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第35話
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事務所に行き、パソコンでちょっと調べ物をしてから、俺はまた事務所を出た。
―――そういえば、昼間あの3人の話をしていた時、皐月が何か考え込んでいたな。
何か、引っかかることがあったのか、俺の声が聞こえないほどに・・・・・
あれは一体・・・・・
この時の俺も、同じように周りが一瞬見えなくなっていたのかもしれない。
後ろに忍び寄る気配に、寸前まで気付くことができなかった。
―――『ガッ!!!』―――
「うっ」
頭に鈍い痛みを感じ、後ろを確かめる間もなく俺はその場に倒れ、気を失った・・・・・。
「そういえば、俊哉はそのまま帰ったの?」
皐月の言葉に、俺は頷いた。
シャワーを浴び終え湯上りのいい匂いをさせた皐月がベッドに横たわっていた。
俺もその隣に転がる。
「今日はもう、遅いから帰りますって。岩本さんを送り届けなきゃいけないし」
「そっか・・・・。じゃ、明日のお弁当にしようかな」
皐月は俺たちのために夕食を用意してくれていたのだが、浩斗くんと皐月はそれを食べずおつまみとワインだけで俺たちを待っててくれていたのでほとんどそれは手つかずで残っていたのだ。
「ああ、そうしなよ。浩斗くんにも食べてもらえば」
「ん。稔も持ってくでしょ?」
「うん」
俺も渋滞している車の中でコンビニで買ったおにぎりなどを食べていたため、それほどお腹もすいていなかった。
「皐月、中学の頃の学年主任の先生とか、覚えてる?」
「学年主任・・・・?」
皐月が眉を寄せる。
「戸坂っていう人なんだけど。皐月がその中学にいた時の学年主任で、熱心な先生だったから皐月のことも覚えてるんじゃないかって言われたんだけど」
「戸坂・・・・うん、なんとなく・・・・」
「なんとなく?」
皐月にしては珍しい、と思った。
皐月は普通の人と違って、『うろ覚え』ということがない。一度会ったことのある人のこと、特にお互いを知っている間柄ならなおさら、その人のことや周りの環境まで、事細かに覚えているのだ。
「名前も、顔も思い出せるけど・・・・何だろう、なんか・・・・ぼやけてて・・・・」
「皐月?大丈夫か?」
額に手をあて、考え込む皐月。
なんだか、顔色が悪い気がした。
あの事件以来、皐月の体調はなかなか良くならない。
もしかしたら、人によって思い出せないことがあるというのは事件の後遺症の様なものなのだろうか。
「皐月、無理しなくていいから。明日、その先生に会いに行くから、別に今思い出せなくても―――」
その時、サイドテーブルに置いた俺の携帯が着信を告げた。
携帯を手の取り、画面を確認するとそこには『戸田』の文字が。
「もしもし、戸田くん?どうし――――――え?」
携帯から聞こえてきた戸田くんの声に、俺は思わず体を起こした。
「それで――――戸田くん、落ち着いて!それで、どうしたの?―――うん―――うん、わかった。すぐに行く」
「稔?どうしたの?戸田くんなんだって?」
「浩斗くんが・・・・襲われた」
「―――え?」
皐月がベッドに飛び起きる。
『浩ちゃんが―――浩ちゃんが、頭から血を流して倒れてたんだ!今、救急車呼んで病院に―――』
戸田くんのパニック状態の電話から病院名だけなんとか聞きとれたような状態で、俺たちはすぐにその病院へと向かった。
「襲われたって・・・どういうこと?」
タクシーの中、皐月が小声で俺に聞いた。
「戸田くんがパニクッてて詳しい状況はわからないけど、とにかく店の外に、浩斗くんが頭から血を流して倒れてたって」
「なんで、浩斗くんが・・・・」
「わからない。とにかく、戸田くんにももっとちゃんと話を聞いてみないと―――」
「あ、皐月、稔くんも」
病室では頭に包帯を巻いた浩斗くんが起きあがり、ちょっと照れくさそうに俺たちを見て笑った。
「浩斗くん!」
皐月が駆け寄り、俺もほっとしながら病室に入った。
「・・・ごめん、心配かけて・・・」
「いいよ。それより怪我、大丈夫?」
「うん、大したことないんだ。気を失った場所が裕太の店の前で・・・」
「そう、俺ね、夜中に急にお腹空いて、でも何もなくってコンビニに行こうと思ったら財布を店に忘れてたことに気付いて取りに行ったんだよ」
