上 下
402 / 866
第二十二章 新たな魔獣

五百二十八話 冒険者の行動履歴

しおりを挟む
 ずずずず。

「あっ、壁にも何かあったよ」
「本当だね、削った痕があるよ」
「とっても怪しい」

 またもやリズ達が何かを見つけました。
 テーブルを三人で移動して、壁を指さしています。
 確かに、壁の一部の色が明らかに違います。
 ギルドマスターが試しに壁をナイフで触ると簡単に削る事ができて、しかも削った壁の中を見てビックリ。

「何だか怪しいものが沢山ありますね」
「こりゃ、ある意味宝の山だな。そういえば、奴は長期滞在者だったな」
「全ての家具と、家具に隠された所も調べないといけませんね」

 書類っぽいものや良くわからない魔導具もあって、ギルドマスターも思わず苦笑していました。
 でも、ジェイド様が言ったみたいに家具を動かしたりすると、隣の部屋に泊まっている人の迷惑になるんじゃないかな?
 そこで、隣の部屋に泊まっていた人に来てもらいました。

「いやあ、これは派手な事になっていますね」
「キュー」

 隣の部屋に泊まっていたのは、まさかのルシアさんとククリさんでした。
 ルシアさんと従魔のポッキーは人がゴタゴタ動いている部屋を見てビックリしつつ、何故かリズ達に混ざって宝探しを始めていました。

「そういえば、夜中に何かを削る音がしていました。ゴソゴソと物音がする時もありましたね。全く顔を合わせていないので、部屋に誰が入っていたかは分かりません。そういえば、全く話し声が聞こえてきませんでした」
「となると、あの冒険者は外部でやり取りしていて、この宿はいわば倉庫扱いか」

 ククリさんがジェイドさんに話をしているので、事情を聞くのに全く支障はありません。
 もしかしたら、あの冒険者と街中で接触していた人物がいるかもしれないなあ。
 と、ここでマリーさんが僕達の所にやってきて話しかけてきました。

「ジェイド様、ギルドマスター、ちょっと気になった事があります。あの冒険者の活動履歴を調べていた所、ここ一年程全く依頼を受けていませんでした。その前は頻繁に依頼を受けています」
「全く依頼を受けていないのは、確かに気になりますね。依頼を受けなくなったのに、何か理由がありそうですね」
「他に同じような行動パターンをしている冒険者をリストアップできるか? あと、王都のギルド本部にも、冒険者に怪しい動きがあった事を伝えて欲しい」
「分かりました」

 確か闇ギルドは、この一年は目立った動きをしていません。
 ちょうどタイミングが重なるので、とっても怪しいですね。
 因みにスラちゃんは長距離転移を繰り返していて、王城に逐一報告しています。

「キュー」
「お、流石はポッキーだね。私達の手の届かない所にあるものも取ってくるとは」
「「「すごーい!」」」

 因みにルシアさんはともかくとして、ポッキーはアイテムボックスも駆使していて大活躍していました。
 ポッキーには、あとでご褒美をあげないとな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

王太子さま、側室さまがご懐妊です

家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。 愛する彼女を妃としたい王太子。 本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。 そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。 あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。

【完結】聖女ディアの処刑

大盛★無料
ファンタジー
平民のディアは、聖女の力を持っていた。 枯れた草木を蘇らせ、結界を張って魔獣を防ぎ、人々の病や傷を癒し、教会で朝から晩まで働いていた。 「怪我をしても、鍛錬しなくても、きちんと作物を育てなくても大丈夫。あの平民の聖女がなんとかしてくれる」 聖女に助けてもらうのが当たり前になり、みんな感謝を忘れていく。「ありがとう」の一言さえもらえないのに、無垢で心優しいディアは奇跡を起こし続ける。 そんななか、イルミテラという公爵令嬢に、聖女の印が現れた。 ディアは偽物と糾弾され、国民の前で処刑されることになるのだが―― ※ざまあちょっぴり!←ちょっぴりじゃなくなってきました(;´・ω・) ※サクッとかる~くお楽しみくださいませ!(*´ω`*)←ちょっと重くなってきました(;´・ω・) ★追記 ※残酷なシーンがちょっぴりありますが、週刊少年ジャンプレベルなので特に年齢制限は設けておりません。 ※乳児が地面に落っこちる、運河の氾濫など災害の描写が数行あります。ご留意くださいませ。 ※ちょこちょこ書き直しています。セリフをカッコ良くしたり、状況を補足したりする程度なので、本筋には大きく影響なくお楽しみ頂けると思います。

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

魔眼の守護者 ~用なし令嬢は踊らない~

灯乃
ファンタジー
幼い頃から、スウィングラー辺境伯家の後継者として厳しい教育を受けてきたアレクシア。だがある日、両親の離縁と再婚により、後継者の地位を腹違いの兄に奪われる。彼女は、たったひとりの従者とともに、追い出されるように家を出た。 「……っ、自由だーーーーーーっっ!!」 「そうですね、アレクシアさま。とりあえずあなたは、世間の一般常識を身につけるところからはじめましょうか」 最高の淑女教育と最強の兵士教育を施されたアレクシアと、そんな彼女の従者兼護衛として育てられたウィルフレッド。ふたりにとって、『学校』というのは思いもよらない刺激に満ちた場所のようで……?

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福論。〜飯作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

西園寺若葉
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。