上 下
274 / 817
第十九章 懐古派の砦編

四百話 新たな同行者と共に懐古派の砦へ出発

しおりを挟む
 遂に教皇国に向かう日が来ました。
 僕達は、早朝から旅の支度をしています。
 因みに、ミカエルとブリッドとサンディはまだ一緒にくっついてすやすやと寝ています。

「リズ、準備できた?」
「できたよ!」

 といっても荷物は既にアイテムボックスの中なので、騎士服に着替えるだけで準備完了です。
 僕とリズの準備が完了した所で、辺境伯様の屋敷の前に向かいます。
 
「お、準備できた様だな」
「お待たせしました」
「お待たせー!」
「俺達も来た所だ。まあ、女性陣が赤ん坊に授乳中だからちょっと待ってな」

 レイナさん達は、出発前に赤ちゃんにお乳をあげているのか。
 離乳食を食べ始めたとはいえ、レイカちゃん達はまだまだお乳を飲んでいるんだよね。
 
「まあ、ソフィアもいるし、赤ん坊の事は気にしなくていいぞ」
「すみません、ミカエルの事も含めてお願いします」
「ええ、大丈夫よ」

 先に辺境伯様とイザベラ様に挨拶を済ませておく。
 普段からミカエルとブリッドに加えて赤ちゃん達はとても仲がいいので、特に問題ないだろう。

「ノエルさん、不在の間よろしくお願いします」
「ええ、任せてください」

 僕達に同行せずに子ども達の護衛につくノエルさんにも、勿論挨拶をしていきます。
 ノエルさんはとても強いし、ルリアンさんとナンシーさんの旦那さんもいるから、何かあっても大丈夫だろう。

「いやあ、ごめんごめん。お待たせー」

 ここで授乳を終えたレイナさん達が合流した。
 お母さんとしてのお仕事だし、何も問題ないだろう。
 という事で、全員揃ったので王城に向かいます。

「皆、おはよう」
「おばあちゃん、おはよー!」

 王城の軍の施設に向かうと、既に着替え終わったティナおばあさまとジェリルさんとランカーさんが僕達を待っていた。
 リズは、ティナおばあさまに抱きついて行った。
 
「あれ? 陛下や他の方はいないんですか?」
「気を使わせない様にって言っていたのだけど、本当はまだ朝食途中なのよ」

 朝食中なら仕方ないですね。
 追加の持ち物などを受け取って、僕とスラちゃんとプリンのアイテムボックスに仕舞います。
 万が一に備えて、一人と二匹で分散して荷物を持ちます。

「それじゃあ、教皇国へ向かいましょうね」
「では、ゲートを繋ぎます」

 馬車とかは教皇国で用意してくれるので、ティナおばあさまの合図で教皇国へ向かいます。
 気の知れたメンバーなので、道中はとっても楽しみです。

「おお、皆様お待ちしておりました」

 大教会に到着すると、ヤークス教皇が出迎えてくれた。
 教皇国からはあまり目立たない様にと、出迎えは少人数でとお願いしていました。
 でも、いきなり国のトップが僕達の事を出迎えたのだから、一人でも十分目立ちそうだね。
 特にヤークス教皇は、聖騎士団出身で筋肉ムキムキだし。

「同行者として、シスターを一人つけます。そこそこ魔法が使えるので、自分の身は守ることができましょう」
「あ、あの時のお姉さんだ!」

 リズの言葉の通り、アホスタイル枢機卿に捕えられていて危うく殺害されそうになったお姉さんだった。
 シスター服ではなく、聖騎士の服を着ています。
 あえていうなら、レイナさんやカミラさんよりももっともっとお胸が大きいです。
 でも、青色の長髪だった髪をバッサリと切り落としてセミロングヘアに変えているぞ。

「改めて自己紹介を、アレクサと申します。その節は大変お世話になりました」
「アレクサさん、髪を切られたんですね」
「はい、もう一度自分自身を鍛え直すために、過去の自分と決別する意味で切りました」

 そっか、アレクサさんはアホスタイル枢機卿に捕えられてピンチを作った事を悔いていたんだ。
 何だか並々ならぬ決意を感じているぞ。
 そして馬車は商隊が使う様な幌馬車風のものです。
 豪華な馬車では、道中目立ってしまいますね。
 クッションを多めに買ってあるので、座る分には問題ありません。

「では、行ってきます」
「道中お気をつけて」

 ヤークス教皇に挨拶をして、僕達は馬車に乗り込みます。
 さて、道中はどんな事が待ち受けているのだろうか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

モブだった私、今日からヒロインです!