そう言って戸田くんが苦笑した。
「そしたら店の前で浩ちゃんが倒れててさ、もう超びっくり!死んでるのかと思って」
「おい!勝手に人殺すなよ!まあでも、裕太が見つけてくれて助かったけど。時間も時間だったし」
「で・・・誰にやられたか見たの?」
俺の言葉に、浩斗くんは首を振った。
「俺、ちょっと考えごとしてて、後ろに誰かいることに全く気付かなくてさ。だから、何も見てないんだよな。突然後頭部を誰かに殴られて・・・・。たぶん、バットみたいなものでやられたんだと思うけど」
「俺が見つけた時には、そんなものなかったから、きっと犯人が持って行ったんだろうね」
そう言って戸田くんも頷いた。
「そっか。でもなんで浩斗くんが―――って、皐月?」
皐月が、真っ青な顔をしていた。
「皐月?どうした?何か・・・わかるのか?」
浩斗くんの言葉に、皐月が顔を上げる。
「浩斗くん・・・・何も、覚えてない?犯人のこと・・・声も・・・」
「声?声なんて・・・・あ・・・なんか聞こえた気もするけど・・・・覚えてねえな」
浩斗くんが首を傾げて考え込む。
「・・・皐月、わかるのか、犯人が誰か」
当の浩斗くんは忘れていても、浩斗くんが体験したことならわかるのだろうか。
「・・・・姿は、見えない。でも・・・声が・・・」
皐月がきゅっと唇を噛みしめる。
「俺の・・・せいかもしれない・・・・」
「え・・・どういうこと?さっちゃんのせいって?」
「マスクをしてるのかもしれない・・・・。くぐもった声で・・・」
「なんて言ってた?」
皐月が、俺の方を見る。
「・・・『皐月に・・・近づくな』って・・・・」
俺と浩斗くんは顔を見合わせた。
「そんなこと・・・・言ってたかな。俺、本当にちゃんと聞いてなくて・・・・」
「言ってるよ、確かに。途中で声が聞き取りにくくなって・・・・たぶん浩斗くんの意識が途切れたからだと思うけど・・・・」
「・・・だとしても、皐月のせいじゃないだろ?それより、それが誰だったのか―――」
浩斗くんの言葉に、戸田くんも頷く。
「そうだよさっちゃん!あ、でもさ、その犯人って、さっちゃんを襲ったのと同じやつなのかな?」
皐月が首をゆるゆると振る。
「それは、わからない。俺が、思い出せないから・・・・。俺が思い出せれば・・・・」
「皐月、いいから」
俺は、小刻みに震える皐月の手を握った。
なんだか、そのまま皐月が消えてしまいそうな気がした。
「それは、俺たち警察が調べてるんだから、お前が無理に思い出さなくてもいいよ。それに、悪いのは犯人なんだから、お前が責任を感じる必要もない」
「そうだよ、皐月。俺も大したことなかったし、あんまり気にするな。お前の方が倒れちゃいそうだ」
浩斗くんの心配そうな表情に、ようやく皐月がほんの少し表情を和らげた。
絶対に皐月を1人にはできない。
そう思っていたのに―――
『え・・・さっちゃん戻ってないの?』
電話の向こうで、戸田くんが戸惑った声を出した。
浩斗くんは一応検査のため1日入院することになり、俺たちは家へ戻った。
そして翌日、俺は仕事へ行く前に皐月を戸田くんお店へ連れて行った。
探偵事務所は浩斗くんが退院するまで閉めることにしていた。
そして皐月は戸田くんの店で、探偵事務所からPCを持ってきて事務仕事をすることにしたのだ。
しかしその後、皐月が昨夜の疲れからか事務所で少し休みたいと言い出したらしく、戸田くんに必ず鍵をかけるように言われた皐月は『わかった』っと言って事務所へ行ったのだという。
だが、昼過ぎに俺の元へかかってきた電話で、戸田くんが『さっちゃん、家に戻ってる?』と言ってきたのだ。
聞けば、午後1時ごろに戸田くんが皐月の昼食にと作ったスパゲッティを持って事務所へ行ったが、ノックをしても誰も出て来なかったと。
皐月がまだ寝ているのかと、皐月の携帯に電話を掛けたが反応はなく。
念のためにと浩斗くんから預かっていた事務所の鍵で中へ入ったけれど皐月の姿はなく、もしかしたら家に帰ったのかと思って俺に電話を掛けてきたのだ。
俺はすぐに家に戻ったけれど、皐月はいなかった。
―――あれほど、1人になるなと言ったのに!
それから俺は、急いで探偵事務所へ向かった。
事務所の中は荒らされた様子はなく、無理やり連れ去られたとは考えにくかった。
だとしたら、どうして皐月は1人で出て行った?
