41 / 394
第二章 バスク子爵領
第四十一話 バスク子爵領に到着
しおりを挟む
「お兄ちゃん、朝だよ! 起きて!」
「朝か……。今起きるよ……。眠いなあ……、うーん」
ミケの元気な声で起こされる。
うーん、いつもよりもちょっと起きるの早いなあ。
まだ、外は明るくなってきたくらいだぞ。
しょぼしょぼと目を擦りながら背伸びをする。
「ミケ、今日は起きるの早いなあ」
「うん、リンお姉ちゃんのお家に行くの楽しみ!」
ミケにとっては知り合いのお姉ちゃんのお家に行く感覚でもあるのだろう。
でも、これから起こるだろう騒動を考えるとのんびりは出来ないだろうなあ。
そんな事を考えながら、身支度を整える。
「ミケ、今日はこっちの服を着る!」
「お、これは昨日買った服?」
「そうだよ。ビアンカお姉ちゃんに選んでもらったんだ」
「うーん、この世界でこんな服よく売っていたなあ」
「お兄ちゃん。髪の毛をお団子にして!」
「はいはい、わかりましたよお姫様」
ミケはいつもは上着にキュロットという動きやすい服装だった。
今日は、赤いチャイナドレス風の上着に白いズボンだから、アオザイ風の服装だ。
髪の毛をすいてあげてから二つお団子にすると、見た目は雑技団の団員にも見える。
「出来ましたよ、お嬢様」
「おー! お兄ちゃん完璧だよ」
「お気に召して何よりです」
「じゃあお兄ちゃん、お外に出ようよ」
ミケは手鏡を使ってお団子の出来具合を見ていたが、良い出来のようだ。
もし不満だったら、女性陣に直してもらおう。
ミケに手を引っ張られながら、テントの外に出る。
「おお、お空がキレー!」
「ミケ、あっちのテントはまだ寝ているかもしれないから静かにね」
「はーい。あれ? 川の所に座っているのはリンお姉ちゃんじゃない?」
「そうだね、何かやっているのかな?」
「お兄ちゃん、リンお姉ちゃんの所に行ってみよう!」
「こらこら、手を引っ張らなくても大丈夫だよ」
外はちょうど朝日が上がった所で綺麗な空だった。
昨日の雨もすっかり上がり、空気が綺麗なので余計に美しく見える。
そんな中、川の畔でポツンと佇んでいるリンさん。
何か考えているかのようで、じっと川面を見つめていた。
「リンお姉ちゃん、おはよー!」
「リンさん、おはようございます」
「あら、ミケさんにサトーさん、おはようございます。ミケさんは愛らしい姿ですわね」
「えへへ! お兄ちゃんに髪の毛お団子にしてもらったんだ!」
「ええ、ミケさんによく似合っていますよ」
「本当? ありがとう!」
ミケの挨拶に笑顔で返すリンさん。
ミケはリンさんに服装や髪型を褒めてもらって上機嫌だ。
「でもこんな朝早くにどうしたのですか?」
「リンお姉ちゃんのお家に行くのが楽しみで、早く起きちゃった! ついでにお兄ちゃんも起こしちゃったよ」
「あらあら、そこまで楽しみにして頂いているなんて。精一杯おもてなしいたしますわ」
「おー! 楽しみ!」
「こらミケ。すみませんリンさん」
「いえいえ、こうして楽しみにしていただく事はとても嬉しいですわ」
「ありがとうございます。そういえばリンさんも朝早いですね。どうしたのですか?」
ミケよ、元気よく早く起きた理由を報告するのはいいが、わざわざ俺を起こす必要はないぞ。
リンさんもミケにつきあって返してくれたけど、やっぱり顔にちょっと影がある。
「……どうしても目が覚めてしまって。やはり領地がどうなっているか心配なのです」
「バルガス領でも色々あって、昨日も魔物に襲われました。心配するのも仕方ないです」
「襲撃で、もし両親だけでなく領民にも危害が加わっているかと思うと……」
