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第十四章 五歳の祝いとマロード温泉
二百五十五話 意外な弱点
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ちゅんちゅん。
ちゅんちゅん。
「うーん、もう朝か。ふわあ」
昨日はムノー子爵のせいで色々あったからとっても疲れたけど、今朝はゆっくり寝ることができた。
「すー、すー」
そして僕の横で寝ているのはサンディ。
僕が寝た後の壮絶なじゃんけん大会は、サンディが勝ち抜けした様だ。
他のメンバーは、別々のベッドで寝ている。
僕は他の人を起こさない様にベッドから降りて、窓を開けます。
「うーん、天気が良くて良かったなあ」
今日は獣を間引く作業があるので、天気が良いのはとっても助かる。
ぬかるんだ山道を歩くのは、やっぱり嫌だよね。
「うーん、むにゃむにゃ……」
お、サンディも目を覚ましたようだ。
さて、今日は狩猟だから冒険者服に着替えよう。
「では、おかみさんお世話になりました」
「いえいえ、こちらこそお世話になりました。またお越しくださいませ」
狩猟に行く前に宿をチェックアウトする。
二泊だけだったのに、ムノー子爵の件があったから中身が濃かったなあ。
料理と温泉は本当に良かったから、また皆で泊まりに来たいなあ。
「今日はルーカスお兄ちゃんとか来れなくて残念だね」
「しょうがないね。元々予定が決まっていたんだし」
ルーカスお兄様は確か来賓対応があったっけ。
ルーシーお姉様も来賓対応に一緒に参加して、エレノアは五歳の祝いの衣装合わせなんだって。
なので、昨日のムノー子爵のドタバタのせいで今日に変更になった狩猟には参加できなくなったのだ。
ある意味、これもムノー子爵事件の影響なのだろうね。
今日は山道を歩いて行くので、山道を歩きやすい様にトレッキングシューズみたいな靴を履いて行きます。
「ふんふんふーん」
ジンさんを先頭にして皆で山道を歩いて行きます。
天気が良いので、リズは鼻歌を歌いながら歩いて行きます。
リズの頭に乗っているスラちゃんも、とってもご機嫌です。
「あ、鹿だ!」
と、ここで目のいいリズが鹿の群れを見つけたぞ。
早速ジンさんと冒険者のお姉さんが、目の前に現れた鹿を仕留めに行きます。
「鹿は繁殖力が強いから、適当に間引かないと山に生えている草木だけでなく畑の野菜とかも食べちゃうんだよ」
「へえ、そうなんだ」
「猪も畑を荒らしちゃうんだよ。鹿や猪を保護して増えすぎてもお互いにダメなんだ」
「そうなんですね。勉強になります」
レイナさんとカミラさんが、リズとサンディに間引きについて簡単に教えている。
前世でも鹿の食害があるって、社会の授業で教わったなあ。
僕もスラちゃんとプリンと一緒に、仕留めた鹿の血抜きの処理を行なって行きます。
「お、今度はでっかい猪だな」
「ここは私が仕留めるわ」
今度はでっかい猪が姿を現した。
猪にはレイナさんが一気に向かっていき、難なく一撃で仕留めていく。
仕留めた猪を皆で見るけど、本当にでっかいなあ。
「今年は好天に恵まれたから、木の実とかが豊富なのね。もし夏に嵐とかがあると森の恵みが少なくなって、餌を求めて人里にやってくるのよ」
「「へえ!」」
今度はティナおばあさまがリズとサンディに気候と獣の動きについて教えていたけど、まだ二人には難しいかな?
二人がもう少し大きくなれば、森と気候の事も理解できる様になるだろう。
しかし、思ったよりも鹿の数が多いなあ。
僕も、周りの環境に影響が無い様に風魔法を使って鹿を駆除していきます。
サンディも威力はまだまだだけど、風魔法を使っていきます。
「とー!」
相変わらずというか、リズとスラちゃんは自身の武器であるファルシオンとロングソードを使って獣を倒していきます。
順調に狩猟は進んでいき、昼前には目標数に近づきました。
そしてお昼は、宿のおかみさんが作ってくれたお弁当を頂きます。
と、ここでリズが皆にとある質問をぶつけてきた。
「お弁当美味しいね!」
「おかみさんは、本当にお料理上手なんだな」
「そういえば、皆ってお料理できるの?」
恐らくお弁当を食べて何気なく言っただけなのだろうが、リズの言葉を聞いた女性陣の表情が一斉に青くなったぞ。
顔が青くなった女性陣を見て、ティナおばあさまがジト目で更に質問してきた。
「正直に言いなさい。料理が全くできないの? ちょっとはできるの?」
「「「全く……」」」
レイナさんにカミラさん、冒険者のお姉さん達に加えて近衛騎士のジェリルさんとランカーさんもガクッとしていた。
えーっと、もしかしてティナおばあさま以外の大人の女性陣は、料理の事については全滅?
