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第十八章 少し平和な日々

三百八十四話 懐古派がいる地域に行く事に

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 教皇国に付くと、僕達は大教会の控室に向かいます。
 大教会の中はまだ工事中で、新年の集会も街の広場で行われているそうです。
 なので、僕達は新年の集会が終わって教皇や枢機卿が帰って来るまで待つ事に。

 コンコン。

「いやいや、お待たせして申し訳ない」
「いえいえ、我々も先程着いた所ですわ」

 僕達が控室に入って直ぐに、教皇様とサイファ枢機卿がやってきた。
 二人とも、一仕事終えたって感じの表情をしています。
 新教皇になってから、初めての新年行事だもんね。

「聖女様とレリーフ枢機卿とナッシュ枢機卿は、広場で新年の炊き出しをしております」
「まあ、そうなんですね。皆様、お忙しいですわね」
「これも皆様が教皇国の平和を取り戻して頂いたお陰です」

 サイファ枢機卿がお茶を一口つけてアリア様に報告していた。
 新年早々、皆さんは忙しいんだな。
 ここで、ケイリさんが教皇様とサイファ枢機卿に挨拶を行います。

「初めてお目にかかります。皇帝陛下の側室のケイリと申します。この子はアンドリューと言います。教皇選挙の際にお伺いできず申し訳ありません」
「おお、わざわざ来て頂きかたじけない。教皇のヤークスだ。ケイリ様は教皇選挙よりも大きな仕事があったのだ。それに元気な皇子様がお生まれになり、本当に何よりだ」

 教皇様もケイリさんに無事に赤ちゃんが産まれて笑顔になっています。
 教皇様はアンドリューちゃんの頭を撫でながら、今度はジンさんの方向を向きました。

「ジン殿が抱いている赤ん坊は、前に言っておられたジン殿の赤ん坊ですか? それにしては、だいぶ大きい様ですな」

 あ、そっか。
 ジンさんは王子であるルカちゃんとエドちゃんを抱いているけど、普通はジンさんの赤ちゃんだと思うよね。
 アリア様とティナおばあさまが、少し笑いながら教皇様に説明を始めた。

「教皇様、ジンが抱いているのは王妃様と私の子どもですわ」
「二人は王国の王子です。ジンの子どもは、今日は屋敷におりますわ」
「ははは、まさかジン殿が王子様を抱いておられるとは」
「何だか、いつも抱っこをせがんでいるんですよ。さっきも帝国に行った際に、双子に抱っこをせがまれていたんですよ」
「ほうほう、流石は導く者様ですな」

 うわあ、教皇様の中でジンさんの評価が更に高くなっているぞ。
 サイファ枢機卿も、アリア様とティナおばあさまの言葉を聞いてほうっと感心した素振りをしていた。

「あの、俺の事は良いんですよ。早く本題に移りましょう」
「誤魔化しておりますな。ジン殿もこう言っておりますし、話を進めますか」

 ジンさんが話題を変えようと必死に話をしていたので、サイファ枢機卿が少し苦笑しながら話を始めた。

「元アホスタイル枢機卿が担当していた地域は、大半の領地で自治権を取り戻しております。まあ、住民全てが懐古派の影響下ではありませんし、皇都でアホスタイル枢機卿が引き起こした件がトドメで住民が一気に離れた様です」

 この辺りは僕達も話を聞いている。
 中心都市も取り戻して、領地はほぼ平穏を取り戻したらしい。
 アホスタイル枢機卿が大教会で大暴れをしたのも致命傷だろう。

「しかしながら、懐古派は元アホスタイル枢機卿の影響下にあった領地にある昔の砦跡に籠もっております。どうも以前よりその砦に食料や物資を溜め込んでいた様で、強固に抵抗されています」
「となると、奴らは最初から皇都襲撃と籠城作戦の両方を計画していた訳か」
「その可能性が高いかと。包囲網を敷きつつ、対応を協議しております」

 うーん、これは中々難しい状況だ。
 完全に長期戦の様相になっている。
 もしかしたら、闇組織から懐古派への支援もあるのかも知れない。

「現状は小康状態ですが、大規模戦闘に発展する可能性もあります。その際は、各国に支援を求める可能性もあります」
「となると、アレクは一回現地に行った方が良いな」
「そうですね。直ぐに動ける準備をした方が良いですね」

 という事で、時期は調整するけど現地に向かう事が確定。
 緊急支援を求める状況に成らなければ良いなあ。
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