考えられるのは、誰かに脅されたということ。
1人で出ていかなければならないほどの非常事態が起きたということだ。
俺に、助けを求めることもせずに―――
―――そういえば、昼間あの3人の話をしていた時、皐月が何か考え込んでいたな。
何か、引っかかることがあったのか、俺の声が聞こえないほどに・・・・・
あれは一体・・・・・
この時の俺も、同じように周りが一瞬見えなくなっていたのかもしれない。
後ろに忍び寄る気配に、寸前まで気付くことができなかった。
―――『ガッ!!!』―――
「うっ」
頭に鈍い痛みを感じ、後ろを確かめる間もなく俺はその場に倒れ、気を失った・・・・・。
「そういえば、俊哉はそのまま帰ったの?」
皐月の言葉に、俺は頷いた。
シャワーを浴び終え湯上りのいい匂いをさせた皐月がベッドに横たわっていた。
俺もその隣に転がる。
「今日はもう、遅いから帰りますって。岩本さんを送り届けなきゃいけないし」
「そっか・・・・。じゃ、明日のお弁当にしようかな」
皐月は俺たちのために夕食を用意してくれていたのだが、浩斗くんと皐月はそれを食べずおつまみとワインだけで俺たちを待っててくれていたのでほとんどそれは手つかずで残っていたのだ。
「ああ、そうしなよ。浩斗くんにも食べてもらえば」
「ん。稔も持ってくでしょ?」
「うん」
俺も渋滞している車の中でコンビニで買ったおにぎりなどを食べていたため、それほどお腹もすいていなかった。
「皐月、中学の頃の学年主任の先生とか、覚えてる?」
「学年主任・・・・?」
皐月が眉を寄せる。
「戸坂っていう人なんだけど。皐月がその中学にいた時の学年主任で、熱心な先生だったから皐月のことも覚えてるんじゃないかって言われたんだけど」
「戸坂・・・・うん、なんとなく・・・・」
「なんとなく?」
皐月にしては珍しい、と思った。
皐月は普通の人と違って、『うろ覚え』ということがない。一度会ったことのある人のこと、特にお互いを知っている間柄ならなおさら、その人のことや周りの環境まで、事細かに覚えているのだ。
「名前も、顔も思い出せるけど・・・・何だろう、なんか・・・・ぼやけてて・・・・」
「皐月?大丈夫か?」
額に手をあて、考え込む皐月。
なんだか、顔色が悪い気がした。
あの事件以来、皐月の体調はなかなか良くならない。
もしかしたら、人によって思い出せないことがあるというのは事件の後遺症の様なものなのだろうか。
「皐月、無理しなくていいから。明日、その先生に会いに行くから、別に今思い出せなくても―――」
その時、サイドテーブルに置いた俺の携帯が着信を告げた。
携帯を手の取り、画面を確認するとそこには『戸田』の文字が。
「もしもし、戸田くん?どうし――――――え?」
携帯から聞こえてきた戸田くんの声に、俺は思わず体を起こした。
「それで――――戸田くん、落ち着いて!それで、どうしたの?―――うん―――うん、わかった。すぐに行く」
「稔?どうしたの?戸田くんなんだって?」
「浩斗くんが・・・・襲われた」
「―――え?」
皐月がベッドに飛び起きる。
『浩ちゃんが―――浩ちゃんが、頭から血を流して倒れてたんだ!今、救急車呼んで病院に―――』
戸田くんのパニック状態の電話から病院名だけなんとか聞きとれたような状態で、俺たちはすぐにその病院へと向かった。
「襲われたって・・・どういうこと?」
タクシーの中、皐月が小声で俺に聞いた。
「戸田くんがパニクッてて詳しい状況はわからないけど、とにかく店の外に、浩斗くんが頭から血を流して倒れてたって」
「なんで、浩斗くんが・・・・」
「わからない。とにかく、戸田くんにももっとちゃんと話を聞いてみないと―――」
「あ、皐月、稔くんも」
病室では頭に包帯を巻いた浩斗くんが起きあがり、ちょっと照れくさそうに俺たちを見て笑った。
「浩斗くん!」
皐月が駆け寄り、俺もほっとしながら病室に入った。
「・・・ごめん、心配かけて・・・」
「いいよ。それより怪我、大丈夫?」
「うん、大したことないんだ。気を失った場所が裕太の店の前で・・・」
「そう、俺ね、夜中に急にお腹空いて、でも何もなくってコンビニに行こうと思ったら財布を店に忘れてたことに気付いて取りに行ったんだよ」
そう言って戸田くんが苦笑した。
「そしたら店の前で浩ちゃんが倒れててさ、もう超びっくり!死んでるのかと思って」
「おい!勝手に人殺すなよ!まあでも、裕太が見つけてくれて助かったけど。時間も時間だったし」