「ティナ様、いつも遠征先では俺が料理を作っていましたよ。後は出来合いの物をマジックバッグに入れてました。ルリアンとナンシーも料理はダメだな」
「私も人に言えるほどじゃないけど、全くできないのは冒険者としても貴族の令嬢としてもどうかと思うわ」
「「「うぅ……」」」
僕は、ジンさんが皆の料理を作っている事に衝撃を受けたぞ。
レイナさんとカミラさんが全く料理ができないとは、僕にとってかなりの衝撃だぞ。
「お兄ちゃんは料理できるよね?」
「前に簡単な物を作ってくれましたよ」
「つまりは、料理の腕前に関しては女性陣はジンと子どもであるアレク君以下なのね。これはかなり重大な問題だわ」
トドメと言わんばかりに、リズとサンディが僕が料理ができるとバラしてしまった。
ズーンと落ち込んでいる女性陣に向けて、ティナおばあさまがどうしようかと悩んでいた。
「全員明後日王都で行う炊き出しに参加ね。先ずは、どれくらいの腕前か確認しておきましょう」
「「「はーい……」」」
という事で、明後日の炊き出しに女性陣は全員参加となってしまった。
その為か、午後の狩猟では女性陣のやる気がガタ落ちしてしまったのはいうまでもなかった。
「おーい、今回の間引き分の獲物を持ってきたぞ」
「おお、ジンか。おや? これは懐かしい人もいますな」
「久しぶりね。孫と一緒に温泉にきたのよ」
夕方になったので、狩った獲物を卸す為にマロード男爵領の冒険者ギルドに行きます。
ジンさんがスキンヘッドの男性の職員に話しかけると、その職員はティナおばあさまの事も知っていた。
何でもティナおばあさまが湯治に来ていた時に、ギルドに狩った獲物を卸していたという。
「と言う事は、その二人が双翼の天使か」
「そうよ。今日も沢山鹿や猪を狩ってきたのよ」
「へえ、そりゃ凄いな。早速持ってきてくれ」
職員が準備していると、スラちゃんがぴょんとテーブルの上に乗った。
そして、スラちゃんは自分のアイテムボックスに入っていた鹿や猪をどかどかと積み上げていった。
スライムが大量の鹿や猪を、しかもアイテムボックスから取り出していて、職員の度肝を抜いていた。
「こりゃ凄いスライムだな。血抜きもしっかりとしているな」
「スラちゃんとプリンちゃんが血抜きをしてくれたんだよ!」
「スライムを使って血抜きをしたのか。中々面白いな」
リズがどうやって血抜きをしたかを説明したら、スキンヘッドの職員はスライムの血抜きにかなり興味を示していた。
スラちゃんとプリンは綺麗に血抜きをするから、獲物の状態がかなり良いんだよね。
「おじちゃん、鹿を一頭だけ急ぎで解体できる? 炊き出しで皆に配るんだ」
「そう言う事なら直ぐにやっちまうぞ。ちょっと待っていろ」
「はーい」
鹿を沢山狩る事ができたので、折角なので鹿肉を炊き出しに使う事にした。
新鮮だし臭みも少ないから、スープにも合いそうだ。
既にリズとスラちゃんは、炊き出しのスープを思い浮かべている様で、ちょっとよだれがでていた。
「ナイフもあるし、調理器具も一通り持っている。でも、手入れはしないとな。後はやる気があるかだな」
「「「はい……」」」
一方、ギルド内の別のスペースではジンさん主導で女性陣の持ち物チェックをしていた。
調理器具を殆ど使っていないので一旦洗う必要はありそうだけど、問題はない様だ。
男性のジンさんから色々と指摘されて、落ち込んでいる女性陣。
うーん、明後日までに料理の腕が何とかなるか非常に微妙だ。
とりあえず今回の目的である獣の間引き分は無事に終了したから、僕としては良しとしておこう。
ちゅんちゅん。
「うーん、もう朝か。ふわあ」
昨日はムノー子爵のせいで色々あったからとっても疲れたけど、今朝はゆっくり寝ることができた。
「すー、すー」
そして僕の横で寝ているのはサンディ。
僕が寝た後の壮絶なじゃんけん大会は、サンディが勝ち抜けした様だ。
他のメンバーは、別々のベッドで寝ている。
僕は他の人を起こさない様にベッドから降りて、窓を開けます。