朝日に照らされている水面を見つめている。視線の先はバスク領。
ぎゅっと手を組んでいる。
きっと優しいリンさんだ。領民の事も思って悩んでいるのだろう。
それにまだ十四歳の少女だ。重圧もあるだろう。
「大丈夫だよ! リンお姉ちゃんを困らせるのは、みんなやっつけてあげるんだ!」
「ミケさん……。ありがとうございます」
「みんなリンさんを助けたくて一緒に来ているのですから」
「サトーさんも?」
「ええ、俺もです」
リンさんはミケの元気な声で少しホッとしたような顔を見せてくれた。
みんなバスク子爵領の問題をなんとか解決しようと集まっているのだから。
「サトー様、リン様、ミケ様。朝食の準備が出来ましたよ」
「ありがとー、ルキアお姉ちゃん。ほら、お兄ちゃんも、リンお姉ちゃんも行こー!」
「ミケさん、ちょっとお待ちになって」
ルキアさんが朝食が出来たと呼びかけたので、ミケは待ちきれないとリンさんと俺の手を引っ張っていった。
先ずは腹ごしらえをして、色々頑張ろう。
「ミケよ、新しい服はよく似合っているのう」
「本当ですね。可愛らしいミケ様がさらに愛らしくなっています」
「えへへ」
ちなみに新しい服装と髪型のミケは、女性陣に褒められて上機嫌だった。
「サトーよ、何故か馬がやる気満々になっているが、気のせいじゃろうか?」
「あれ? 確かに昨日よりも目が輝いているぞ」
食事も終わって出発の準備をしていた時、ビアンカ殿下が馬のテンションが上がっていると言ってきた。
確かに毛艶も良くやる気に満ちている。
「そういえば昨日スラタロウが馬たちに聖魔法使っていましたね」
「ふむ、スラタロウの聖魔法は重傷も治す。きっと内臓の調子も良くなったのだろう」
「きっとそうですね」
この時は、スラタロウの聖魔法で体調が良くなったからやる気があると、あまり深く考えなかった。
しかし出発すると、馬のやる気の原因が明らかになった。
「それでは出発しますね」
「はーい!」
オリガさんの声にミケが返事をして馬車は出発する。
今日は天気も良く、路面も夜の内に乾いたのかとても良い状況。
「うん? サトーよ。昨日よりもよりも速くないか?」
「確かに路面が良いとはいえ、少し早いですね」
ビアンカ殿下は昨日よりも馬車の速度が速いと気がついたようだ。
でも無理に飛ばしている感じはなく馬車の揺れもさほど変わらないので、スラタロウたちも爆睡中。
「オリガさん。今日はスピード速くないですか?」
「少し速いですけど、馬は全く無理をしていませんよ」
御者を務めるオリガさんに聞いても、馬は無理していないとの事。
原因はなんだろうか?
「サトー様、ビアンカ殿下。馬から魔力が伝わっています」
「うん、明らかに馬が魔力を使っている」
「なんと、馬が魔法をかえ? 確かに生き物は全て魔力を持っておるが、昨日は使っておらんかったぞ」
ルキアさんとマリリさんが馬が魔法を使っているとビアンカ殿下に伝えた。
ビアンカ殿下は馬が魔法を使っている事に驚いていたが、そういえば昨晩馬がスラタロウに魔法の事を聞いていたっけ。
もしかして……
「主人、少し先に魔物の反応だぞ」
「ビアンカ殿下、ちょうど良いタイミングです。魔物を倒し終わったら、ミケに聞いてもらいましょう」
「そうじゃな。魔物などパパッと倒して、馬の方に注力するのじゃ」
今日はタイミング良く魔物が現れた。
ビアンカ殿下の頭の中は、既に魔物よりも馬の方に比重がいっている。
今度の魔物はモブ扱いになりそうだ……
「「ブモー!」」
現れたのは二頭の斧を持ったケンタウロス。
普通なら一頭でも脅威の存在なのだが……
「先制じゃ。フランソワ、電撃の糸!」
「ブモモモ!」
