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第二十六章 ミカエルの五歳の祝い
七百七十四話 午前中はお仕事です
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そして、いよいよ辺境伯領での五歳の祝いの日になりました。
僕の屋敷は、朝からミカエルとブリットの準備でドタバタです。
「はい、着付けが出来ましたよ」
「おー、カッコいい!」
「ブリットも、お姫様みたい!」
五歳の祝いは午後からなんだけど、既に侍従のお姉さんによって服も髪型もばっちりとセットしたミカエルとブリットが笑顔で食堂ではしゃいでいました。
テンションマックスの二人を見て、リズ達も思わず笑顔で見ていました。
「お兄ちゃん、今日はリズはお家にいていいんだよね?」
「屋敷にいていいよ。僕も午前中でお仕事を切り上げて帰ってくるよ」
リズ達はほぼやる事がないし、ジンさん達も今日は担当職員による情報分析だけなので王城に行かなくて済みます。
個人的には僕も王城に行ってお仕事するのは気が引けるけど、書類が色々溜まっているんだよなあ。
主に宰相向けの書類が。
という事で、僕とプリンだけが王城に行ってきます。
カリカリカリ、ペラペラペラ。
「アレク君も真面目だな。今日くらいは一日休んでもいいだろうに」
「そう思ったんですけど、よりによって夕方に沢山の資料が執務室に運ばれたので。しかも、何故か全部急ぎなんですよね」
僕はどんどんと書類を処理して、宰相に回して行きます。
はあ、手続きが面倒くさい書類ばっかりで、本当に嫌になっちゃいますね。
そして、あらかた書類を処理して、休憩をしている時でした。
「もしかして、アレク君が辺境伯領での五歳の祝いに参加できなくする為に、ワザとぎりぎりのタイミングで書類を出して来たのかもな」
宰相がお菓子を食べながらぽつりと呟くと、僕を含めて執務室にいる全ての人が「あっ」って表情をしながら宰相に視線を送っていました。
宰相は全員から視線を向けられてなになに状態だったけど、直ぐに宰相も僕達が視線を向けた理由を理解してくれました。
「確かこの書類は商務からまわってきたものだね。あたしが、商務に行ってくるよ」
「シーラ、お願いだから穏便に頼むよ」
「ははは、そりゃ相手の態度次第だね」
シーラさんが、腕まくりをしながら宰相執務室を出て行った。
宰相は穏便に頼むとシーラさんにお願いしていたけど、相手がクロだったら絶対に穏便では済まないはずだ。
念の為にプリンも一緒にシーラさんについて言ったけど、果たしてプリンでシーラさんを止められるかな。
「アレク殿下、本当に申し訳ない。まさか、本当にわざと書類の提出を遅らせていたとは」
「提出者の名前を見て、あたしゃ直ぐに分かったよ。本当に姑息な真似をするんだから」
そしてシーラさんが執務室を出て行ってから三十分後、恐縮しきりの商務卿とぷんぷんしているシーラさんがプリンと一緒に戻ってきました。
どうも前から宰相が商務卿時代から意地の悪い事をする者らしく、前にも似たような事をしたという。
プリン曰く、商務部局にやくざの殴り込みみたいに入ってシーラさんは、目を逸らしている問題の人の襟首を掴んで会議室に引きずり込んで行ったそうだ。
しかもプリンもタイミング悪く会議室に入れなかったので何が起きていたか分からなかったそうだけど、会議室の中からはシーラさんの怒号と問題の人の悲鳴が聞こえていたという。
プリンも怖くて、会議室の中に入れなかったそうです。
直ぐに商務部局の人が商務卿の執務室に行って商務卿を連れて来て、商務卿が怒り心頭のシーラさんを何とかなだめたそうです。
「あの馬鹿、この後も大量の書類をアレク殿下に送ろうとしていたよ。本当にどうしようもない男だね」
「前にもこんな嫌がらせをして問題を起こしていたので、該当の者は自宅待機にして処分する方向だ」
お菓子を食べながら未だにぷりぷりしているシーラさんと、ちょっと疲れている商務卿の対比が物凄いですね。
因みに、意地悪い事をする人は別に歴史のある貴族でもなんでもなく、頭は良いけど単に他人への意地悪をするのが好きみたいです。
以前当時の商務卿に意地悪をしてシーラさんが大激怒したのに、宰相に異動して顔を合わせなくなったのですっかり元に戻っちゃったみたいです。
その人がこの後出そうとした書類も、明日確認で良くなりました。
ホッと一息着く事ができそうなので、僕も予定通り午前中で王城から辺境伯領に戻れそうです。