「うーん、天気が良くて良かったなあ」
今日は獣を間引く作業があるので、天気が良いのはとっても助かる。
ぬかるんだ山道を歩くのは、やっぱり嫌だよね。
「うーん、むにゃむにゃ……」
お、サンディも目を覚ましたようだ。
さて、今日は狩猟だから冒険者服に着替えよう。
「では、おかみさんお世話になりました」
「いえいえ、こちらこそお世話になりました。またお越しくださいませ」
狩猟に行く前に宿をチェックアウトする。
二泊だけだったのに、ムノー子爵の件があったから中身が濃かったなあ。
料理と温泉は本当に良かったから、また皆で泊まりに来たいなあ。
「今日はルーカスお兄ちゃんとか来れなくて残念だね」
「しょうがないね。元々予定が決まっていたんだし」
ルーカスお兄様は確か来賓対応があったっけ。
ルーシーお姉様も来賓対応に一緒に参加して、エレノアは五歳の祝いの衣装合わせなんだって。
なので、昨日のムノー子爵のドタバタのせいで今日に変更になった狩猟には参加できなくなったのだ。
ある意味、これもムノー子爵事件の影響なのだろうね。
今日は山道を歩いて行くので、山道を歩きやすい様にトレッキングシューズみたいな靴を履いて行きます。
「ふんふんふーん」
ジンさんを先頭にして皆で山道を歩いて行きます。
天気が良いので、リズは鼻歌を歌いながら歩いて行きます。
リズの頭に乗っているスラちゃんも、とってもご機嫌です。
「あ、鹿だ!」
と、ここで目のいいリズが鹿の群れを見つけたぞ。
早速ジンさんと冒険者のお姉さんが、目の前に現れた鹿を仕留めに行きます。
「鹿は繁殖力が強いから、適当に間引かないと山に生えている草木だけでなく畑の野菜とかも食べちゃうんだよ」
「へえ、そうなんだ」
「猪も畑を荒らしちゃうんだよ。鹿や猪を保護して増えすぎてもお互いにダメなんだ」
「そうなんですね。勉強になります」
レイナさんとカミラさんが、リズとサンディに間引きについて簡単に教えている。
前世でも鹿の食害があるって、社会の授業で教わったなあ。
僕もスラちゃんとプリンと一緒に、仕留めた鹿の血抜きの処理を行なって行きます。
「お、今度はでっかい猪だな」
「ここは私が仕留めるわ」
今度はでっかい猪が姿を現した。
猪にはレイナさんが一気に向かっていき、難なく一撃で仕留めていく。
仕留めた猪を皆で見るけど、本当にでっかいなあ。
「今年は好天に恵まれたから、木の実とかが豊富なのね。もし夏に嵐とかがあると森の恵みが少なくなって、餌を求めて人里にやってくるのよ」
「「へえ!」」
今度はティナおばあさまがリズとサンディに気候と獣の動きについて教えていたけど、まだ二人には難しいかな?
二人がもう少し大きくなれば、森と気候の事も理解できる様になるだろう。
しかし、思ったよりも鹿の数が多いなあ。
僕も、周りの環境に影響が無い様に風魔法を使って鹿を駆除していきます。
サンディも威力はまだまだだけど、風魔法を使っていきます。
「とー!」
相変わらずというか、リズとスラちゃんは自身の武器であるファルシオンとロングソードを使って獣を倒していきます。
順調に狩猟は進んでいき、昼前には目標数に近づきました。
そしてお昼は、宿のおかみさんが作ってくれたお弁当を頂きます。
と、ここでリズが皆にとある質問をぶつけてきた。
「お弁当美味しいね!」
「おかみさんは、本当にお料理上手なんだな」
「そういえば、皆ってお料理できるの?」
恐らくお弁当を食べて何気なく言っただけなのだろうが、リズの言葉を聞いた女性陣の表情が一斉に青くなったぞ。
顔が青くなった女性陣を見て、ティナおばあさまがジト目で更に質問してきた。
「正直に言いなさい。料理が全くできないの? ちょっとはできるの?」
「「「全く……」」」
レイナさんにカミラさん、冒険者のお姉さん達に加えて近衛騎士のジェリルさんとランカーさんもガクッとしていた。
えーっと、もしかしてティナおばあさま以外の大人の女性陣は、料理の事については全滅?