「これで終わりじゃ。小太刀乱舞!」
「ブモ……」
ドシーン。
哀れ一匹のケンタウロスは、フランソワの電撃の糸で拘束された上に麻痺させられ、ビアンカ殿下によって頸動脈を切られあっという間に倒された。
もう一匹のケンタウロスは唖然としている。
「なんじゃ。食後の腹ごなしにもならんのじゃ。サトーもさっさと倒すのじゃぞ」
「はいはい、わかりました」
つまらそうに戦いを終えたビアンカ殿下の目的は、早くも馬の方に移っていた。
「じゃあリンさん。こっちは正攻法で行きましょう」
「そうですわね……」
リンさんもビアンカ殿下の様子に苦笑しながら、ケンタウロスを仕留めにかかる。
「ブモー!」
「これくらい何ともないよ」
ビアンカ殿下にモブ扱いされて怒ったケンタウロスが斧を振り下ろすが、オリガさんによって難なく受け止められた。
「動きを止めるよ。アイスバインド!」
「ブモ!?」
続いてマリリさんが、アイスバインドでケンタウロスの足元を凍らせて動きを封じる。
「これで終わりですわ!」
「ブモ……」
ドシーン。
最後にリンさんが飛び上がり心臓を一突き。
哀れモブ扱いされたケンタウロスは、本当にモブ扱いのまま倒されてしまった。
とりあえずケンタウロスの死体が邪魔なので、さっさとアイテムボックスに仕舞いこむ。
「あーあ、あっという間に終わっちゃったから何も出来なかったよ」
「相手がケンタウロスとはいえ、このメンバーでは相手にならないしねー」
「今日は新しい服装だったから張り切っていたのに……」
「次のお楽しみという事だよー」
「その通りじゃ。ミケよ、今は馬の方が一大事じゃ」
「分かった! お馬さんに聞いてくる」
先ほどの戦闘では何もやる事なく、しょんぼりしていたミケをリーフが慰めている。
そしてそんなミケに早く馬の所に行く様に急かすビアンカ殿下。
何か今のビアンカ殿下は八歳という年相応のはしゃぎ方だ。
「お馬さーん、何で魔法使えたか教えてくださーい!」
「「ヒヒーン」」
「ふむふむ、なるほど……」
「「ヒヒン」」
「そっかありがとー! ビアンカお姉ちゃん、分かったよ!」
「おお。ミケよ、よくやったのじゃ」
ミケが馬に何やら色々聞いている。
上手く聞けた事にビアンカ殿下は大喜びだ。
子どもっぽいビアンカ殿下を、特に女性陣は微笑ましく見ている。
「して、馬は何といったのじゃ?」
「あのね、お馬さんは今よりもっと速く走りたいんだって」
「それで?」
「お馬さん今までいろんな冒険者さんを乗せてきたんだけど、ミケたちが一番魔法使うのが上手から教えてもらおうとしたみたい。そうしたらスラタロウが魔法の使い方教えてくれたんだって」
「なるほど、教師役がスラタロウというのはちょっと残念だが、馬も魔法を使うとはのう」
思った通りの範疇でよかった。
これで馬がファイヤーボールを使いたいとか言い出したら大問題だったよ。
あとビアンカ殿下、残念な所申し訳ないですが俺達人間では馬の言葉は分かりません。
「ふむふむなるほどねー。面白い馬もいたもんだねー。これで攻撃魔法使いたいとかなければねー」
「「ヒヒーン」」
「えー! スラタロウがエアーカッターの使い方を教えてくれたのー!」
おい、スラタロウ、お前、馬に何教えているんだよ!
何でドヤ顔でこっちを見ているんだよ。
リーフがまさかと思って聞いたのが、既に現実だよ。
うお、そこら辺の草を馬がエアーカッターで刈っているよ。
みんな馬が攻撃魔法使える事に唖然としているぞ。
「えーと、時間も時間ですのでそろそろ出発しませんか?」
「そうじゃのう……、流石に攻撃魔法まで使えるのはびっくりしたのじゃ」
「「ヒヒーン」」
ナイス、オリガさん!