まぁ
恋愛
かもなく不可もない人生を歩んで二十八年。周りが次々と結婚していく中、彼氏いない歴が長い陽菜は焦って……はいなかった。 このまま人生静かに流れるならそれでもいいかな。 そう思っていた時、突然目の前に金髪碧眼のイケメン外国人アレンが…… アレンは陽菜を気に入り迫る。 だがイケメンなだけのアレンには金持ち、有名会社CEOなど、とんでもないセレブ様。まるで少女漫画のような付属品がいっぱいのアレン…… モブ人生街道まっしぐらな自分がどうして? ※モブ止まりの私がヒロインになる?の完全R指定付きの姉妹ものですが、単品で全然お召し上がりになれます。 ※印はR部分になります。

俺の異世界先は激重魔導騎士の懐の中

油淋丼
BL
少女漫画のような人生を送っていたクラスメイトがある日突然命を落とした。 背景の一部のようなモブは、卒業式の前日に事故に遭った。 魔王候補の一人として無能力のまま召喚され、魔物達に混じりこっそりと元の世界に戻る方法を探す。 魔物の脅威である魔導騎士は、不思議と初対面のようには感じなかった。 少女漫画のようなヒーローが本当に好きだったのは、モブ君だった。 異世界に転生したヒーローは、前世も含めて長年片思いをして愛が激重に変化した。 今度こそ必ず捕らえて囲って愛す事を誓います。 激重愛魔導最強転生騎士×魔王候補無能力転移モブ

よくある婚約破棄なので

おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。 その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。 言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。 「よくある婚約破棄なので」 ・すれ違う二人をめぐる短い話 ・前編は各自の証言になります ・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド ・全25話完結

婚約者に冤罪をかけられ島流しされたのでスローライフを楽しみます!

ユウ
恋愛
侯爵令嬢であるアーデルハイドは妹を苛めた罪により婚約者に捨てられ流罪にされた。 全ては仕組まれたことだったが、幼少期からお姫様のように愛された妹のことしか耳を貸さない母に、母に言いなりだった父に弁解することもなかった。 言われるがまま島流しの刑を受けるも、その先は隣国の南の島だった。 食料が豊作で誰の目を気にすることなく自由に過ごせる島はまさにパラダイス。 アーデルハイドは家族の事も国も忘れて悠々自適な生活を送る中、一人の少年に出会う。 その一方でアーデルハイドを追い出し本当のお姫様になったつもりでいたアイシャは、真面な淑女教育を受けてこなかったので、社交界で四面楚歌になってしまう。 幸せのはずが不幸のドン底に落ちたアイシャは姉の不幸を願いながら南国に向かうが…

【R18】お嫁さんスライム娘が、ショタお婿さんといちゃらぶ子作りする話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 前話 【R18】通りかかったショタ冒険者に襲い掛かったスライム娘が、敗北して繁殖させられる話 https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/384412801 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

【R18】翡翠の鎖

環名
ファンタジー
ここは異階。六皇家の一角――翠一族、その本流であるウィリデコルヌ家のリーファは、【翠の疫病神】という異名を持つようになった。嫁した相手が不幸に見舞われ続け、ついには命を落としたからだ。だが、その葬儀の夜、喧嘩別れしたと思っていた翠一族当主・ヴェルドライトがリーファを迎えに来た。「貴女は【幸運の運び手】だよ」と言って――…。 ※R18描写あり→*

【R18】らぶえっち短編集

おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
調べたら残り2作品ありました、本日投稿しますので、お待ちくださいませ(3/31)  R18執筆1年目の時に書いた短編完結作品23本のうち商業作品をのぞく約20作品を短編集としてまとめることにしました。 ※R18に※ ※毎日投稿21時~24時頃、1作品ずつ。 ※R18短編3作品目「追放されし奴隷の聖女は、王位簒奪者に溺愛される」からの投稿になります。 ※処女作「清廉なる巫女は、竜の欲望の贄となる」2作品目「堕ちていく竜の聖女は、年下皇太子に奪われる」は商業化したため、読みたい場合はムーンライトノベルズにどうぞよろしくお願いいたします。 ※これまでに投稿してきた短編は非公開になりますので、どうぞご了承くださいませ。

拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな
恋愛
 子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。 公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。  クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。  クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。 「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」 「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」 「ファンティーヌが」 「ファンティーヌが」  だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。 「私のことはお気になさらず」

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。