192 / 866
第十六章 聖女様出迎え編
三百十八話 聖女様歓式典の開始
しおりを挟む
結局予定時間を三十分オーバーして、聖女様の歓迎式典が始まった。
会場にいる殆どの貴族は、遅れた原因がムノー男爵である事に気がついている。
当のムノー男爵は周囲の視線など全く気にせずに、貴族主義の貴族と談笑していた。
うん、大物なのかただのアホなのか。
誰が見ても、恐らく後者だろうな。
「ごほん、時間ギリギリになって駆け込んできた貴族のせいで開始が遅れてしまった様だ。聖女様を待たせてしまい、大変に遺憾である」
おお、陛下がストレートに始まりが遅くなった理由を話しているぞ。
それで、ムノー男爵はというと、うん、周りの人とのおしゃべりに夢中で陛下の話すら聞いていない。
ムノー男爵以外の貴族主義の貴族は流石に陛下の口調で気がついたので、ムノー男爵との話を中断したぞ。
周りの様子にようやく気がついて、ムノー男爵はおしゃべりをやめた。
おお、陛下だけでなく王妃様とアリア様の殺気も膨れ上がってるぞ。
「ごほん、では聖女様よりご挨拶を頂く」
あえて咳払いをした陛下から、カレン様へバトンタッチされた。
この時ばかりは、全ての視線がカレン様に向いている。
「教皇国聖女カレンでございます。この度は皆様へのご挨拶が遅れ申し訳ございません。王国の方々に命を救って頂き、心より感謝申し上げます。その様な素晴らしい王国の方々に益々の繁栄がある事を、神と共にお祈り申します」
会場からはおおって声が上がっていた。
カレン様の堂々とした口上に、皆が感動しているのだ。
カレン様の話よりも食事と飲み物に気が向いているムノー男爵は本当にダメだな。
まだ二歳のミカエルでさえも、ちゃんとカレン様の話を聞いているのだから。
あ、今度はティナおばあさまの殺気が膨れ上がっているよ。
もうこの時点で、ムノー男爵は新事業から外される事間違いなしだな。
「それでは聖女様の体調の回復を祝い乾杯とする。乾杯!」
「「「乾杯!」」」
そして陛下の乾杯の音頭で式典が始まった。
問題のムノー男爵は参加者の中で一番爵位が下なので、カレン様への挨拶も一番最後になる。
そこまでは、平和な時間になる予定だ。
公爵と辺境伯家の挨拶の次は、ベストール侯爵家の挨拶です。
ノエルさんの兄が当主なのだが、ミカエルもリズ達も全く警戒していないので良い人なのだろう。
ノエルさんと同じ緑色の髪を短く切りそろえたイケメンが、今のベストール侯爵家の当主の様だ。
「聖女様、そして皆様方。ベストール侯爵家当主のグリンでございます。アレク殿下並びにリズ殿下には、父と兄が大変なご迷惑をおかけしました。私からも謝罪致します」
うん、とっても良い人だ。
父親と兄の事で相当苦労したらしいので、この人が当主ならベストール侯爵家も安泰だ。
「ノエ、ノエのにーに?」
「そうですよ。私の兄上ですよ」
「おお!」
ミカエルは、グリン様と一緒にいるノエルさんに確認をしていた。
そういえばさっきノエルさんが兄が挨拶に来ると話していたのを、ミカエルは覚えていたのか。
「こんちゃ、ミカでしゅ」
「小さいのにいい挨拶ですね。ノエルの事をよろしくね」
「うん!」
ミカエルも張り切ってグリン様に挨拶をしていた。
ミカエルの対応をしてくれているグリン様も良い人だな。
後がつかえてるので、挨拶はここまでにした。
「ノエルさん、優しそうなお兄様ですね」
「ええ、私にも良くしてくれています」
挨拶の帰りがけにカレン様とノエルさんが話していたけど、兄弟仲もとても良さそうだ。
その他の貴族からもカレン様は挨拶を受けていたけど、貴族側も多くは語らずにカレン様の体調を気遣う様な挨拶だった。
ムノー男爵以外の貴族主義の貴族も場の空気を読んでいるのか、無難な挨拶に終始していた。
「あ、ミリアちゃんだ!」
「リズちゃんだ!」