上手く話題を切り替えられた。
そして馬よ、お前まで魔法使える事にドヤ顔かよ。
「うわー! はやいはやい!」
「速いのは良いのですが、流石に怖いです」
「そうじゃのう。何かに捕まっていないと危ないのじゃ」
砂煙を巻き上げて、街道を一台の馬車が爆走しています。
もう魔法を使う事を隠す必要が無くなった為か、馬が風魔法で速度強化し全速力で突っ走ります。
道行く人も爆走する馬車に目が点になっています。
ミケは速いことに大喜びだが、他の人は流石に怖くなっている模様。
「うー、揺れが酷い……、気持ち悪い……」
「ほら、マリリさん。街までもう少しですから」
「念の為、袋を用意します」
「ありがとうございますわ。サトーさん」
馬車の揺れも酷くなり、マリリさんがグロッキー状態に。
リンさんがもう少しで街まで着くと言っているが、正直持たなそう。
とりあえずエチケット袋を用意しておこう。
「あ、もうすぐ街だね! あれ? 豚みたいなのがいっぱいいるよ?」
「ミケよ、よく分かったのだぞ。城壁にオークがたくさんいるのだぞ」
「まあ、何ですって?」
城壁が見え始めた辺りでミケが何かを見つけたが、シルが言うには何とオークの集団が城壁を襲っていると言う事。
流石にリンさんも城壁の様子に不安だ。
「お馬さん、もう少し速く走れる?」
「おいミケこれ以上は……」
「「ヒヒーン!」」
「うわー! さらに速くなった!」
「ミケ! お前なんて余計なことを!」
こっちの気持ちはいざ知らず、ミケにもっと速く走るように頼まれた馬はさらにやる気を出し、街道を韋駄天の如くかけていく。
馬車の振動もさらに激しくなった。
ああ、マリリさんがとうとう袋に手を出した……
所変わって、ここはバスク領の城壁。
「ブモー!」
「くそう、オークの数が多い!」
「上位種はいないが、こう数が多いと時間がかかる」
「守備隊長! 街道を物凄い勢いで走ってくる物があります」
「なんでこんな時に! 何の魔物だ?」
「今確認します……、馬です! 馬車がすごい速さでこちらに向かっています」
「はあ!? 馬車だと? あの土煙は魔物ではないのか!」
「いえ、確かに馬車です。馬車がこちらに向かって来ています」
「おい、オークもそうだがあの馬車も要警戒だ!」
「「はい!」」
爆走する馬車が近づいていることに、城壁の守備兵は混乱しています。
正直、オークよりも怖いものかもしれませんね。
「はやいはやい!」
「速いのはいいが、この馬車止まれるのか?」
「それはわからないですね……。オリガさん、オリガさん?」
「……ふへへ……」
「あー! オリガお姉ちゃん固まっている!」
「「え!」」
あまりの速さに御者を務めていたオリガさんがフリーズしている!
どうやってこの暴走馬車を止めるんだよ。
もう城壁だぞ、みんな絶望的な感じで顔が真っ青だよ。
「「ヒヒーン」」
「あ、止まったよ!」
「「よかった……」」
「……へへへ……」
馬はこちらを嘲笑う様に、簡単に馬車を停車させた。
ミケは止まったことに喜んでいるが、こっちは心臓が止まるかと思ったわ!
ちなみにオリガさんは、まだ固まったまま。
「お兄ちゃん、ブタ倒してくるね!」
「ふむ、我も久々に戦うのだぞ」
「「ヒヒーン」」
「ダメだ、膝が笑って歩けない。ああ、馬が勝手に馬具を外してオークの群れへ……」
「動ける様になるにはもう少しかかるかのう」
「ダメです、動けません」
「私もダメですわ」
「私も動けないよー」
「……ふへへ……」
「……気持ち悪い……」
ミケは元気よく馬車から飛び出し、シルもその後に続く。
馬も馬具を外してミケとシルと共にオークの群れへ。
ビアンカ殿下にリーフを含む大人は死屍累々って感じで動けません。
オリガさんは馬のいない手綱を握ってまだ動かないし、マリリさんも顔に袋を当てたまま動いていない。
「暴走馬車が止まったぞ」
