168 / 394
第七章 ゴレス侯爵領
第百六十八話 開拓開始
しおりを挟む
「おお、中々の道具が揃っているな」
「これなら、直ぐに工事ができるぜ」
前日の会議の後に王都で道路工事に使える道具を買い揃えたので、翌日には直ぐに工事を始められる状態にしておいた。
というか、ゴレス侯爵は本当に何でも売ってしまったのか、お屋敷の倉庫の中も空っぽだった。
獣人達には、林業で使う道路と鉱山で使う道路を優先して作業してもらう。
元々林業や鉱山で働いていた獣人が多いので、道路の使い勝手は自分達が一番分かっているだろう。
「おじちゃん達、頑張ってね!」
「おうよ」
ミケに見送られて、獣人の土木部隊は現地に向かった。
暫くは日帰りで作業する予定。
林業と鉱山の操業再開に合わせて、現地でも作業するという。
ちなみに、お金は林業と鉱山の元締めに渡してある。
早期の操業再開を目指して、色々作業するという。
この領主の基幹産業だから、早く復旧してほしい。
そしてお屋敷の前では、炊き出しをしつつ文官やメイドに騎士の募集受付。
受付会場をゴレス侯爵領のお屋敷前に絞ったが、ブラントン領やマルーノ領からも話を聞いた人が集まってきた。
当然受付の時に残党や犯罪者などは捕まっているのだが、今回その役割を果たしているのがマシュー君達。
「この人悪者!」
「嫌なこと考えてる」
「捕まえて!」
最初に指摘された者は子どもが何を言っているかと笑っていたが、取り調べると直ぐにワース商会の残党だと分かった。
その様子を見て慌てて列から途中離脱した者も捕らえられ、捕らえられた者は全て問題があると判明した。
人手不足でどうなるかと思ったけど、問題なく面接兼一次審査が進んでいった。
午後から面接の予定だが、現場の人がいたほうが良いとの事で王都の屋敷を接収された際にいた執事やメイドに門兵を再雇用し、面接に参加してもらうことになった。
勿論アメリア様達も面接に参加する。
一次審査を通過した人々なので、変な人は混じっていないし、余程の事がない限り皆採用されるだろう。
「一次審査は無事に終わりましたね」
「これから来る人もいるので、あと数日は受付するそうです」
昼食時にアメリア様に聞いてみたけど、思ったより人が集まって嬉しそうだった。
本当に住民の心が離れてしまったら、こうして応募に訪れる人はいない。そうならなくて、安堵している。
ちなみに午前中活躍していたマシュー君達は、昼食を食べ終わっていたのでニー達と遊んでいた。
午後も、お昼寝タイム以外は手伝うと張り切っていた。
俺の午後は、ビアンカ殿下と住人代表と一緒に街の拡張についての視察。
といっても、今まで開発をしてこなかったから土地はあまり放題。
街から少し離れた所に畑や果樹園を区画ごとに区切って作る案も出された。
今は草木に覆われているけど、平坦な土地だから土壌改良さえ行えばいい畑になりそう。
「ビアンカ殿下、ワクワクしていませんか?」
「勿論じゃ。これだけ手つかずの土地が沢山あるのじゃ。やりがいはあろうよ」
ビアンカ殿下は、手つかずの一帯をみてワクワクしていた。
これがどのように変貌するか、とても楽しみなのだろう。
これがゴレス侯爵にとっては、草木ばかりでうんざりする光景なのだろう。
一緒にきている代表も、開墾の際に是非協力させてくれと言われた。
俺とビアンカ殿下の話を聞いて、計画の具体性が見えてきたという。
「日当たりの良い、まさに高原ですね」
「土壌も問題ないのう」
続いてブラントン領に向かったが、ここも高原に言うに相応しいなだらかな丘があった。
日当たりもよく近くに小さな池もあったので、水源も問題ない。
街も拡張できるし、開発に支障は全く問題ない。
そして、一番驚いたのがマルーノ領。
「サトー、この街に温泉があったよー」
「温泉? マジで?」
「マジマジ! 地元の人しか使わないんだってー。景色もいいよ」
リーフからの報告だったが、まさか温泉があるとは。
行ってみると、確かにこじんまりとしているが盆地を見渡せる眺めの良い温泉があった。
背後に山があるから、そこから湧き出ているんだ。
そっか、この辺の土は火山灰が積もったものだから畑作に向いているんだ。
そして盆地は扇状地の構造でもあるから、水はけもいい。
「ビアンカ殿下、ここ一帯はポテンシャルすごくないですか?」
「妾も同じ事を考えておった。ゴレス侯爵達は目先の利益しか考えていなかったのじゃろう」
「少なくとも普通に暮らすだけなら、全く問題ないですね」
夕食時に俺とビアンカ殿下が感じだ事を皆に話したら、同じ様な感想が多かった。
「私は殆ど屋敷の外に出されなかったので、屋敷の外がこんなにも可能性があると思いませんでした」
「私も、家族から高原は役に立たないと言われていました」
「温泉の存在は知っていましたが、そこまで良い環境だとは知りませんでした。父は風呂と違いはあるかと気にもとめていませんでした」
特にアメリア様達は領内の状況を遠ざけていたり家族が正しく認識していなかったため、今までの認識が覆されていた。
何れにせよ、この計画がどのくらい実効性があるか、明日来る王家の御用商人と詰めないと。
「これなら、直ぐに工事ができるぜ」
前日の会議の後に王都で道路工事に使える道具を買い揃えたので、翌日には直ぐに工事を始められる状態にしておいた。
というか、ゴレス侯爵は本当に何でも売ってしまったのか、お屋敷の倉庫の中も空っぽだった。
獣人達には、林業で使う道路と鉱山で使う道路を優先して作業してもらう。
元々林業や鉱山で働いていた獣人が多いので、道路の使い勝手は自分達が一番分かっているだろう。
「おじちゃん達、頑張ってね!」
「おうよ」
ミケに見送られて、獣人の土木部隊は現地に向かった。
暫くは日帰りで作業する予定。
林業と鉱山の操業再開に合わせて、現地でも作業するという。
ちなみに、お金は林業と鉱山の元締めに渡してある。
早期の操業再開を目指して、色々作業するという。
この領主の基幹産業だから、早く復旧してほしい。
そしてお屋敷の前では、炊き出しをしつつ文官やメイドに騎士の募集受付。
受付会場をゴレス侯爵領のお屋敷前に絞ったが、ブラントン領やマルーノ領からも話を聞いた人が集まってきた。
当然受付の時に残党や犯罪者などは捕まっているのだが、今回その役割を果たしているのがマシュー君達。
「この人悪者!」
「嫌なこと考えてる」
「捕まえて!」
