10 / 39
第10話
しおりを挟む
「皐月くん、それほんと?」
「皐月、なんでそれをもっと早く!」
驚く俺たちに、皐月は肩をすくめ、首を傾げた。
「だって、これはあくまでも俺にはそう思えるっていうだけで・・・・何の証拠もないことだから。俺の言うこと信じてくれるのだって、ここにいる3人と―――浩斗くんくらいだもん」
「そりゃそうかもしれないけど―――」
俺がそう言いかけた時。
『ピンポ―――――ン』
インタホンの音が部屋に鳴り響いた。
「―――浩斗くんだ」
皐月が微笑み、立ち上がった。
「浩斗くん?なんでここに?」
「事務所に置いてある俺の着替えとか取りに行ってもらってた。今家に戻るわけにもいかないし、俺には尾行がついてるでしょ?下手に動いて怪しまれるのも嫌だから、浩斗くんに頼んだんだ」
言いながら、皐月は玄関へと向かった。
「え、ちょ―――ちょっと待って、皐月」
俺は慌てて皐月を追いかける。
「?なに?稔」
廊下に出たところで皐月が振り返った。
「なんでここに着替え持ってくるの?浩斗くんの家に持って行ってもらえば―――」
俺の言葉に、皐月はちらりとリビングの方を見ると、少し声をひそめた。
「―――裕太くんのことが心配なんだよ。かなりショック受けてるから・・・・疑われてるっていうのもそうだけど、ずっと一緒に働いてくれてた久美ちゃんが殺されるなんて、そんな現実急には受け入れられないでしょ?こういうときって1人になりたくないと思うから・・・・俺が、ついててあげたい」
「て・・・・・ここに泊るつもり?」
「うん。ダメ?」
しれっと、悪びれもせずにそう聞き返す皐月に、俺は頭に来た。
「そんなの―――!いくら心配って言ったって・・・・泊らなくてもいいじゃん!」
俺としては、浩斗くんの家に行くのだっていい気がしない。
浩斗くんの皐月への気持ちも知ってるし。
けど、あの人は皐月の上司でもあるし超がつくほど真面目な人だから俺のいない間に皐月に手を出すようなことはしないだろう。
裕太くんのことだって信用していないわけじゃない。
けど、今裕太くんは普通の精神状態じゃない。
そんな時に2人きりになるなんて―――
「稔・・・・裕太くんのこと、心配じゃないの?」
「そりゃ、心配だけど・・・・!」
わかってる。
皐月は、友達として戸田くんのことが大好きなんだ。
明るくて優しい戸田くんに、いつも癒されてるって言ってた。
特殊な能力のある皐月のことを知っても、変わらず優しくしてくれたって、嬉しそうに話してた。
親友だと思ってるって。
でも。
でも・・・・・
「―――稔?」
心配そうに俺の顔を覗きこむ皐月に―――
俺は、その肩を掴み
噛みつくように、キスをした―――――
「皐月、なんでそれをもっと早く!」
驚く俺たちに、皐月は肩をすくめ、首を傾げた。
「だって、これはあくまでも俺にはそう思えるっていうだけで・・・・何の証拠もないことだから。俺の言うこと信じてくれるのだって、ここにいる3人と―――浩斗くんくらいだもん」
「そりゃそうかもしれないけど―――」
俺がそう言いかけた時。
『ピンポ―――――ン』
インタホンの音が部屋に鳴り響いた。
「―――浩斗くんだ」
皐月が微笑み、立ち上がった。
「浩斗くん?なんでここに?」
「事務所に置いてある俺の着替えとか取りに行ってもらってた。今家に戻るわけにもいかないし、俺には尾行がついてるでしょ?下手に動いて怪しまれるのも嫌だから、浩斗くんに頼んだんだ」
言いながら、皐月は玄関へと向かった。
「え、ちょ―――ちょっと待って、皐月」
俺は慌てて皐月を追いかける。
「?なに?稔」
廊下に出たところで皐月が振り返った。
「なんでここに着替え持ってくるの?浩斗くんの家に持って行ってもらえば―――」
俺の言葉に、皐月はちらりとリビングの方を見ると、少し声をひそめた。
「―――裕太くんのことが心配なんだよ。かなりショック受けてるから・・・・疑われてるっていうのもそうだけど、ずっと一緒に働いてくれてた久美ちゃんが殺されるなんて、そんな現実急には受け入れられないでしょ?こういうときって1人になりたくないと思うから・・・・俺が、ついててあげたい」
「て・・・・・ここに泊るつもり?」
「うん。ダメ?」
しれっと、悪びれもせずにそう聞き返す皐月に、俺は頭に来た。
「そんなの―――!いくら心配って言ったって・・・・泊らなくてもいいじゃん!」
俺としては、浩斗くんの家に行くのだっていい気がしない。
浩斗くんの皐月への気持ちも知ってるし。
けど、あの人は皐月の上司でもあるし超がつくほど真面目な人だから俺のいない間に皐月に手を出すようなことはしないだろう。
裕太くんのことだって信用していないわけじゃない。
けど、今裕太くんは普通の精神状態じゃない。
そんな時に2人きりになるなんて―――
「稔・・・・裕太くんのこと、心配じゃないの?」
「そりゃ、心配だけど・・・・!」
わかってる。
皐月は、友達として戸田くんのことが大好きなんだ。
明るくて優しい戸田くんに、いつも癒されてるって言ってた。
特殊な能力のある皐月のことを知っても、変わらず優しくしてくれたって、嬉しそうに話してた。
親友だと思ってるって。
でも。
でも・・・・・
「―――稔?」
心配そうに俺の顔を覗きこむ皐月に―――
俺は、その肩を掴み
噛みつくように、キスをした―――――
10
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
僕たち、結婚することになりました
リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった!
後輩はモテモテな25歳。
俺は37歳。
笑えるBL。ラブコメディ💛
fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。
鈴木さんちの家政夫
ユキヤナギ
BL
「もし家事全般を請け負ってくれるなら、家賃はいらないよ」そう言われて住み込み家政夫になった智樹は、雇い主の彩葉に心惹かれていく。だが彼には、一途に想い続けている相手がいた。彩葉の恋を見守るうちに、智樹は心に芽生えた大切な気持ちに気付いていく。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

離したくない、離して欲しくない
mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。
久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。
そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。
テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。
翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。
そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。
貴族軍人と聖夜の再会~ただ君の幸せだけを~
倉くらの
BL
「こんな姿であの人に会えるわけがない…」
大陸を2つに分けた戦争は終結した。
終戦間際に重症を負った軍人のルーカスは心から慕う上官のスノービル少佐と離れ離れになり、帝都の片隅で路上生活を送ることになる。
一方、少佐は屋敷の者の策略によってルーカスが死んだと知らされて…。
互いを思う2人が戦勝パレードが開催された聖夜祭の日に再会を果たす。
純愛のお話です。
主人公は顔の右半分に火傷を負っていて、右手が無いという状態です。
全3話完結。

初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる