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第14話
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「え?マジ?天宮?」
もう1人の、やはり同じ年くらいの男も皐月を見て驚いた顔をする。
皐月はと言えば、ちょっと目を見開いたけれどさほど大きなリアクションもなく、相手が誰だかわかったようだった。
「あ・・・久しぶり」
「久しぶりじゃねえよ!なんだよ、お前、何してんの?相変わらずきれいな顔しちゃって!」
最初に声を掛けてきた、明るい色合いのダンガリーシャツにジーンズ、短めの黒髪で健康的に日焼けした肌と白い歯が爽やかな背の高い男が、皐月の肩をバンバンと叩いた。
「痛いって」
「覚えてるか?俺、吉田だよ!吉田!」
「覚えてるよ・・・・。声、でかい」
「なぁ俺は?俺は覚えてる?田中!」
もう1人の、ちょっと小太りで丸いメガネを掛け、チェックのシャツに擦り切れたジーパンをはいた全体的に温和な印象の男がニコニコと話しかけた。
「覚えてるよ、あきら君、久しぶり」
「うわぁ、感激だな!俺お前に名前呼ばれんの超好きだった!超優越感感じてさ!」
「・・・お前ら、3人仲良かったもんなぁ」
そう言って話に入ってきたのは、明らかに50歳は過ぎてるであろう男性で、ちょっとくたびれたスーツを着た真面目そうな感じの人だった。
「先生・・・・お久しぶりです」
皐月の言葉に、『先生』と呼ばれた男性は嬉しそうに笑った。
「本当に、久しぶりだな。ここでお前に会えるとは思わなかったよ、天宮」
「清水先生が、今年こっちの学校に転勤になったって田中に聞いてさ。先生と中学の時の話で盛り上がったって聞いて、同窓会やりてぇなって話になったんだよ」
「俺も、ちょうど今年からこっちに転勤になってさ、偶然先生と会ったの。そんですぐに吉田と連絡とって、中学の時の連中に連絡網回して―――けど、天宮は2年の時転校しちゃったじゃん。お前の連絡先だけわかんなくってさ。あの時教えてもらった親戚だっていう人に電話しても知らねえっていうし」
「あと1日早く会ってりゃあなあ!昨日だったんだよ、同窓会!」
「そう・・・・なんだ・・・・。ごめん、俺忙しくて・・・・」
皐月の言葉に、俺はふと皐月の顔を見た。
どうやら昔の同級生らしい人たちとの会話に入ることができず、俺はちょっと離れて立っていたのだけれど―――
気付けば、皐月は真っ青な顔をしていた。
「皐月、大丈夫か?」
俺が皐月の肩に触れると、皐月はホッとしたように俺を見た。
「あ・・・ごめん、この人、俺の上司で河合浩斗さん。浩斗くん、こっちは中学生の時の同級生で吉田と田中。それから、担任だった清水先生」
皐月に紹介された3人は慌てて俺に会釈をし、俺もちょっと頭を下げて営業用の笑顔を見せた。
「じゃあ、今仕事中?ごめんな。あ、これ、俺の連絡先。今度連絡くれよ」
そう言って吉田が皐月に名刺を渡すと、田中もポケットから名刺を出して皐月に渡した。
結局俺たちはレストランには入らず、そのホテルを後にしたのだった・・・・・。
もう1人の、やはり同じ年くらいの男も皐月を見て驚いた顔をする。
皐月はと言えば、ちょっと目を見開いたけれどさほど大きなリアクションもなく、相手が誰だかわかったようだった。
「あ・・・久しぶり」
「久しぶりじゃねえよ!なんだよ、お前、何してんの?相変わらずきれいな顔しちゃって!」
最初に声を掛けてきた、明るい色合いのダンガリーシャツにジーンズ、短めの黒髪で健康的に日焼けした肌と白い歯が爽やかな背の高い男が、皐月の肩をバンバンと叩いた。
「痛いって」
「覚えてるか?俺、吉田だよ!吉田!」
「覚えてるよ・・・・。声、でかい」
「なぁ俺は?俺は覚えてる?田中!」
もう1人の、ちょっと小太りで丸いメガネを掛け、チェックのシャツに擦り切れたジーパンをはいた全体的に温和な印象の男がニコニコと話しかけた。
「覚えてるよ、あきら君、久しぶり」
「うわぁ、感激だな!俺お前に名前呼ばれんの超好きだった!超優越感感じてさ!」
「・・・お前ら、3人仲良かったもんなぁ」
そう言って話に入ってきたのは、明らかに50歳は過ぎてるであろう男性で、ちょっとくたびれたスーツを着た真面目そうな感じの人だった。
「先生・・・・お久しぶりです」
皐月の言葉に、『先生』と呼ばれた男性は嬉しそうに笑った。
「本当に、久しぶりだな。ここでお前に会えるとは思わなかったよ、天宮」
「清水先生が、今年こっちの学校に転勤になったって田中に聞いてさ。先生と中学の時の話で盛り上がったって聞いて、同窓会やりてぇなって話になったんだよ」
「俺も、ちょうど今年からこっちに転勤になってさ、偶然先生と会ったの。そんですぐに吉田と連絡とって、中学の時の連中に連絡網回して―――けど、天宮は2年の時転校しちゃったじゃん。お前の連絡先だけわかんなくってさ。あの時教えてもらった親戚だっていう人に電話しても知らねえっていうし」
「あと1日早く会ってりゃあなあ!昨日だったんだよ、同窓会!」
「そう・・・・なんだ・・・・。ごめん、俺忙しくて・・・・」
皐月の言葉に、俺はふと皐月の顔を見た。
どうやら昔の同級生らしい人たちとの会話に入ることができず、俺はちょっと離れて立っていたのだけれど―――
気付けば、皐月は真っ青な顔をしていた。
「皐月、大丈夫か?」
俺が皐月の肩に触れると、皐月はホッとしたように俺を見た。
「あ・・・ごめん、この人、俺の上司で河合浩斗さん。浩斗くん、こっちは中学生の時の同級生で吉田と田中。それから、担任だった清水先生」
皐月に紹介された3人は慌てて俺に会釈をし、俺もちょっと頭を下げて営業用の笑顔を見せた。
「じゃあ、今仕事中?ごめんな。あ、これ、俺の連絡先。今度連絡くれよ」
そう言って吉田が皐月に名刺を渡すと、田中もポケットから名刺を出して皐月に渡した。
結局俺たちはレストランには入らず、そのホテルを後にしたのだった・・・・・。
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