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第二十五章 新たな脅威?

七百六十一話 聴取にまともに応じない人

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 翌日からブランデー子爵関連で捕まった者への取り調べが本格化したけど、取り調べにあたったものはみんな疲弊していました。
 昼食過ぎに、関係者が会議室に集まりました。

「尊大な態度で、こちらの話を全く聞きません。『何故、歴史ある貴族の私が取り調べを受けないといけないのか』と言って黙り込んでいます」
「法律に関する知識も全くなく、『王国創立依頼の貴族である我が家が法律だ』という事を繰り返し言っております」
「「「……」」」

 取り調べにあたった兵からの報告を聞いた全員が、思わず絶句していました。
 昨日もアリア様とティナおばあさまがかなり苦労をしながら聴取をしていたし、基本的にブランデー子爵は話が通じない人なのかもしれない。

「押収した資料、並びにムーアからの証言により、大体の証拠は抑えている。奴から証言を取るのは難しいという前提で、引き続き聴取を行うように」
「「「はっ」」」

 陛下も頭が痛い素振りを見せながら、兵に指示を出していた。
 もう状況証拠だけでも十分な証拠が集まっているし、何よりもムーアさんからもたらされた情報が大きい。
 押収した証拠の分析を進めるのが、今後の課題ですね。

「ブランデー子爵以外の家族の状況はどうだ?」
「はっ、ブランデー子爵夫人は素直に聴取に応じております。違法な税金で宝石を買ったのも認めていて、虚栄心からだと言っております。嫡男と三男は、ブランデー子爵程ではありませんが、尊大な態度で聴取を受けております」
「夫人はともかくとして、息子も父親の影響を受けているな。まあ、三人は大した罪にはならないだろうし、これも状況証拠から罪に問えるな」

 ブランデー子爵夫人は体験入園の場で王妃様からガツンと言われているから、だいぶ改心しているのかもしれない。
 王都にいた嫡男とルーシーお姉様に婚約を迫った三男は、これまた聴取が難しいのかもしれない。
 中々うまくいかないものです。

「今回の件は、事件性はともかくとして尊大な態度を取る貴族への聴取や家宅捜索の良い例となる。引き続き対応するように」
「「「はっ、畏まりました」」」

 陛下の言葉に、兵だけでなく軍務卿も陛下に頭を下げていました。
 面倒くさい貴族への対応は今後もありそうだし、良いモデルケースになりそうです。
 このタイミングで、会議室に入ってきた兵が。

「ほ、報告します。ブランデー子爵への聴取がある程度進みました。ルカリオ殿下とエドガー殿下が、ブランデー子爵と格子越しに話しております」

 兵の報告を聞いた全員が、はって顔をしていたけど、ジンさんだけは冷静に対応していました。

「ははは、なるほど。どんなに面倒くさい相手でも、子どもがいれば愚痴や相槌をするもんだ。というか、子どもの相手をせざるを得ないだろうな」
「ふむ、そういう事か。そして、子どもの相手をしているうちに、独り言の様に色々な事を呟く訳か。否定するだけでなく、少し肯定しながら話すのも良さそうだな」

 ジンさんの言葉に、陛下も反応していました。
 そして、子持ちの出席者もうんうんと頷いています。
 北風と太陽作戦なら、面倒くさい相手にも通用しそうです。

「では、うまく相手の心理を読む様に聴取を行うように」

 こうして、会議は何とか終わりました。
 今回は、ルカちゃんとエドちゃんのお手柄ですね。
 詳しくは、おやつタイムの時に聞いてみましょう。

「あのね、うんうんたいへんだねっていったら、あっちもたいへんなんだよっていっていたんだよ」
「そうしたら、きゅうにいろんなことをはなしだしたんだよ。おれはこうやったっていっていたよ。しつじがどうたらこうたらとか」

 ルカちゃんとエドちゃんを執務室に招待して、どんな話をしていたのか聞きました。
 どうもルカちゃんとエドちゃんは適当に相槌を打っていたらしく、そうしたらブランデー子爵がいろんな事を話し出したそうだ。

「一緒に捕まえた老執事が、自己の利益の為に歴代の当主を操っていた可能性があるな。執事への聴取を強化しよう」

 重要な証言が取れたので、宰相もお菓子を食べながら色んな事を検討していました。
 問題となっている老執事が、事件の根本原因の可能性がある。
 そこは取り調べ担当に任せるしかないですね。

「ルカちゃん、エドちゃん、お菓子美味しい?」
「「おいしー!」」

 ルカちゃんとエドちゃんは、ご褒美のお菓子を堪能していてとってもご機嫌です。
 ともかく、これで事件の背景は色々と調べられそうです。
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