「中から猫耳の嬢ちゃんと大きなオオカミがオークの群れに」
「馬まで一緒に向かっているぞ」
「すげー、あっという間にオークが蹂躙されている……」
「あんなに小さいのに、あんなデカいハンマーを振り回すなんて。あの嬢ちゃんは何者だ?」
「あの白いオオカミもとんでもなく強いぞ」
「馬が魔法を使っている。一体どうなっているんだ?」
「おい、あの暴走馬車の手綱を持っているのはオリガ殿では?」
「あ、間違いない。オリガ殿だ。でも何で馬のいない手綱を持ったまま動かないんだ?」
うん、守備兵の人が大声で戦況を伝えてくれるから何となく状況はわかります。
オリガさんが御者席から動かないのもわかります。
でもこっちもまだ動けないので、もう少しお待ちくださいませ。
あ、オークはもうすぐ全滅だと思うので心配ないですよ。
あとスラタロウ達、いい加減起きなさい。
「朝か……。今起きるよ……。眠いなあ……、うーん」
ミケの元気な声で起こされる。
うーん、いつもよりもちょっと起きるの早いなあ。
まだ、外は明るくなってきたくらいだぞ。
しょぼしょぼと目を擦りながら背伸びをする。
「ミケ、今日は起きるの早いなあ」
「うん、リンお姉ちゃんのお家に行くの楽しみ!」
ミケにとっては知り合いのお姉ちゃんのお家に行く感覚でもあるのだろう。
でも、これから起こるだろう騒動を考えるとのんびりは出来ないだろうなあ。
そんな事を考えながら、身支度を整える。
「ミケ、今日はこっちの服を着る!」
「お、これは昨日買った服?」
「そうだよ。ビアンカお姉ちゃんに選んでもらったんだ」
「うーん、この世界でこんな服よく売っていたなあ」
「お兄ちゃん。髪の毛をお団子にして!」
「はいはい、わかりましたよお姫様」
ミケはいつもは上着にキュロットという動きやすい服装だった。
今日は、赤いチャイナドレス風の上着に白いズボンだから、アオザイ風の服装だ。
髪の毛をすいてあげてから二つお団子にすると、見た目は雑技団の団員にも見える。
「出来ましたよ、お嬢様」
「おー! お兄ちゃん完璧だよ」
「お気に召して何よりです」
「じゃあお兄ちゃん、お外に出ようよ」
ミケは手鏡を使ってお団子の出来具合を見ていたが、良い出来のようだ。
もし不満だったら、女性陣に直してもらおう。
ミケに手を引っ張られながら、テントの外に出る。
「おお、お空がキレー!」
「ミケ、あっちのテントはまだ寝ているかもしれないから静かにね」
「はーい。あれ? 川の所に座っているのはリンお姉ちゃんじゃない?」
「そうだね、何かやっているのかな?」
「お兄ちゃん、リンお姉ちゃんの所に行ってみよう!」
「こらこら、手を引っ張らなくても大丈夫だよ」
外はちょうど朝日が上がった所で綺麗な空だった。
昨日の雨もすっかり上がり、空気が綺麗なので余計に美しく見える。
そんな中、川の畔でポツンと佇んでいるリンさん。
何か考えているかのようで、じっと川面を見つめていた。
「リンお姉ちゃん、おはよー!」
「リンさん、おはようございます」
「あら、ミケさんにサトーさん、おはようございます。ミケさんは愛らしい姿ですわね」
「えへへ! お兄ちゃんに髪の毛お団子にしてもらったんだ!」
「ええ、ミケさんによく似合っていますよ」
「本当? ありがとう!」
ミケの挨拶に笑顔で返すリンさん。
ミケはリンさんに服装や髪型を褒めてもらって上機嫌だ。
「でもこんな朝早くにどうしたのですか?」
「リンお姉ちゃんのお家に行くのが楽しみで、早く起きちゃった! ついでにお兄ちゃんも起こしちゃったよ」
「あらあら、そこまで楽しみにして頂いているなんて。精一杯おもてなしいたしますわ」
「おー! 楽しみ!」
「こらミケ。すみませんリンさん」
「いえいえ、こうして楽しみにしていただく事はとても嬉しいですわ」
「ありがとうございます。そういえばリンさんも朝早いですね。どうしたのですか?」