次の挨拶はクロール男爵とベストール男爵が一緒にご挨拶。
リズもミリアと久々の再会を抱き合って喜んでいます。
そうか、ミリアも幼いけどベストール男爵家の当主なのか。
「クロール男爵、シェーンさん。お久しぶりです」
「お久しぶりで御座います、アレク殿下。この度は新しい事業を始められるという事で、私めも皆様のお力になればと思っております」
「ミリアの将来もありますので、現金な話ですが協力できればと思いましてこの度応募致しました」
「クロール男爵家とベストール男爵家は歓迎しますよ。共に頑張りましょう」
「「はい」」
ミリアの将来の為にお金を稼ぐ必要はあるけど、この人達はとても良い人なので僕達としてもとてもありがたい。
きっと新事業の大きな力になるはずだ。
あと、ミリアもだいぶ表情が明るくなっている。
最初会った時はお人形の様な感じだったからなあ。
言葉もたどたどしいのがなくなっているので、シェーンさんが頑張って教育しているのだろうな。
会場にいる殆どの貴族は、遅れた原因がムノー男爵である事に気がついている。
当のムノー男爵は周囲の視線など全く気にせずに、貴族主義の貴族と談笑していた。
うん、大物なのかただのアホなのか。
誰が見ても、恐らく後者だろうな。
「ごほん、時間ギリギリになって駆け込んできた貴族のせいで開始が遅れてしまった様だ。聖女様を待たせてしまい、大変に遺憾である」
おお、陛下がストレートに始まりが遅くなった理由を話しているぞ。
それで、ムノー男爵はというと、うん、周りの人とのおしゃべりに夢中で陛下の話すら聞いていない。
ムノー男爵以外の貴族主義の貴族は流石に陛下の口調で気がついたので、ムノー男爵との話を中断したぞ。
周りの様子にようやく気がついて、ムノー男爵はおしゃべりをやめた。
おお、陛下だけでなく王妃様とアリア様の殺気も膨れ上がってるぞ。
「ごほん、では聖女様よりご挨拶を頂く」
あえて咳払いをした陛下から、カレン様へバトンタッチされた。
この時ばかりは、全ての視線がカレン様に向いている。
「教皇国聖女カレンでございます。この度は皆様へのご挨拶が遅れ申し訳ございません。王国の方々に命を救って頂き、心より感謝申し上げます。その様な素晴らしい王国の方々に益々の繁栄がある事を、神と共にお祈り申します」
会場からはおおって声が上がっていた。
カレン様の堂々とした口上に、皆が感動しているのだ。
カレン様の話よりも食事と飲み物に気が向いているムノー男爵は本当にダメだな。
まだ二歳のミカエルでさえも、ちゃんとカレン様の話を聞いているのだから。
あ、今度はティナおばあさまの殺気が膨れ上がっているよ。
もうこの時点で、ムノー男爵は新事業から外される事間違いなしだな。
「それでは聖女様の体調の回復を祝い乾杯とする。乾杯!」
「「「乾杯!」」」
そして陛下の乾杯の音頭で式典が始まった。
問題のムノー男爵は参加者の中で一番爵位が下なので、カレン様への挨拶も一番最後になる。
そこまでは、平和な時間になる予定だ。
公爵と辺境伯家の挨拶の次は、ベストール侯爵家の挨拶です。
ノエルさんの兄が当主なのだが、ミカエルもリズ達も全く警戒していないので良い人なのだろう。
ノエルさんと同じ緑色の髪を短く切りそろえたイケメンが、今のベストール侯爵家の当主の様だ。
「聖女様、そして皆様方。ベストール侯爵家当主のグリンでございます。アレク殿下並びにリズ殿下には、父と兄が大変なご迷惑をおかけしました。私からも謝罪致します」
うん、とっても良い人だ。
父親と兄の事で相当苦労したらしいので、この人が当主ならベストール侯爵家も安泰だ。
「ノエ、ノエのにーに?」
「そうですよ。私の兄上ですよ」
「おお!」
ミカエルは、グリン様と一緒にいるノエルさんに確認をしていた。
そういえばさっきノエルさんが兄が挨拶に来ると話していたのを、ミカエルは覚えていたのか。
