転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第二十五章 新たな脅威?

七百三十九話 ツンツン頭の暴走

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 ブオン。

「な、何だ何だ?」

 突如として現れた謎の歪みに全員の手が止まり、ジンさんは驚愕の声を上げていた。
 全員が武器を手に取り、宙の歪みに警戒をしていた。

 ブオン、シューン。

「ふふ、皆様そんなに警戒しなくても大丈夫でございますよ」
「その姿、ピエロ!」
「おやおや、アレク殿下お久しぶりでございますね」

 宙に化粧をした男性の半身が現れた瞬間、僕は思わず声を上げてしまった。
 まるで映像の様にノイズを生じながら表示されたのは、あの行方不明の闇ギルド幹部ピエロだった。

「ふふ、ルーカス王太子殿下に加えて救国の勇者様までいらっしゃるとは、これはこれは大人数でございますね」

 ピエロがルーカスお兄様とジンさんに向かって恭しく一礼したが、全員が真剣な表情で武器を構えていた。

 ドン。

「どうしたのアレク君、そんなに大きな……まさか、ピエロか?」
「これはこれは、華の騎士様ではありませんか、お久しぶりでございます。お元気そうで何よりです」

 僕が大声を上げたので、別の部屋で作業をしていた人たちも執務室に集まってきました。
 そして、一様に武器を構えてピエロの様子を伺っています。

「ふふ、これは遠隔映像です。そんなに警戒されなくても大丈夫ですよ。この屋敷の様子を監視していたのですが、ふう、やはり馬鹿は使えませんね」

 ピエロは手を広げて軽く首を振っているけど、どうもピエロも選択を誤ったという表情だった。
 この時点で、ピエロはツンツン頭を見切ったと宣言したのと同じものだった。

「我々も組織の再編を行なっている最中で、中々対応が難しいのですよ。名残惜しいのですが、私も忙しいのでこれで失礼いたします」

 シュイーン。

「あっ、待て!」

 シューーーン。

 ティナおばあさまの静止を聞かず、ピエロの映像
は改めて恭しく礼をして僕たちの前から消えていった。
 そして、辺りには静寂が戻っていった。

「あ、あれがピエロですか。道化師というだけあって、奇妙な姿をしておりますな」
「ええ、そうね。でも、真の表情は私達を嘲笑っているわ」
「いずれにせよ、闇組織ナンバーズは健在で、引き続き組織を立て直している最中ということですな。これが分かっただけでも、収穫があったと言えましょう」

 軍務卿とティナおばあさまが、お互いに仕方ないと話をしていた。
 とはいえ、これ以上の押収物はなさそうだ。
 この部屋にあった物の殆どが、スラちゃんによって王城に運ばれた。

 ガチャ。

「軍務卿閣下、ルーカス殿下、ティナ様、報告します。家人の簡易取り調べは完了し、別件の不正会計で執事以下数名を拘束しました。また、バレン子爵以外の家族は何も知らないと供述しておりますが、バレン子爵は事情聴取自体を拒絶しております」
「事情聴取を拒絶?」
「はっ、『私は高貴な貴族だから、軍の取り調べは受けない』この様に申しております」
「「「はあ……」」」

 駆けつけてきた兵の報告を聞いて、多くの人がガクリとしちゃいました。
 あのツンツン頭が高貴な貴族って、思わずツッコミを入れたくなったよ。
 状況を確認する為に、軍務卿、ティナおばあさま、ルーカスお兄様、アイビー様、僕の五人は、兵の先導を受けて応接室に向かいました。

 ガチャ。

「何故お前ら如きが、俺に指図をする!」
「あの、ですから……」
「お前らは、とっとと屋敷から立ち去れ!」

 応接室に入った瞬間、あのツンツン頭が顔を真っ赤にしながら大口を叩いていた。
 全員が呆れ返ってしまった瞬間だった。
 ならばということで、ルーカスお兄様が僕たちの前に出た。
 この場で一番立場が上なのは、ルーカスお兄様か軍務卿でしょう。

「中々の事を言うな、バレン子爵。では、王太子である私が貴殿に事情聴取を要請したらどうするかな?」

 ルーカスお兄様は、敢えて丁寧な言葉でツンツン頭に話しかけた。
 しかし、頭に血が登っているツンツン頭には、ルーカスお兄様の言葉は侮辱的な事をされたと思ったらしい。
 ツンツン頭は、とんでもない行動に出た。

 ガシッ、ヒュン!

「黙れ、このガキが!」

 何とツンツン頭は、応接室のテーブルの上にあったティーカップを手にとって、あろうことか叫びながらルーカスお兄様に投げつけてきたのだ。

 ブオン。
 ヒューン、バリーン。

 しかし、ルーカスお兄様はこうなる事を想定していたのか既に魔法障壁を展開していて、ツンツン頭が投げつけてきたティーカップを冷静に防いでいた。

「ルーカス王太子殿下に対する、大逆罪の現行犯だ。バレン子爵を拘束し、重犯罪者牢に移送せよ」
「「「はっ」」」

 直ぐに、軍務卿がツンツン頭の拘束を兵に命じた。

「なっ、離せ! 離しやがれ!」

 そして暴れるツンツン頭を屈曲な兵が縄でぐるぐる巻きに拘束して、応接室の外に連行していった。

「バレン子爵夫人、事の重さは理解しているな」
「は、は、は、は、はい! る、ルーカス王太子殿下、誠に申し訳ありません」
「まずは謝罪を受けよう。しかし、既にバレン子爵家の拘束した家人の部屋から、闇組織への繋がりを示す物どころか薬まで出てきている。私への件も含めて、相当厳しい沙汰になる事を覚悟せよ」

 顔が真っ青なバレン子爵夫人は、土下座をするくらいの勢いでルーカスお兄様に頭を下げていた。
 しかし、ツンツン頭の息子は僕たちのことを睨んだままだった。
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