ミケよ、元気よく早く起きた理由を報告するのはいいが、わざわざ俺を起こす必要はないぞ。
リンさんもミケにつきあって返してくれたけど、やっぱり顔にちょっと影がある。
「……どうしても目が覚めてしまって。やはり領地がどうなっているか心配なのです」
「バルガス領でも色々あって、昨日も魔物に襲われました。心配するのも仕方ないです」
「襲撃で、もし両親だけでなく領民にも危害が加わっているかと思うと……」
朝日に照らされている水面を見つめている。視線の先はバスク領。
ぎゅっと手を組んでいる。
きっと優しいリンさんだ。領民の事も思って悩んでいるのだろう。
それにまだ十四歳の少女だ。重圧もあるだろう。
「大丈夫だよ! リンお姉ちゃんを困らせるのは、みんなやっつけてあげるんだ!」
「ミケさん……。ありがとうございます」
「みんなリンさんを助けたくて一緒に来ているのですから」
「サトーさんも?」
「ええ、俺もです」
リンさんはミケの元気な声で少しホッとしたような顔を見せてくれた。
みんなバスク子爵領の問題をなんとか解決しようと集まっているのだから。
「サトー様、リン様、ミケ様。朝食の準備が出来ましたよ」
「ありがとー、ルキアお姉ちゃん。ほら、お兄ちゃんも、リンお姉ちゃんも行こー!」
「ミケさん、ちょっとお待ちになって」
ルキアさんが朝食が出来たと呼びかけたので、ミケは待ちきれないとリンさんと俺の手を引っ張っていった。
先ずは腹ごしらえをして、色々頑張ろう。
「ミケよ、新しい服はよく似合っているのう」
「本当ですね。可愛らしいミケ様がさらに愛らしくなっています」
「えへへ」
ちなみに新しい服装と髪型のミケは、女性陣に褒められて上機嫌だった。
「サトーよ、何故か馬がやる気満々になっているが、気のせいじゃろうか?」
「あれ? 確かに昨日よりも目が輝いているぞ」
食事も終わって出発の準備をしていた時、ビアンカ殿下が馬のテンションが上がっていると言ってきた。
確かに毛艶も良くやる気に満ちている。
「そういえば昨日スラタロウが馬たちに聖魔法使っていましたね」
「ふむ、スラタロウの聖魔法は重傷も治す。きっと内臓の調子も良くなったのだろう」
「きっとそうですね」
この時は、スラタロウの聖魔法で体調が良くなったからやる気があると、あまり深く考えなかった。
しかし出発すると、馬のやる気の原因が明らかになった。
「それでは出発しますね」
「はーい!」
オリガさんの声にミケが返事をして馬車は出発する。
今日は天気も良く、路面も夜の内に乾いたのかとても良い状況。
「うん? サトーよ。昨日よりもよりも速くないか?」
「確かに路面が良いとはいえ、少し早いですね」
ビアンカ殿下は昨日よりも馬車の速度が速いと気がついたようだ。
でも無理に飛ばしている感じはなく馬車の揺れもさほど変わらないので、スラタロウたちも爆睡中。
「オリガさん。今日はスピード速くないですか?」
「少し速いですけど、馬は全く無理をしていませんよ」
御者を務めるオリガさんに聞いても、馬は無理していないとの事。
原因はなんだろうか?
「サトー様、ビアンカ殿下。馬から魔力が伝わっています」
「うん、明らかに馬が魔力を使っている」
「なんと、馬が魔法をかえ? 確かに生き物は全て魔力を持っておるが、昨日は使っておらんかったぞ」
ルキアさんとマリリさんが馬が魔法を使っているとビアンカ殿下に伝えた。
ビアンカ殿下は馬が魔法を使っている事に驚いていたが、そういえば昨晩馬がスラタロウに魔法の事を聞いていたっけ。
もしかして……
「主人、少し先に魔物の反応だぞ」
「ビアンカ殿下、ちょうど良いタイミングです。魔物を倒し終わったら、ミケに聞いてもらいましょう」
「そうじゃな。魔物などパパッと倒して、馬の方に注力するのじゃ」
今日はタイミング良く魔物が現れた。
ビアンカ殿下の頭の中は、既に魔物よりも馬の方に比重がいっている。
