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第十六章 聖女様出迎え編

三百十六話 ミカエルのパーティデビューに向けて

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 そして歓迎式典当日になった。
 僕は辺境伯様やマロード男爵にバザール子爵も引き連れて、王城に向かいます。
 その後は、各辺境伯領にゲートを繋いで、主だった人を呼び寄せます。
 今日も僕は指名の多いタクシーです。

 サーゲロイド辺境伯を王城に連れてきた時、着替えを終えたミカエルがトトトっとこちらにやってきた。
 そして、サーゲロイド辺境伯に向かってぺこっとお辞儀をしながら一言。

「こんちゃ、ミカでしゅ」
「おお、幼いのに上手に挨拶ができたのう」
「えへへ」

 今日のミカエルはずっとこんな感じだ。
 ミカエルなりに挨拶をして、褒められて嬉しいのだろう。
 初めて会った人に、こんな感じで挨拶をしている。
 ミカエルはサーゲロイド辺境伯に褒められて満足したのか、またトトトと小走りに戻って行った。
 戻った先には、既にドレスに着替えたリズ達が待っていた。
 そんなミカエルの様子を、サーゲロイド辺境伯が見つめていた。

「僕の従兄弟で、バイザー子爵家当主のミカエルです。あんな感じですが、初めての公式の場で張り切っている様です」
「話には聞いておったが、大きくなったのう。確かアレク殿下に救われた時は、小さな赤子だと聞いておる」
「はい、こうして大きく素直に育っています。ミカエルは両親の事で色々と悪口を言われていますが、僕とリズにとっては紛れもない従兄弟です。それに、ミカエルは幼くしてネグレクト状態でしたし」
「子は親を選べないとはいえ、なんとも不憫な事よ。アレク殿下に助けられて、あの子も幸せでしょう」

 ミカエルも明るく元気にしているけど、もしあのままバイザー家にいたら一歳を迎える前に病気で死んでいたかもしれない。
 ミカエルの両親は大犯罪人だけどミカエル自身には何も罪はないし、このまま無事に大きくなってもらいたいなあ。

 関係者が集まった所で、研究所についての話し合いが始まります。
 貴族主義の連中は、ベストール侯爵家ノエルさんを除いて式典の方に出てくるそうだ。
 リズ達は、皆でルカちゃんとエドちゃんの所に行っています。
 
「レイクランド辺境伯領では、研究所の準備も出来ております。一部施設は稼働し始めました」
「サーゲロイド辺境伯領も状況はレイクランド辺境伯領と同じじゃ。教会も積極的に協力してくれておる」

 二つの辺境伯領でも一部が稼働し始めたんだ。
 そう考えると、ホーエンハイム辺境伯領の研究所はだいぶ進んでいるんだ。

「王都の状況だが、研究所はできているが稼働はもう少し先だな。利権関係でうるさい奴がいるのだ」
「それって、聖女様に会わせろって言っている所ですか?」
「そうだ。今日も当主と嫡男の二人が式典に出る熱の入れ様だ」
「勢力拡大に加えて、今回の事業がお金になると思っているのですね。鼻がいいという事ですか」
「アレクの言う通りだな」

 うーん、こういう余計な事をしてくる人がいると周りの人が迷惑するよね。
 自分の事ばかりで、周りの事なんてどうでもいいんだよね。

「ホーエンハイム辺境伯領での研究はできる限り進めておこう。レポートを見たが、炊き出し時の治療で検証したのは良い事だ。各領地でも対応を進める様に」
「「「はっ」」」

 王都よりも各辺境伯領の方が先に研究が進みそうなので、僕も辺境伯領の研究には積極的に協力していこう。

「あと、今日はバイザー子爵家のミカエルが正式に歓迎式典に参加する。両親の事でミカエルが参加する事に文句を言ってくる馬鹿な奴がいるかもしれない。本件は余がミカエルの参加を許可しているので、馬鹿な奴がいたら遠慮なく対応して良いぞ」

 陛下からミカエルが参加する事に言及していたけど、ここにいる全員がミカエルが張り切って挨拶をしている事は知っているので、協力すると力強く頷いていた。
 僕も式典中はミカエルの事を気にかけておこう。
 会議はこれで終わり、僕は皆がいるルカちゃんとエドちゃんの部屋に向かった。

「くー」

 ミカエルは予備のベッドの上でお昼寝をしていた。
 頑張って挨拶していたから疲れたのだろう。
 
「「「くー」」」

 そして、ミカエルと共にリズとエレノアとサンディもお昼寝をしていた。
 いや、君達は疲れる事は何もしていないでしょうが。

「折角だから、夕方まで寝かせてあげましょうね」
「はい」

 王妃様も仕方ないって顔をしていたので、リズ達もこのままお昼寝をさせておいた。
 そして、ミカエルとリズ達はおやつの時間になったらパチっと目を覚ましたのだった。
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