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第三章『反乱軍と魔物』

第六十一話『洞窟の先は』

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 太陽の穏やかな光が地上に降り注ぐ。それは洞窟内にも差し込み、アーシャ達を夢の国から引き上げた。

「おはよう。アーシャ。気持ちのいい朝だね」
「ん。おはよう」

 洞窟の硬い地面で寝ていたために凝り固まった体を、彼女達は思い思いに伸ばす。

「んぁー!! よく寝た」
「朝から、スノーは、元気」
「おうよ! んだぁ? 側近もにーちゃんもまだ眠そうだな?」
「ふああァ……。ネコ科だからな。一応オレも夜行性なんだよ」
「へー」
「興味なしかよ」

 呆れたように笑ったシャオラスを横切り、アーシャは出口へ近づく。
 明るくなった洞窟の外に出れば、夜には見えなかった景色が広がっていた。

 ――これは……。夜に進まなくて正解ね。

 アーシャが左を向けば、すぐそこに水が流れていた。
 夜の闇の中では瀑声ばくせいが轟いている音しか聞こえなかったが、すぐ近くに音の出どころはあったようだ。
 氷山の雪解け水が滝を作っており、時折大きな雪の塊が流れ落ちていく。
 彼女の隣からアルバートが顔を覗かせた。

「思ってた以上に細いな……」

 彼の視線は洞窟の外に続く道を捉えている。
 彼の後を追うように、シャオラス達も近くへと集まってきた。

「準備できたみたいだね。行こう」

 アルバートを先頭に歩き出す。
 洞窟の外にあるのは、大人一人しか通れない細い道だ。しかも、断崖絶壁の中腹にあった。
 一度ひとたび下を向けば、滝つぼが口を開けて獲物を待ち構えている。一般人なら、足がすくみ通れないだろう。
 しかし、彼女達は臆せず進む。

「でけぇ滝だなあ、おい!」
「はしゃぎ過ぎると、落ちる」

 アーシャは後ろで目を輝かせているであろうスノーに呆れながら、視線を足場へと向けた。

 ――まるで誰かが通る事を想定して作られたみたいだわ。

 自然にできたにしては、平ら過ぎる地面にアーシャは訝しげな表情をするしかない。

 ――魔物のような巨体が乗っても崩れないのも、おかしいわよね。

 アーシャ達は慎重に歩みを進め、水飛沫がかかるほど近くまで滝へと近づいていく。

「これは……」

 呆然と見上げ呟いたアーシャは、心底、夜に移動せず留まって正解だったと感じた。
 光に照らされていれば容易に気が付ける事も、闇に紛れてしまえば気が付く事は困難になる。

 ――まさか、滝の裏に扉が隠れているなんて思わないじゃない。

 岩肌に似せることもせず、そびえ立つ灰色の扉。
 それは、見つからないという絶対的な自信か、見つかっても入ることは不可能だという自負か。

「なんだぁ? 籠もった風の音がすんだけどよ」
「滝の内側だからじゃねェの?」
「そういうもんかね。にーちゃんは変だと思わねぇのかよ」
「俺は滝の音が聞こえすぎて、耳が痛ェ」
「ちっ、使えねぇ」
「酷いな!?」
「まぁまぁ、シャオラスも、スノーも、落ち着いて」

 ルーナが仲裁に入り、二人は平静を取り戻した。
 二人が落ち着いたことを確認し、アルバートは頷く。

「よし。入ろう」

 そう言ってのけたアルバートは清々しいまでの笑顔を浮かべていた。

「どうやって? 洞窟内の扉も開けられなかったのに……」

 アーシャの疑問はもっともだ。
 開けることが出来るのであれば、最初から洞窟内にあった扉から入ればよかったのだから。

「これだよ」

 彼が魔法収納マジックポケットから取り出したのは、一冊の本。
 アーシャが初めて見た時は、保護魔法が施されていた。

「それは……」
「アーシャには見せたよね? カーティアのから貰ったものだよ。おおかた、こうなることが分かっていたから、俺にこの本を託したんだろうね」
「なぁ! 御託は後でもいいだろ? さっさと開けたらいいじゃねぇか。びっちゃびちゃになりそうだぜ」
「それもそうだね」

 眉を下げて笑ったアルバートが、本を開き魔力を込めた。
 すると、大きな地鳴りとともに扉が開かれる。
 いとも簡単に開いた扉に、アーシャは目をぱちくりさせてしまう。
 呆気にとられていたが、優しい声が聞こえ、彼女は我に返った。