今度の魔物はモブ扱いになりそうだ……
「「ブモー!」」
現れたのは二頭の斧を持ったケンタウロス。
普通なら一頭でも脅威の存在なのだが……
「先制じゃ。フランソワ、電撃の糸!」
「ブモモモ!」
「これで終わりじゃ。小太刀乱舞!」
「ブモ……」
ドシーン。
哀れ一匹のケンタウロスは、フランソワの電撃の糸で拘束された上に麻痺させられ、ビアンカ殿下によって頸動脈を切られあっという間に倒された。
もう一匹のケンタウロスは唖然としている。
「なんじゃ。食後の腹ごなしにもならんのじゃ。サトーもさっさと倒すのじゃぞ」
「はいはい、わかりました」
つまらそうに戦いを終えたビアンカ殿下の目的は、早くも馬の方に移っていた。
「じゃあリンさん。こっちは正攻法で行きましょう」
「そうですわね……」
リンさんもビアンカ殿下の様子に苦笑しながら、ケンタウロスを仕留めにかかる。
「ブモー!」
「これくらい何ともないよ」
ビアンカ殿下にモブ扱いされて怒ったケンタウロスが斧を振り下ろすが、オリガさんによって難なく受け止められた。
「動きを止めるよ。アイスバインド!」
「ブモ!?」
続いてマリリさんが、アイスバインドでケンタウロスの足元を凍らせて動きを封じる。
「これで終わりですわ!」
「ブモ……」
ドシーン。
最後にリンさんが飛び上がり心臓を一突き。
哀れモブ扱いされたケンタウロスは、本当にモブ扱いのまま倒されてしまった。
とりあえずケンタウロスの死体が邪魔なので、さっさとアイテムボックスに仕舞いこむ。
「あーあ、あっという間に終わっちゃったから何も出来なかったよ」
「相手がケンタウロスとはいえ、このメンバーでは相手にならないしねー」
「今日は新しい服装だったから張り切っていたのに……」
「次のお楽しみという事だよー」
「その通りじゃ。ミケよ、今は馬の方が一大事じゃ」
「分かった! お馬さんに聞いてくる」
先ほどの戦闘では何もやる事なく、しょんぼりしていたミケをリーフが慰めている。
そしてそんなミケに早く馬の所に行く様に急かすビアンカ殿下。
何か今のビアンカ殿下は八歳という年相応のはしゃぎ方だ。
「お馬さーん、何で魔法使えたか教えてくださーい!」
「「ヒヒーン」」
「ふむふむ、なるほど……」
「「ヒヒン」」
「そっかありがとー! ビアンカお姉ちゃん、分かったよ!」
「おお。ミケよ、よくやったのじゃ」
ミケが馬に何やら色々聞いている。
上手く聞けた事にビアンカ殿下は大喜びだ。
子どもっぽいビアンカ殿下を、特に女性陣は微笑ましく見ている。
「して、馬は何といったのじゃ?」
「あのね、お馬さんは今よりもっと速く走りたいんだって」
「それで?」
「お馬さん今までいろんな冒険者さんを乗せてきたんだけど、ミケたちが一番魔法使うのが上手から教えてもらおうとしたみたい。そうしたらスラタロウが魔法の使い方教えてくれたんだって」
「なるほど、教師役がスラタロウというのはちょっと残念だが、馬も魔法を使うとはのう」
思った通りの範疇でよかった。
これで馬がファイヤーボールを使いたいとか言い出したら大問題だったよ。
あとビアンカ殿下、残念な所申し訳ないですが俺達人間では馬の言葉は分かりません。
「ふむふむなるほどねー。面白い馬もいたもんだねー。これで攻撃魔法使いたいとかなければねー」
「「ヒヒーン」」
「えー! スラタロウがエアーカッターの使い方を教えてくれたのー!」
おい、スラタロウ、お前、馬に何教えているんだよ!
何でドヤ顔でこっちを見ているんだよ。
リーフがまさかと思って聞いたのが、既に現実だよ。
うお、そこら辺の草を馬がエアーカッターで刈っているよ。
みんな馬が攻撃魔法使える事に唖然としているぞ。
「えーと、時間も時間ですのでそろそろ出発しませんか?」
「そうじゃのう……、流石に攻撃魔法まで使えるのはびっくりしたのじゃ」
「「ヒヒーン」」
ナイス、オリガさん!
