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第十七章 教皇国編

三百四十二話 面倒臭い会談

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 僕達が大教会に戻ると、ホクホク顔のヤークス枢機卿が出迎えてくれた。
 そりゃそうだろう。
 ただの炊き出しのはずが、沢山の懐古派を捕まえるという副産物があったのだからだ。

「そこで、皆様にお願いがある。聖女様襲撃の時にも活躍したそのポニーを、聖騎士の午後の巡回に同行してくれないか?」
「ブッチーがオッケーだって。悪い人はどんどん捕まえるって」
「おお、それは有難い!」

 念の為という事で、スラちゃんとプリンとアマリリスもポニさん達に同行するという。

「スラちゃん、やり過ぎない様にね」

 僕の忠告に、スラちゃんとプリンとアマリリスが触手や脚を上げていた。
 街の人に被害を出す事はないはずだから、きっと大丈夫だと思いたい。
 ヒカリはカレン様の肩に陣取って、カレン様の警護をしています。
 従魔も、うまく役割分担ができている様だ。

 僕達は炊き出しのスープを食べたので昼食はいらない。
 なので、少し休んでから午後の行事に参加します。

「ジン、アレク君。炊き出しで良い成果が出たらしいわね」
「殆どポニさん達の功績ですよ」
「俺らはひたすら野菜を切っていただけだったよ」

 ゴキブリホイホイのエサ役としては頑張ったと思うけど、本当に食材を切っていただけだもんなあ。
 
「薬草の研究も上手く行ったというし、明日は大教会の前で炊き出しをする事になったのよ」
「おおー!」
「「えっ!」」

 いやいや、小さな教会でさえあれだけの人数が集まったのに、この大教会の前で炊き出しをするなんてどれだけの人が集まるのか分からないぞ。
 
「流石に援軍は呼ぶわよ。ルーカス達も参加させるし、帝国からもリルムちゃんが来るそうよ」
「それはそれは、懐古派にとってはとんでもないエサになりそうですね」
「ふふふ、懐古派を一網打尽にできる又とないチャンスよ」

 あ、ティナおばあさまが黒い笑みを浮かべているよ。
 僕達も懐古派には散々嫌な思いをしたからなあ。

 結局午後は、教会の偉い人と会って話を聞くだけだった。
 大抵は神様がどれだけ素晴らしいかというのと、僕達の偉業を褒め称えるものだった。
 うーん、自分が出世する為にゴマスリをしている様にしか見えないなあ。

「耳が痛い話ですな。正にアレク殿下の言う通りです。奴らは実績がないのにも関わらず、出世欲が凄くて。抑えるのも苦慮しております」

 おやつの時間になって、僕達はヤークス枢機卿と大教会の応接室にいます。
 挨拶で疲れてしまったのか、ミカエルとリズとサンディは迎賓館の部屋で寝ています。

「ただ、気になるのは、ミカエルが積極的に挨拶に行かなかった事ですね。良い人なら、自ら挨拶に向かうのですが」
「そういえば、ミカエルちゃんは小さな声でわるものって言っていましたね」
「ふむ、ちょうどこちらも奴らの動きが怪しいと思っていた所だ。選挙も間近にあるから、探りを入れておこう」

 ヤークス枢機卿は、側にいた聖騎士に指示を出していた。
 僕も鑑定を使っていた訳ではないけど、怪しいと思ったんだよね。

 そして夕食の時になって、追加の報告がサイファ枢機卿からあった。

「いやあ、聖女様救出時に活躍したポニーと従魔は素晴らしいです。たまたま帰りがけに午後面会した司教どもと遭遇して、直ぐ様怪しいと判断して拘束しました。屋敷を捜索したら、沢山の金品がでてきましたよ。嘆かわしい事です」

 哀れ、午後に面会した司教達。
 大教会からの帰りにポニさんとスラちゃんと遭遇するとは。
 因みに懐古派と思われる不審者も百人以上捕まえたという。
 捕まえた中に普通の犯罪者もいたはずだから、治安向上にも一役買ったはずだ。
 ポニさん達は、不審者を捕まえたご褒美として聖騎士からいい飼い葉を貰ったらしく、辺境伯様の屋敷に送る際にとてもご機嫌だった。

「リズも街で悪い人を捕まえたかったよ」
「それは流石にダメだろう」
「えー!」

 リズは会談をするのがだいぶ面倒だった様だけど、流石にやらないという選択肢はないぞ。
 そしてスラちゃんよ、変な踊りをしてリズを煽るんじゃないの。
 予定外の事もだいぶあったけど、二日目としてはこれで終わった。
 明日が大人数になるから、色々と不安でしかないなあ。
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