「ほら、アーシャ。後ろが詰まってるからおいで」
「ありがとう」

 本を魔法収納マジックポケットへと戻したアルバートに手を差し出され、アーシャはその手を取った。
 彼に連れられ入ったアーシャは、既視感を感じた。
 四角いその場所は、ウルスラグナのエレベーターを彷彿させる。

「なんだァここ?」
「分から、ない」
「行き止まりじゃねぇか! けっ! 期待して損した」

 思い思いの言葉を吐いた彼らに、アルバートは笑う。

「まぁまぁ。見ててよ」

 そう言うとアルバートは跪き、地面に両手をついた。
 彼が大量の魔素を送れば、地面に魔法陣が浮かび上がる。
 その様にアーシャ達は目を見開く。

 ――アルの保有する魔素は一般人の比ではないはず。

 アルバートは規格外の存在だ。
 異世界から呼び出された影響か、元々の体質かは定かではないが、ウルスラグナの技術力を持ってしても保有魔力の上限が分からなかった。
 そんな彼が大量の魔素を送り込む姿に、困惑を隠せない。

「アル、手伝ったほうがいいか?」
「大丈夫だ。それに、俺以外じゃ飛べないから……」

 ――飛べない……?

 アーシャが疑問を口にする前に、景色が変わった。
 何度も味わった浮遊とはまた違った、何とも言えない感覚がアーシャ達を襲う。
 真っ暗な場所へと降り立った彼女は当惑した声で呟いた。

「転移魔法?」
「そうだよ。ただ、あれは特殊な装置だったから……」
「あの本の所有者でないと発動しないって条件かしら?」
「んー、そんなところかな」

 煮えきらない返事に、アーシャの心に疑問がひらりと舞う。しかし、舞ったそれを掴むことは出来なかった。
 アルバートが指を鳴らし、魔法を発動させ、辺りを照らす。

「指を鳴らさなくても、旦那は魔法が使えるだろ? 最近のマイブームってやつかぁ?」
「連携するなら、魔法を使う合図が必要かなと思ってね。アーシャ達は魔紙を使うから分かりやすいだろ? でも、俺は魔紙を使って魔法は使わないから」
「確かに、一理、ある」

 頷いたルーナを横目に、アーシャは視線を上げる。
 澄み渡る空が広がっているが、ところどころ岩肌が見えており、それが映像だと確信させた。

「ここは地下都市だという認識で合っているのかしら?」
「うん。ようこそ。地下都市ジャンナへ」
「ふふ。アル。それじゃまるでここの住人みたいよ」
「あれ? そうかな?」
「はいはい。お二人さん。イチャつくのはそのへんにしとかねェ?」

 シャオラスに横やりを入れられ、アーシャとアルバートはお互いに顔を見合わせて笑った。

「じゃ、行こうか」

 アルバートが一歩踏み出し、魔法陣から抜けた瞬間。
 軽やかな女性の声が響きだした。
 突然の声にアーシャ達の肩が跳ねる。

『最先端のテクノロジーと魔法の織り成す、エンターテインメント!! 地下都市ジャンナへようこそ! 健康で快適な暮らしを体験してみませんか? 一日過ごせば、あなたも地下都市の虜になること、間違いなし!』

 同じ文言を繰り返す女性の声に、スノーが不満を口にする。
 その様子はさながら、猫の威嚇のようだ。

「ビビった!! んだよ、これはよぉ!!」
「放送を聞くに、ここは観光施設っぽいよなァ。おっ! あっちに観覧車があるぜ」
「遊びに、来たわけじゃ、ない」
「遊ぶつもりはこれっぽちもねェよ。それに動いてる感じもしねェし、そもそも遊べねェだろうな」

 さきほどのアーシャと同じように興味津々に辺りを見回すシャオラスが、目を細めてため息をついた。
 アルバートは未知の場所に臆する様子もなく、先陣を切る。

「進もうか」

 そう言った彼の歩みに一切の迷いはない。
 迷いはないが、彼の顔には少しの不安が宿っていた。

 ――アルがそんな顔するなんて、珍しいわね。

 普段の彼なら、アーシャが自身の隣に来たことに歓喜するだろう。
 しかし、隣を陣取った彼女が横顔を盗み見たことにすら気が付かないアルバートは、普段の強気な姿勢の影もない。
 隣にいると知らせるように彼女は疑問を投げつける。少し落ち着けと、心配を込めて。

「進むと言っても、どこに行くつもり? 初めての場所なのだから、慎重に進むべきじゃない?」
「まぁそれがセオリーだよね。幸いここに魔物はいないから、安心していいよ」
「どれだけの広さかも分からないのに、迂闊に動いて迷ってしまったら危険だわ」

 アーシャの忠告も聞かず、まるで暮らし慣れた場所を歩くように進むアルバート。

 ――なにを、焦っているの?

