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第二十二章 新たな魔獣

五百五十八話 閣僚も王妃様もルカちゃんとエドちゃんもナイツ子爵領へ

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 翌日、王城に向かうと急遽同行者が増える事になりました。
 何と、閣僚がぞろぞろと同行する事に。

「おじいちゃん、何しに行くの?」
「ナイツ子爵領は、当面はサーゲイロード辺境伯領との共同統治になるからな。現地を見に行くのじゃよ」

 カミラさんがジト目で宰相に質問していたけど、宰相からの回答は至極当然なものでした。
 でも、目的が別にあるのをほぼ全員が知っています。

「お父様、ナイツ子爵領の海の幸を食べに行くつもりじゃないですよね?」
「そ、そそ、そんな事はないぞ」

 うん、レイナさんが真顔で商務卿にツッコむと、商務卿は明らかに動揺した表情になったよ。
 閣僚は、現地の郷土料理が大好きだもんなあ。
 いやね、キチンとお仕事をして海の幸を食べる分には良いんですよ。

「「いっしょー」」
「今日はお姉ちゃんと一緒だね」
「ルカちゃんとエドちゃんも頑張ろうね」

 因みに、ルカちゃんとエドちゃんも王妃様と一緒に炊き出しと無料治療に参加する事になりました。
 ほぼナイツ子爵領の安全が確保されたというのもあり、僕達と一緒に何かをやりたがっていたルカちゃんとエドちゃんを連れていく事になりました。
 勿論護衛はばっちりだし、念の為にスラちゃんも護衛としてつく事になりました。
 ナイツ子爵邸に行って、役割分担する事にしましょう。
 村々への調査隊の兵も一緒に、僕達はナイツ子爵領に向かいます。

「ほほほ、それで今日はこんなにも賑やかなんですな」
「ええ、ちょっとお恥ずかしい限りですわ」

 サーゲイロード辺境伯様もゲートで呼び寄せると、庭に集まった沢山の人に王妃様もちょっと苦笑していました。
 早速作業分担する事にして、村へ向かう部隊は颯爽と領都を出発していきました。

「お兄ちゃん、行ってくるね!」
「気をつけてね」

 リズ達は、街の人に聞き込みをする為に街へ向かって行きました。
 因みに、昨日助っ人として来てくれたメアリとルルーさんは、聞き込み班として動く事になりました。

「痛いの大丈夫?」
「すっかり良くなったよ」

 ミカエルとブリットは、炊き出しと無料治療班で活動しています。
 ルカちゃんとエドちゃんも、スラちゃんと従魔であるマジカルラットを抱っこして笑顔で治療をしていました。
 二人はまだ魔法が使えないけど、スラちゃん達と一緒に動けるのが良いみたいですね。
 さて、僕はティナおばあさまと一緒に代官と閣僚と共に応接室で打ち合わせです。

「街への還付金は、来週には纏まる。リストを作るから、返却の準備を進める様に」
「はっ」

 先ずは、財務卿から代官に還付金の件で話がありました。
 僕達が屋敷の中から見つけたリストの中に過剰徴収に関する物があったので、思ったよりも早く手続きが進みました。
 早めにお金は返してあげないとね。

「海産物という資源はあるが、まだ農地の有効活用ができていない。辺境伯、開発の助力を頼む事になる」
「お任せを。ナイツ子爵領には川沿いに広がる平地がありますので、開拓しやすいかと」

 農務卿がサーゲイロード辺境伯様に開拓の手助けをしていたけど、バザール領と同じく未開発の地が沢山あるんだよね。
 気候はサーゲイロード辺境伯領に近いから、どんな作物が採れるかは直ぐに分かるかも。

「ナイツ子爵領には港があるのに防衛力が弱いな。駐屯地の建設も検討しよう」
「うむ。幸いにして、良港がある。大型船でも大丈夫じゃろうな」

 軍務卿の意見に、宰相が同意しました。
 もしかしたら、闇ギルドは海から来た可能性もありますね。

「宰相、ナイツ子爵と嫡男はどうなりますか?」
「ナイツ子爵と嫡男は、薬の影響で完全にボケているな。まともな会話すらできん。とはいえ、屋敷にいた闇ギルドの連中から証言は取れているし、王城襲撃も含めると死罪は免れないだろう。分家も捕まったし、罪状云々以前にナイツ子爵家は継ぐのがいないからそのまま断絶だな」

 やっぱり悪意が強い人程、魔獣化の薬の影響が強いんだ。
 ナイツ子爵に関する人は全て捕まってるし、お家断絶は仕方ないね。

「来週には、王城から派遣する官僚も決定する。受け入れ準備は進めておいてくれ」
「畏まりました」

 こうして打ち合わせは終了だけど、お仕事はまだまだ続きますよ。
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