「ティナ様、いつも遠征先では俺が料理を作っていましたよ。後は出来合いの物をマジックバッグに入れてました。ルリアンとナンシーも料理はダメだな」
「私も人に言えるほどじゃないけど、全くできないのは冒険者としても貴族の令嬢としてもどうかと思うわ」
「「「うぅ……」」」
僕は、ジンさんが皆の料理を作っている事に衝撃を受けたぞ。
レイナさんとカミラさんが全く料理ができないとは、僕にとってかなりの衝撃だぞ。
「お兄ちゃんは料理できるよね?」
「前に簡単な物を作ってくれましたよ」
「つまりは、料理の腕前に関しては女性陣はジンと子どもであるアレク君以下なのね。これはかなり重大な問題だわ」
トドメと言わんばかりに、リズとサンディが僕が料理ができるとバラしてしまった。
ズーンと落ち込んでいる女性陣に向けて、ティナおばあさまがどうしようかと悩んでいた。
「全員明後日王都で行う炊き出しに参加ね。先ずは、どれくらいの腕前か確認しておきましょう」
「「「はーい……」」」
という事で、明後日の炊き出しに女性陣は全員参加となってしまった。
その為か、午後の狩猟では女性陣のやる気がガタ落ちしてしまったのはいうまでもなかった。
「おーい、今回の間引き分の獲物を持ってきたぞ」
「おお、ジンか。おや? これは懐かしい人もいますな」
「久しぶりね。孫と一緒に温泉にきたのよ」
夕方になったので、狩った獲物を卸す為にマロード男爵領の冒険者ギルドに行きます。
ジンさんがスキンヘッドの男性の職員に話しかけると、その職員はティナおばあさまの事も知っていた。
何でもティナおばあさまが湯治に来ていた時に、ギルドに狩った獲物を卸していたという。
「と言う事は、その二人が双翼の天使か」
「そうよ。今日も沢山鹿や猪を狩ってきたのよ」
「へえ、そりゃ凄いな。早速持ってきてくれ」
職員が準備していると、スラちゃんがぴょんとテーブルの上に乗った。
そして、スラちゃんは自分のアイテムボックスに入っていた鹿や猪をどかどかと積み上げていった。
スライムが大量の鹿や猪を、しかもアイテムボックスから取り出していて、職員の度肝を抜いていた。
「こりゃ凄いスライムだな。血抜きもしっかりとしているな」
「スラちゃんとプリンちゃんが血抜きをしてくれたんだよ!」
「スライムを使って血抜きをしたのか。中々面白いな」
リズがどうやって血抜きをしたかを説明したら、スキンヘッドの職員はスライムの血抜きにかなり興味を示していた。
スラちゃんとプリンは綺麗に血抜きをするから、獲物の状態がかなり良いんだよね。
「おじちゃん、鹿を一頭だけ急ぎで解体できる? 炊き出しで皆に配るんだ」
「そう言う事なら直ぐにやっちまうぞ。ちょっと待っていろ」
「はーい」
鹿を沢山狩る事ができたので、折角なので鹿肉を炊き出しに使う事にした。
新鮮だし臭みも少ないから、スープにも合いそうだ。
既にリズとスラちゃんは、炊き出しのスープを思い浮かべている様で、ちょっとよだれがでていた。
「ナイフもあるし、調理器具も一通り持っている。でも、手入れはしないとな。後はやる気があるかだな」
「「「はい……」」」
一方、ギルド内の別のスペースではジンさん主導で女性陣の持ち物チェックをしていた。
調理器具を殆ど使っていないので一旦洗う必要はありそうだけど、問題はない様だ。
男性のジンさんから色々と指摘されて、落ち込んでいる女性陣。
うーん、明後日までに料理の腕が何とかなるか非常に微妙だ。
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