最初に指摘された者は子どもが何を言っているかと笑っていたが、取り調べると直ぐにワース商会の残党だと分かった。
その様子を見て慌てて列から途中離脱した者も捕らえられ、捕らえられた者は全て問題があると判明した。
人手不足でどうなるかと思ったけど、問題なく面接兼一次審査が進んでいった。
午後から面接の予定だが、現場の人がいたほうが良いとの事で王都の屋敷を接収された際にいた執事やメイドに門兵を再雇用し、面接に参加してもらうことになった。
勿論アメリア様達も面接に参加する。
一次審査を通過した人々なので、変な人は混じっていないし、余程の事がない限り皆採用されるだろう。
「一次審査は無事に終わりましたね」
「これから来る人もいるので、あと数日は受付するそうです」
昼食時にアメリア様に聞いてみたけど、思ったより人が集まって嬉しそうだった。
本当に住民の心が離れてしまったら、こうして応募に訪れる人はいない。そうならなくて、安堵している。
ちなみに午前中活躍していたマシュー君達は、昼食を食べ終わっていたのでニー達と遊んでいた。
午後も、お昼寝タイム以外は手伝うと張り切っていた。
俺の午後は、ビアンカ殿下と住人代表と一緒に街の拡張についての視察。
といっても、今まで開発をしてこなかったから土地はあまり放題。
街から少し離れた所に畑や果樹園を区画ごとに区切って作る案も出された。
今は草木に覆われているけど、平坦な土地だから土壌改良さえ行えばいい畑になりそう。
「ビアンカ殿下、ワクワクしていませんか?」
「勿論じゃ。これだけ手つかずの土地が沢山あるのじゃ。やりがいはあろうよ」
ビアンカ殿下は、手つかずの一帯をみてワクワクしていた。
これがどのように変貌するか、とても楽しみなのだろう。
これがゴレス侯爵にとっては、草木ばかりでうんざりする光景なのだろう。
一緒にきている代表も、開墾の際に是非協力させてくれと言われた。
俺とビアンカ殿下の話を聞いて、計画の具体性が見えてきたという。
「日当たりの良い、まさに高原ですね」
「土壌も問題ないのう」
続いてブラントン領に向かったが、ここも高原に言うに相応しいなだらかな丘があった。
日当たりもよく近くに小さな池もあったので、水源も問題ない。
街も拡張できるし、開発に支障は全く問題ない。
そして、一番驚いたのがマルーノ領。
「サトー、この街に温泉があったよー」
「温泉? マジで?」
「マジマジ! 地元の人しか使わないんだってー。景色もいいよ」
リーフからの報告だったが、まさか温泉があるとは。
行ってみると、確かにこじんまりとしているが盆地を見渡せる眺めの良い温泉があった。
背後に山があるから、そこから湧き出ているんだ。
そっか、この辺の土は火山灰が積もったものだから畑作に向いているんだ。
そして盆地は扇状地の構造でもあるから、水はけもいい。
「ビアンカ殿下、ここ一帯はポテンシャルすごくないですか?」
「妾も同じ事を考えておった。ゴレス侯爵達は目先の利益しか考えていなかったのじゃろう」
「少なくとも普通に暮らすだけなら、全く問題ないですね」
夕食時に俺とビアンカ殿下が感じだ事を皆に話したら、同じ様な感想が多かった。
「私は殆ど屋敷の外に出されなかったので、屋敷の外がこんなにも可能性があると思いませんでした」
「私も、家族から高原は役に立たないと言われていました」
「温泉の存在は知っていましたが、そこまで良い環境だとは知りませんでした。父は風呂と違いはあるかと気にもとめていませんでした」
特にアメリア様達は領内の状況を遠ざけていたり家族が正しく認識していなかったため、今までの認識が覆されていた。
何れにせよ、この計画がどのくらい実効性があるか、明日来る王家の御用商人と詰めないと。
61
お気に入りに追加
3,209
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。
いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成!
この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。
戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。
これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。
彼の行く先は天国か?それとも...?
誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中!
現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた
ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。
遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。
「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。
「異世界転生に興味はありますか?」
こうして遊太は異世界転生を選択する。
異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。
「最弱なんだから努力は必要だよな!」
こうして雄太は修行を開始するのだが……
元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~
冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。
俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。
そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・
「俺、死んでるじゃん・・・」
目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。
新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。
元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる