからの手紙を渡すと、シスターはニコニコしていた。

「シスター、お久しぶりです!」
「クマミも元気で良かったわ」

 ということで、うちに戻ってクマミを連れてきました。
 フローレンスと一緒に仕事をしていたので、断ってきた。
 クマミは、久々に会えたシスターに抱きついている。
 
「この子は突然現れた聖女様にとても憧れていて、いつか聖女様にお仕えしたいといっていたのよ。それがこんなにも早く叶うとわね」
「へ、へぇ、そうなんてすね」

 言えない、俺がその聖女だなんて言えない。
 クマミはもう知っているけど、ニコニコしているシスターには絶対に言えない。
 背後でビアンカ殿下達がニヤニヤしているけど、気にしないことにしておこう。
 ちなみにメイドとして仕えるので、クマミと呼んでくれとお願いされた。

 仕事の途中だったクマミをうちに送っていき、今日の目的地であるサザンレイク侯爵領に向かって出発。
 段々と道沿いに大きな川が見えてきて、かなり大きな湖が見えてきた。
 サザンレイクという、領地の名前にもなった大きな湖だ。

「ほお、これは中々の絶景じゃのう」
「綺麗だね」
「鳥さんも一杯いるよ」
「泳いだら気持ちよさそうだ」

 湖の周辺は整備されていて、コテージみたいなものもある。
 確かに観光地としてもいい立地だな。
 こういう所で一日ノンビリとしてみたい。

 暫く進むと、湖畔にある大きな街が見えてきた。
 ここがサザンレイク領の街か。
 沢山の人が行き交っていて、かなり活気がある街だな。
 市場では周辺の街からの作物に加えて、サザンレイクで取れたであろう沢山の魚が売られていた。
 こういうのを見るとスラタロウが喜ぶので、幾つかの種類の魚を買っていく。
 また、南方なので果物も種類が多いので、併せて買っていこう。

 そうこうしているうちに、サザンレイク領のお屋敷に到着。
 侯爵は、お屋敷にいるかな?
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