因みに、ティナおばあさまにもその問題を起こした人の事が知れ渡ってしまったみたいです。
どんな事になったか、僕も怖くて聞けませんでした。
僕の屋敷は、朝からミカエルとブリットの準備でドタバタです。
「はい、着付けが出来ましたよ」
「おー、カッコいい!」
「ブリットも、お姫様みたい!」
五歳の祝いは午後からなんだけど、既に侍従のお姉さんによって服も髪型もばっちりとセットしたミカエルとブリットが笑顔で食堂ではしゃいでいました。
テンションマックスの二人を見て、リズ達も思わず笑顔で見ていました。
「お兄ちゃん、今日はリズはお家にいていいんだよね?」
「屋敷にいていいよ。僕も午前中でお仕事を切り上げて帰ってくるよ」
リズ達はほぼやる事がないし、ジンさん達も今日は担当職員による情報分析だけなので王城に行かなくて済みます。
個人的には僕も王城に行ってお仕事するのは気が引けるけど、書類が色々溜まっているんだよなあ。
主に宰相向けの書類が。
という事で、僕とプリンだけが王城に行ってきます。
カリカリカリ、ペラペラペラ。
「アレク君も真面目だな。今日くらいは一日休んでもいいだろうに」
「そう思ったんですけど、よりによって夕方に沢山の資料が執務室に運ばれたので。しかも、何故か全部急ぎなんですよね」
僕はどんどんと書類を処理して、宰相に回して行きます。
はあ、手続きが面倒くさい書類ばっかりで、本当に嫌になっちゃいますね。
そして、あらかた書類を処理して、休憩をしている時でした。
「もしかして、アレク君が辺境伯領での五歳の祝いに参加できなくする為に、ワザとぎりぎりのタイミングで書類を出して来たのかもな」
宰相がお菓子を食べながらぽつりと呟くと、僕を含めて執務室にいる全ての人が「あっ」って表情をしながら宰相に視線を送っていました。
宰相は全員から視線を向けられてなになに状態だったけど、直ぐに宰相も僕達が視線を向けた理由を理解してくれました。
「確かこの書類は商務からまわってきたものだね。あたしが、商務に行ってくるよ」
「シーラ、お願いだから穏便に頼むよ」
「ははは、そりゃ相手の態度次第だね」
シーラさんが、腕まくりをしながら宰相執務室を出て行った。
宰相は穏便に頼むとシーラさんにお願いしていたけど、相手がクロだったら絶対に穏便では済まないはずだ。
念の為にプリンも一緒にシーラさんについて言ったけど、果たしてプリンでシーラさんを止められるかな。
「アレク殿下、本当に申し訳ない。まさか、本当にわざと書類の提出を遅らせていたとは」
「提出者の名前を見て、あたしゃ直ぐに分かったよ。本当に姑息な真似をするんだから」
そしてシーラさんが執務室を出て行ってから三十分後、恐縮しきりの商務卿とぷんぷんしているシーラさんがプリンと一緒に戻ってきました。
どうも前から宰相が商務卿時代から意地の悪い事をする者らしく、前にも似たような事をしたという。
プリン曰く、商務部局にやくざの殴り込みみたいに入ってシーラさんは、目を逸らしている問題の人の襟首を掴んで会議室に引きずり込んで行ったそうだ。
しかもプリンもタイミング悪く会議室に入れなかったので何が起きていたか分からなかったそうだけど、会議室の中からはシーラさんの怒号と問題の人の悲鳴が聞こえていたという。
プリンも怖くて、会議室の中に入れなかったそうです。
直ぐに商務部局の人が商務卿の執務室に行って商務卿を連れて来て、商務卿が怒り心頭のシーラさんを何とかなだめたそうです。
「あの馬鹿、この後も大量の書類をアレク殿下に送ろうとしていたよ。本当にどうしようもない男だね」
「前にもこんな嫌がらせをして問題を起こしていたので、該当の者は自宅待機にして処分する方向だ」
お菓子を食べながら未だにぷりぷりしているシーラさんと、ちょっと疲れている商務卿の対比が物凄いですね。
因みに、意地悪い事をする人は別に歴史のある貴族でもなんでもなく、頭は良いけど単に他人への意地悪をするのが好きみたいです。
以前当時の商務卿に意地悪をしてシーラさんが大激怒したのに、宰相に異動して顔を合わせなくなったのですっかり元に戻っちゃったみたいです。
その人がこの後出そうとした書類も、明日確認で良くなりました。
ホッと一息着く事ができそうなので、僕も予定通り午前中で王城から辺境伯領に戻れそうです。
因みに、ティナおばあさまにもその問題を起こした人の事が知れ渡ってしまったみたいです。
どんな事になったか、僕も怖くて聞けませんでした。
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