「こんちゃ、ミカでしゅ」
「小さいのにいい挨拶ですね。ノエルの事をよろしくね」
「うん!」
ミカエルも張り切ってグリン様に挨拶をしていた。
ミカエルの対応をしてくれているグリン様も良い人だな。
後がつかえてるので、挨拶はここまでにした。
「ノエルさん、優しそうなお兄様ですね」
「ええ、私にも良くしてくれています」
挨拶の帰りがけにカレン様とノエルさんが話していたけど、兄弟仲もとても良さそうだ。
その他の貴族からもカレン様は挨拶を受けていたけど、貴族側も多くは語らずにカレン様の体調を気遣う様な挨拶だった。
ムノー男爵以外の貴族主義の貴族も場の空気を読んでいるのか、無難な挨拶に終始していた。
「あ、ミリアちゃんだ!」
「リズちゃんだ!」
次の挨拶はクロール男爵とベストール男爵が一緒にご挨拶。
リズもミリアと久々の再会を抱き合って喜んでいます。
そうか、ミリアも幼いけどベストール男爵家の当主なのか。
「クロール男爵、シェーンさん。お久しぶりです」
「お久しぶりで御座います、アレク殿下。この度は新しい事業を始められるという事で、私めも皆様のお力になればと思っております」
「ミリアの将来もありますので、現金な話ですが協力できればと思いましてこの度応募致しました」
「クロール男爵家とベストール男爵家は歓迎しますよ。共に頑張りましょう」
「「はい」」
ミリアの将来の為にお金を稼ぐ必要はあるけど、この人達はとても良い人なので僕達としてもとてもありがたい。
きっと新事業の大きな力になるはずだ。
あと、ミリアもだいぶ表情が明るくなっている。
最初会った時はお人形の様な感じだったからなあ。
言葉もたどたどしいのがなくなっているので、シェーンさんが頑張って教育しているのだろうな。
369
お気に入りに追加
8,644
あなたにおすすめの小説
〈とりあえずまた〆〉婚約破棄? ちょうどいいですわ、断罪の場には。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
辺境伯令嬢バルバラ・ザクセットは、第一王子セインの誕生パーティの場で婚約破棄を言い渡された。
だがその途端周囲がざわめき、空気が変わる。
父王も王妃も絶望にへたりこみ、セインの母第三側妃は彼の頬を打ち叱責した後、毒をもって自害する。
そしてバルバラは皇帝の代理人として、パーティ自体をチェイルト王家自体に対する裁判の場に変えるのだった。
番外編1……裁判となった事件の裏側を、その首謀者三人のうちの一人カイシャル・セルーメ視点であちこち移動しながら30年くらいのスパンで描いています。シリアス。
番外編2……マリウラ視点のその後。もう絶対に関わりにならないと思っていたはずの人々が何故か自分のところに相談しにやってくるという。お気楽話。
番外編3……辺境伯令嬢バルバラの動きを、彼女の本当の婚約者で護衛騎士のシェイデンの視点から見た話。番外1の少し後の部分も入ってます。
*カテゴリが恋愛にしてありますが本編においては恋愛要素は薄いです。
*むしろ恋愛は番外編の方に集中しました。
3/31
番外の番外「円盤太陽杯優勝者の供述」短期連載です。
恋愛大賞にひっかからなかったこともあり、カテゴリを変更しました。
王太子さま、側室さまがご懐妊です
家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。
愛する彼女を妃としたい王太子。
本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。
そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。
あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。