 彼の後ろをついていくが、あてもなく探索するほど余裕はないだろう。
 いつ魔物が出てくるかも分からない場所なのだ。
 アーシャの不安が伝わったのか、アルバートは魔法収納マジックポケットからまた本を取り出した。

「大丈夫だよ。これに全部書いてあったから」

 彼から手渡された本を開こうとしたアーシャが、すんでのところで止まった。

「これ、アル以外が開けないよう、保護魔法がかかっていたと思うのだけれど?」
「大丈夫だよ。保護魔法は解いておいたから。俺しか見れないっていうのも不便だしね」
「さっきから二人でなにコソコソ話してんだぁ? 教えろよ」
「うん。スノーの言う通りかもしれないな。全員頭に叩き込んでいた方がいい」

 彼はそう言うと、浮遊魔法で本を浮かべた。これで、探索しながらでも皆が本を見ることが出来る。

「飯食いながら、探索すっか」
「携帯食料、持ってきて、良かった」

 シャオラスとルーナが手持ちの携帯食料を取り出した。
 北の森へと入る前に準備を怠らなかったおかげで、一か月は籠っていられるだろう。
 本を見るため近くに寄ったシャオラス達は、本を見ながら携帯食料を齧った。

「ゆっくりと飯が食えるってのは、いいよな。旦那様々だぜ!」

 魔物がいないと分かっているため、アーシャ達は比較的自由に行動出来ている。
 これもひとえに、アルバートが探知で警戒をしてくれているからに他ならない。

「警戒を完全に解けるわけじゃねェけど、ありがたいよな」
「そんなに褒めても何も出ないぞ。それで、この本によると、地下都市ジャンナは五層まであるみたいなんだ」

 彼の言葉にアーシャは少し目を見開いた。
 そして広げられた本を覗き込み、目を細める。

 ――ここは……一層ね。シャオラスの予想通り、観光施設だったみたい。でもいったい、なんのためにこの書物が残されていたのかしら?

「ご丁寧にこんな本まで残しっちゃって、先人は何を考えてんのか、わっかんねェわ」
「しかも、これ、古代語」
「うげっ古代語とか今どき読める人間いんのかよ?」
「私は読めるわよ」

 読める人間が限られるのも仕方のない話だ。
 古代語はその名の通り、はるか昔に使われていた文字なのだから。

「はぁ? お嬢サマ、考古学者にでもなるつもりだったのか?」
「古代語は貴族の嗜みよ。ねぇ、ルーナ?」
「主。この際だから、言うけど、古代語は、貴族でも、習わない」
「え?」
「アザミ様の、采配……」
「はぁ……。まったく、お父様はいったい私をどうしたいのかしら」
「考古学者にでもしたかったんじゃねぇの? お嬢サマ、旦那以外と釣り合う気がしねぇし、元々嫁にやる気がなかったんじゃね?」
「確かに、アザミ様の、溺愛っぷりには、従者達が、こぞって頭を抱えてた」
「そうだったの? でも、私は公爵家の次期当主よ」
「だから、俺が婚約者に選ばれたんだろ? 貴族のしがらみにも囚われず、アーシャよりも強いから守ってあげられる。それに、君と夫婦になれるなら婿養子だって歓迎だよ」

 本をめくろうとしていた手を取られ、手の甲へと口づけを落とされた。そのまま互いの指を絡め、歩みを進めた。
 絡んだ手を見ながら、アーシャの思考はあらぬ方向へと飛びそうになる。

 ――少し、積極的過ぎたかしら?

 何度も口づけをしているというのに、たった手を繋ぐというスキンシップで、心臓が高鳴ってしまう。

「けっ! イチャイチャしやがって」
「って、今は私達の話はしなくてもいいのよ。この地図を見る限り、一層の面積は小さく下に降りるにつれて大きくなっているわ。魔物は下の層から来たと考えるのが妥当ね」

 地下都市の全体図が描かれているページを開き、アーシャは上から下へと指を滑らせる。
 彼女の指を追いアルバート達の視線が自然と本へと集まった。

「下へ降りなきゃ始まんねェってことか。つっても、どうするよ? 降りるにしたって、さっきみたいな転移する場所まで行かなきゃなんねェんだろ? それとも、エレベーターでもあるってのかよ」
「エレベーターがありそうね」
「じゃあそれに乗ればいいってことか」
「動力源が生きているのならね」
「はァ!? 詰みじゃねェか!」