「で・・・誰にやられたか見たの?」
俺の言葉に、浩斗くんは首を振った。
「俺、ちょっと考えごとしてて、後ろに誰かいることに全く気付かなくてさ。だから、何も見てないんだよな。突然後頭部を誰かに殴られて・・・・。たぶん、バットみたいなものでやられたんだと思うけど」
「俺が見つけた時には、そんなものなかったから、きっと犯人が持って行ったんだろうね」
そう言って戸田くんも頷いた。
「そっか。でもなんで浩斗くんが―――って、皐月?」
皐月が、真っ青な顔をしていた。
「皐月?どうした?何か・・・わかるのか?」
浩斗くんの言葉に、皐月が顔を上げる。
「浩斗くん・・・・何も、覚えてない?犯人のこと・・・声も・・・」
「声?声なんて・・・・あ・・・なんか聞こえた気もするけど・・・・覚えてねえな」
浩斗くんが首を傾げて考え込む。
「・・・皐月、わかるのか、犯人が誰か」
当の浩斗くんは忘れていても、浩斗くんが体験したことならわかるのだろうか。
「・・・・姿は、見えない。でも・・・声が・・・」
皐月がきゅっと唇を噛みしめる。
「俺の・・・せいかもしれない・・・・」
「え・・・どういうこと?さっちゃんのせいって?」
「マスクをしてるのかもしれない・・・・。くぐもった声で・・・」
「なんて言ってた?」
皐月が、俺の方を見る。
「・・・『皐月に・・・近づくな』って・・・・」
俺と浩斗くんは顔を見合わせた。
「そんなこと・・・・言ってたかな。俺、本当にちゃんと聞いてなくて・・・・」
「言ってるよ、確かに。途中で声が聞き取りにくくなって・・・・たぶん浩斗くんの意識が途切れたからだと思うけど・・・・」
「・・・だとしても、皐月のせいじゃないだろ?それより、それが誰だったのか―――」
浩斗くんの言葉に、戸田くんも頷く。
「そうだよさっちゃん!あ、でもさ、その犯人って、さっちゃんを襲ったのと同じやつなのかな?」
皐月が首をゆるゆると振る。
「それは、わからない。俺が、思い出せないから・・・・。俺が思い出せれば・・・・」
「皐月、いいから」
俺は、小刻みに震える皐月の手を握った。
なんだか、そのまま皐月が消えてしまいそうな気がした。
「それは、俺たち警察が調べてるんだから、お前が無理に思い出さなくてもいいよ。それに、悪いのは犯人なんだから、お前が責任を感じる必要もない」
「そうだよ、皐月。俺も大したことなかったし、あんまり気にするな。お前の方が倒れちゃいそうだ」
浩斗くんの心配そうな表情に、ようやく皐月がほんの少し表情を和らげた。
絶対に皐月を1人にはできない。
そう思っていたのに―――
『え・・・さっちゃん戻ってないの?』
電話の向こうで、戸田くんが戸惑った声を出した。
浩斗くんは一応検査のため1日入院することになり、俺たちは家へ戻った。
そして翌日、俺は仕事へ行く前に皐月を戸田くんお店へ連れて行った。
探偵事務所は浩斗くんが退院するまで閉めることにしていた。
そして皐月は戸田くんの店で、探偵事務所からPCを持ってきて事務仕事をすることにしたのだ。
しかしその後、皐月が昨夜の疲れからか事務所で少し休みたいと言い出したらしく、戸田くんに必ず鍵をかけるように言われた皐月は『わかった』っと言って事務所へ行ったのだという。
だが、昼過ぎに俺の元へかかってきた電話で、戸田くんが『さっちゃん、家に戻ってる?』と言ってきたのだ。
聞けば、午後1時ごろに戸田くんが皐月の昼食にと作ったスパゲッティを持って事務所へ行ったが、ノックをしても誰も出て来なかったと。
皐月がまだ寝ているのかと、皐月の携帯に電話を掛けたが反応はなく。
念のためにと浩斗くんから預かっていた事務所の鍵で中へ入ったけれど皐月の姿はなく、もしかしたら家に帰ったのかと思って俺に電話を掛けてきたのだ。
俺はすぐに家に戻ったけれど、皐月はいなかった。
―――あれほど、1人になるなと言ったのに!
それから俺は、急いで探偵事務所へ向かった。
事務所の中は荒らされた様子はなく、無理やり連れ去られたとは考えにくかった。
だとしたら、どうして皐月は1人で出て行った?
考えられるのは、誰かに脅されたということ。
1人で出ていかなければならないほどの非常事態が起きたということだ。
俺に、助けを求めることもせずに―――
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