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第2話

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みのる!」

殺人現場となったカフェRANには、すでに捜査のために警察の人間が駆け付けて騒然としていた。

そして、カフェのカウンターに頭を抱えて座るこのカフェの店長の戸田裕太とだゆうたと一緒にいたのは、俺の恋人―――皐月だった。

「皐月?なんでここに―――」

「樫本、知り合いか?」

先に来ていて皐月に話を聞いていたらしい先輩刑事の岩本いわもとさんが、俺の方を向く。

「あ、はい。あの―――」

「彼が、死体の第一発見者なんだよ」

「―――は!?」

―――ここに皐月がいた?

死体発見時間は0時過ぎだと聞いていた。

もちろん店はとっくに閉まっている時間だ。

このカフェには皐月が関わった事件以降、関とともに頻繁に足を運ぶようになっていた。

おいしいコーヒーを出してくれるし、何より店長の戸田くんはとても気のいい青年で皐月とも仲が良かった。

戸田くんは店長だからこの店にいたとしても不思議じゃないけれど、皐月は何のためにこんな時間にここに・・・・・?

「ちょ―――ちょっとすいません、―――皐月、こっちに―――」

俺は岩本さんにことわり、皐月の腕を引っ張って外に出た。


俺の一歩後ろでやはり驚いて皐月と戸田くんを見ていた関が、ちらりと俺たちを見たあと戸田くんの方へ歩み寄り、その肩をたたいた・・・・・。





「どういうこと?なんでこんな時間にここにいたの?」

俺は皐月を連れて外に出ると、事務所へ上がる階段を途中まで上がり、皐月の方を振り返った。

「・・・・新メニューを考えるのを、手伝って欲しいって」

皐月は落ち着いていた。

皐月には、人とは少し違った能力がある。

その人を見ただけで、その人を取り巻く環境やその人物が見たものや聞いたことなどがすべてわかってしまうのだ。

その特殊な能力のせいで辛い思いをすることも多かった皐月は、なかなか人に心を開くことができない性格になっていたが、本当はとても人懐こく、その心は温かくてとても優しい男だった。

そして何よりも人を惹きつけたやまないのはその類い稀な整った容姿で―――陶器のような白い肌、大きな目、長い睫毛に通った鼻筋、口紅もつけてないのに唇は赤く、『美人』という言葉がぴったり当てはまる。

さらに特殊な能力のせいなのか、皐月のどこかミステリアスなオーラが知らずに視線を集めてしまうのだ。

まぁ、その皐月に惹きつけられたのがこの俺なわけだけど・・・・・

「新メニュー?カフェの?」

「うん。前から、相談は受けてたんだ。そろそろメニューがワンパターンになってきたから、新しいメニューを考えたいって。自分1人だとどうしても自分好みのものになっちゃうから、一緒に考えて欲しいって。だから店を閉めた後にあのカフェに行って、考えたものを実際につくって2人で試食しようって話になったんだ」

「なるほど・・・・でも、なんで―――なんで、ウェイトレスが殺されるんだ―――?」

そう。

殺されたのは、あのカフェのウェイトレスの女の子だった。

俺ももちろん顔見知りだった。

ウェイトレス―――上野久美子うえのくみこは何者かに刺し殺され、店の冷蔵庫に折りたたまれる様にして押し込められていたのだ―――。

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