 シャオラスが不満げな声を上げる。
 それもそのはずで、一層に入れたものの下へと降りるすべが見当たらないのだ。

「床、ぶっ壊してみっかぁ?」

 力技で解決しようとするスノーに、アーシャは大きなため息をつく。

「そんな簡単には壊れないでしょうね。地下都市がいつからあるかは定かではないけれど、長い年月が経っているはずなのに、損傷がないのよ。それに魔物がこの層にいないのだから、力技では出来ないと一目でわかるでしょう? 魔物の通れる大穴が空いていれば、魔物はここにもいるはずだもの」
「あん? じゃあどうしろってんだよ!」
「……動力源に、行く?」
「えぇ、そうね。一番現実的だと思うわ。どう?」

 アーシャが口数の少ないアルバートに目を向ける。

「うん。そうしようか。動力源が死んでいたら、元も子もないだろうけど……」
「つーかよ、旦那が転移したらいいだけじゃねぇの? 地図もあんだし、出来んだろ?」

 スノーが耳をかきながら呟いた。

 ――確かに。アルの転移なら、簡単に層を移動出来るわね。

 彼女の言葉に納得しかけたが、困ったような顔のアルバートが微笑を浮かべ否定を口にする。

「期待されているところ申し訳ないんだけど、ここじゃ転移は使えないんだ」
「は? んでだよ」
「魔法が阻害されるんだ。ほら、ここ」

 アルバートがページをめくり、指差す。
 指差された文字を見たスノーが嫌そうな顔をした。

「わりいけどよぉ、アタシは古代語なんて読めねぇんだ」
「しかたないわね。『地下都市内の転移魔法を禁ず。転移を企てた者、重罰に処す』ですって。重罰になるような禁忌ってことね」
「その記され方だと、転移自体は出来るんじゃねェの? アル?」

 シャオラスの視線を浴びたアルバートが首を横に振る。
 納得のいかなさそうな視線に、彼は苦笑した。

「転移をしようとすると、邪魔されるんだよ。見たほうが早いね。ちょっとやってみるよ。この場から、シャオラスの隣に転移するよ」

 アーシャの手を名残惜しそうに離したアルバートはそう言って指を鳴らし、魔法を発動させる。
 しかし、なにかに阻まれたのか、弾かれてしまった。

 ――転移されると都合の悪い事でもあるのかしら? ずっと流れている放送を聞く限り、新しい住人を募っているようだけれど……。

「ほらね? だから、動力源が生きている事を祈るしかないんだ」
「転移が、出来ないのは、分かった。じゃあ、動力源は、どこ?」
「中央制御室があったはずだよ」
「まずはそこを目指すしかないようね」

 アーシャは地図から中央制御室を探す。
 しかし、一層に中央制御室が見当たらない。

「ねぇ、アル」
「どうしたの?」
「中央制御室は一層にはないわ。二層と三層の間よ」
「なんだって? それじゃ本格的に詰みじゃねぇかよ~」
「大丈夫だよ」
「どうしてそう言い切れるの?」

 アーシャが首を傾げる。

 ――ここから出られないなら、魔物はどこから……?

 アーシャの疑問を晴らすように、アルバートは本から視線を逸らし、斜め前を向いた。
 彼の視線の先はなんの変哲もない壁だ。
 だが、彼は歩みを止めない。

「ちょっ、ちょっとアル!?」

 彼の奇行に焦ったアーシャは来たるべき衝撃を思い、固く目を閉じた。

「そこは壁っ……あら?」

 来るはずの衝撃が訪れず、アーシャは目を開けた。
 目の前に広がるのは壁ではなく、通路だ。
 彼女が振り返れば、シャオラス達が信じられないといった顔で壁を触っているところだった。

「これは……?」
「壁があるって認識させる魔法だね」

 にこにこと笑うアルバートに、アーシャはわなわなと震える。

「分かっているなら、最初からそう言ってくれてもいいじゃない!」
「慌てるアーシャ可愛かったよ」
「っ、あなたねぇ!!!」
「にーちゃん達、何してんだぁ? 早く入れよ。そこに壁なんてないだろ?」
「は? ……なんだ、認識阻害されてただけか」

 アーシャが羞恥心を爆発させる直前。
 壁など存在しないことに気がついたシャオラスとルーナが、スノーに連れられて通路へ入ってきた。
 どうやらスノーに認識阻害は効かないようだ。

「よく分かったな」
「アタシは弱視だかんな。目から影響の受けるものは効かねぇんだよ」
「なる、ほど」

 彼らの気の抜けた会話がアーシャの後ろで繰り広げられる。
 行き場のない感情を持て余したアーシャは、アルバートの背中を叩くのだった。
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