上手く話題を切り替えられた。
そして馬よ、お前まで魔法使える事にドヤ顔かよ。
「うわー! はやいはやい!」
「速いのは良いのですが、流石に怖いです」
「そうじゃのう。何かに捕まっていないと危ないのじゃ」
砂煙を巻き上げて、街道を一台の馬車が爆走しています。
もう魔法を使う事を隠す必要が無くなった為か、馬が風魔法で速度強化し全速力で突っ走ります。
道行く人も爆走する馬車に目が点になっています。
ミケは速いことに大喜びだが、他の人は流石に怖くなっている模様。
「うー、揺れが酷い……、気持ち悪い……」
「ほら、マリリさん。街までもう少しですから」
「念の為、袋を用意します」
「ありがとうございますわ。サトーさん」
馬車の揺れも酷くなり、マリリさんがグロッキー状態に。
リンさんがもう少しで街まで着くと言っているが、正直持たなそう。
とりあえずエチケット袋を用意しておこう。
「あ、もうすぐ街だね! あれ? 豚みたいなのがいっぱいいるよ?」
「ミケよ、よく分かったのだぞ。城壁にオークがたくさんいるのだぞ」
「まあ、何ですって?」
城壁が見え始めた辺りでミケが何かを見つけたが、シルが言うには何とオークの集団が城壁を襲っていると言う事。
流石にリンさんも城壁の様子に不安だ。
「お馬さん、もう少し速く走れる?」
「おいミケこれ以上は……」
「「ヒヒーン!」」
「うわー! さらに速くなった!」
「ミケ! お前なんて余計なことを!」
こっちの気持ちはいざ知らず、ミケにもっと速く走るように頼まれた馬はさらにやる気を出し、街道を韋駄天の如くかけていく。
馬車の振動もさらに激しくなった。
ああ、マリリさんがとうとう袋に手を出した……
所変わって、ここはバスク領の城壁。
「ブモー!」
「くそう、オークの数が多い!」
「上位種はいないが、こう数が多いと時間がかかる」
「守備隊長! 街道を物凄い勢いで走ってくる物があります」
「なんでこんな時に! 何の魔物だ?」
「今確認します……、馬です! 馬車がすごい速さでこちらに向かっています」
「はあ!? 馬車だと? あの土煙は魔物ではないのか!」
「いえ、確かに馬車です。馬車がこちらに向かって来ています」
「おい、オークもそうだがあの馬車も要警戒だ!」
「「はい!」」
爆走する馬車が近づいていることに、城壁の守備兵は混乱しています。
正直、オークよりも怖いものかもしれませんね。
「はやいはやい!」
「速いのはいいが、この馬車止まれるのか?」
「それはわからないですね……。オリガさん、オリガさん?」
「……ふへへ……」
「あー! オリガお姉ちゃん固まっている!」
「「え!」」
あまりの速さに御者を務めていたオリガさんがフリーズしている!
どうやってこの暴走馬車を止めるんだよ。
もう城壁だぞ、みんな絶望的な感じで顔が真っ青だよ。
「「ヒヒーン」」
「あ、止まったよ!」
「「よかった……」」
「……へへへ……」
馬はこちらを嘲笑う様に、簡単に馬車を停車させた。
ミケは止まったことに喜んでいるが、こっちは心臓が止まるかと思ったわ!
ちなみにオリガさんは、まだ固まったまま。
「お兄ちゃん、ブタ倒してくるね!」
「ふむ、我も久々に戦うのだぞ」
「「ヒヒーン」」
「ダメだ、膝が笑って歩けない。ああ、馬が勝手に馬具を外してオークの群れへ……」
「動ける様になるにはもう少しかかるかのう」
「ダメです、動けません」
「私もダメですわ」
「私も動けないよー」
「……ふへへ……」
「……気持ち悪い……」
ミケは元気よく馬車から飛び出し、シルもその後に続く。
馬も馬具を外してミケとシルと共にオークの群れへ。
ビアンカ殿下にリーフを含む大人は死屍累々って感じで動けません。
オリガさんは馬のいない手綱を握ってまだ動かないし、マリリさんも顔に袋を当てたまま動いていない。
「暴走馬車が止まったぞ」
「中から猫耳の嬢ちゃんと大きなオオカミがオークの群れに」
「馬まで一緒に向かっているぞ」
「すげー、あっという間にオークが蹂躙されている……」
「あんなに小さいのに、あんなデカいハンマーを振り回すなんて。あの嬢ちゃんは何者だ?」
「あの白いオオカミもとんでもなく強いぞ」
「馬が魔法を使っている。一体どうなっているんだ?」
「おい、あの暴走馬車の手綱を持っているのはオリガ殿では?」
「あ、間違いない。オリガ殿だ。でも何で馬のいない手綱を持ったまま動かないんだ?」
うん、守備兵の人が大声で戦況を伝えてくれるから何となく状況はわかります。
オリガさんが御者席から動かないのもわかります。
でもこっちもまだ動けないので、もう少しお待ちくださいませ。
あ、オークはもうすぐ全滅だと思うので心配ないですよ。
あとスラタロウ達、いい加減起きなさい。
71
お気に入りに追加
3,209
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。
いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成!
この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。
戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。
これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。
彼の行く先は天国か?それとも...?
誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中!
現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。
元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~
冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。
俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。
そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・
「俺、死んでるじゃん・・・」
目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。
新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。
元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる