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可哀想で可愛い僕だけのお姉様※

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「やっ、あ、あっ……」
「ふふ。お姉様、そうですよ。淫らな声を我慢する必要などないのです。今頃この屋敷の者達は夢を見ている。朝が来たらお姉様の存在を誰も覚えていません」
「ひっ、嫌っ、そんなの嫌……っ、ふぁっ!」

 自分でも一度も触れたことのなかった秘所にガブリエルの指が二本も埋まっている。
 ぐちゅ、ぐちゅといやらしい音がするのは私が感じているせい。
 女性はここを触られたら濡れてしまうのだと知識としては知っていても、実際に弟にこんな場所を触られて心地良いと感じるだなんて私はどうかしています。

「最愛の婚約者に捨てられ、両親に見放され、これまで関わってきた全ての人々の記憶からも消えてしまうのです。ああ……なんて可哀想で可愛い、僕のお姉様……」

 朝になったら私の存在をみんなが忘れてしまうだなんて嘘に決まってる。
 そう信じたいのに、ガブリエルが言うのだから真実だと思ってしまう自分がいる。

「い、やです、やめて。私からこれ以上奪わないで……っ」
「恐ろしいですか? 大丈夫ですよ。全てを失い、空っぽになったお姉様の心を僕の愛で満たして差し上げます。かつてお姉様が僕にそうしてくださったように」
「ひぁっ、あぁ……っ!」

 痺れるような快感が走り抜ける。ガブリエルが根本まで埋めている指をくの字に曲げると、これまでの愛撫で暴かれてしまった弱いところにちょうど指が当たるのです。
 そのままぐっぐっと突かれる度に涙を流しながら感じ入ることしかできない。
 同時に秘芽をなぶりながら気持ちの良い一点ばかりを擦り上げられ、どうしようもなく切ない感覚に私は全身を震わせました。

「あ、あ……あ……」
「達してしまったのですね。ようやくこの時が来た。お姉様とひとつになれる時が」
「ひっ」

 私がよく知っている可愛い妹の笑みと変わらないのにガブリエルの薄い胸板には膨らみがなく、引き締まった脚の付け根には私とは決定的に違うものがありました。
 先端からよだれを垂らし、反り返っているガブリエルの性器を秘所にあてがわれると、恐怖で顔が引き攣ります。

「ま、待って。こんなの駄目です。考え直してガブリエル」
「おかしなことを言うのですね。僕はじゅうぶん待ちましたよ。お姉様の純潔を僕にください」
「――っ!」

 入口を押し拡げ、ガブリエルの熱が私のなかに入ってくる。焼けるように痛い。苦しさに息が詰まる。

「ひっ、ふあぁっ!」

 だけど――指では届かない場所をガブリエルに押し上げられた瞬間に、私の口からは甘い声が漏れていました。
 体の奥で熱を感じます。ぽっかり空いた穴を美しいガブリエルに埋められていく。

「はっ。お姉様、初めてなのに痛くはないのですか?」
「っ、ち、違うの。初めてなの……本当よ。ひぁっ! ごめ、なさ、ごめんなさい……っ!」
「ん……疑ってなどいませんよ。可愛い泣き顔ですね。子供みたいだ」

 浅ましい私の体は、奥深くを穿たれる快楽に抗えない。
 化粧と涙と鼻水とよだれでぐちゃぐちゃになっているであろう私の顔に、ガブリエルが愛おしそうに頬ずりをしてくれる。

 幼い頃、私の宝物のクマのぬいぐるみをあげたらガブリエルはそれに頬ずりしながら「可愛い」と呟いたのです。
 それから私が何かを与えるたびにガブリエルが少しずつ感情を取り戻していくのが最初は純粋に嬉しかったはずなのに。
 ガブリエルを幸せにする代償に私は大切なものをひとつ、またひとつと失っていく。

「ああ、お姉様。お姉様。僕だけのお姉様……っ、お願いがあります。お姉様の子供が欲しいのです」
「そ、そんな……だ――」
「――お姉様、僕の子を産んでください」
「っ! は、い……っ、あぁぁっ!」

 ガブリエルの言葉は神の言葉に等しい。
 私はガブリエルの背中を強く抱きしめて、華奢な腰に脚を絡ませる。そのままガブリエルは私の一番深いところで吐精しました。
 すごい……全身がガブリエルの子種を歓迎しているのを感じます。私は恍惚とした気持ちでシーツに手足を沈める。

「お姉様、愛していますよ」

 だらしなく開いた唇にガブリエルのキスが落ちてきました。
 ガブリエルの口付けは優しくてロマンティックで、夢みたいです。





 ガブリエルの胸の中で迎えた朝――
 少しシワになってしまった青いドレスを着て、丁寧に化粧も施され……ガブリエルのエスコートで部屋を出ます。
 ガブリエルはもう愛らしい妹ではありません。装いを新たにして立派な紳士になっていました。
 お父様とお母様も私達の姿を見て驚いている。

「ガブリエル、おはよう。そちらのご令嬢はどなたかな?」

 どうやら父も母も本当に私のことを忘れてしまっているようです。
 以前の私なら「どうして」「悲しい」「忘れないで」と、胸が張り裂けるような思いがするのでしょうけど、不思議と今は何も感じませんでした。
 目の前の父と母であった存在をただ無感情に見つめることしかできない。

「お父様お母様、紹介しますね。彼女はアレクシア。僕の妻となる人です」
「まあ! ガブリエルが選んだご令嬢だもの。歓迎するわ」

 ガブリエルの瞳の色が一瞬、碧から赤色に変わりました。
 何故だか一度も疑問を覚えたことはなかったけれど、ガブリエルが何かをおねだりする時に彼の瞳の色は変化するのです。

「――さあ。アレクシアも僕の両親にご挨拶をして?」

 ああ、ガブリエルが望んでいるのだから、この人達に「初めまして」を言わなくてはなりません。
 幼い頃から美しくないカーテシーだと叱られてきましたが大丈夫でしょうか。
 私はガブリエル・カストネルの婚約者として恥じぬよう精一杯の微笑みを作りました。
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