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scene9…真実
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「だから…天界と下界だと、時間の軸が違うんだ。」
「…へぇ……」
雅のふとした疑問に菩薩は答えていた。
「だから、雅、お前がここに居るのは良く居て二ヶ月くらいだな」
「え……そうなの?」
「あぁ。じゃなきゃちょっとめんどくせえ……」
「そうなんだ…ん、解った。」
「その間にバリバリ働けよ?」
「それなんだけど……菩薩?」
「なんだ」
「お給料……私がここ出るまで菩薩が持ってて?」
「…ぁん?」
「その方がワクワクするでしょ?」
「なんだそりゃ」
「ね!」
そういって雅は仕事を始めた。一生懸命覚えてはそれを実践していく。ひとしきり終わると力の使い方の特訓に入る。誰に決められたわけでも無く、ただ自分の為に……
「よっと!!」
筒柱の攻防術は大分すんなり出るようになった。それに加えて力の消耗も押さえられるようになっている。
「菩薩、ここにおいででしたか」
「あぁ、敖潤か…」
「やはり、こうなりましたか…」
「フ…クク……お前の思った通りってか?」
「えぇ……」
「出来ると思ったから教えたんだろ?」
「…さぁ、それは解りませんよ」
「嘘がヘタだな…」
「…失礼します。」
そうして敖潤もその場を離れた。西方軍の面々が集まってくるといつの間に打ち解けたのだろう…雅の回りにはいつだって人だかりになっていた。
「これこれ!すっげぇかっこいいだろ!」
「変な趣味……」
「やっぱそうだよな!」
「うるせえよ!この趣味がわかんねえのか?」
「解んない…」
「雅に同意だ!」
「てかさ?」
そういった話しで盛り上がっている。少しすれば一緒になって手合わせも始まる。大分立ち回りも形になってきた。軍人に混ざっての手合わせや、諸々の事も本来ならば難しいことだった。それでも下界での失われた記憶の片隅に、体が覚えていたのだろう。
「おーおー、やるようになってきたじゃねえの…」
そう呟きながらも菩薩はみていた。その日の夜。
「……菩薩?」
「なんだ」
「あのね……聞きたいことがあって…」
「なんだ」
そう答えながらも菩薩は雅を招き入れた。
「…」
「さっさと話せ、何があった」
「……私…記憶って失ってないの?」
「…なんだいきなり」
「聞いたの……見た事無い人だったから…もしかしたら…うわさ話かも知れないんだけど……」
そういうと雅は菩薩のもとに来る少し前に聞いた話を話し出した。
「……なるほどな…」
「本当なの?」
「どこからどう漏れたのかは解らんが……オレが話してあったのは二郎神だけだからな……とはいってもさすがの二郎神も言う訳無いだろうが…」
「…それって……本当なんだ…」
「あぁ。ただ……」
「ただ?」
「覚えてねえだろ…?」
「え?」
「ほら、夢で見たような…」
「……ん」
「記憶は消せてねえが……蓋して鍵してあるからな……」
「かぎ…?」
「あぁ。」
「それってどうしたら開くの?」
「誰が教えるか、ばぁか」
「…ひどい……」
「何がだ」
「…また菩薩ばかって言った……」
「…雅…プ…そっちかよ」
俯きながらも何かをこらえているような顔をしている雅。
「…泣いてんのか…?」
「…誰が泣いてるのよ!勝手なこと言わないで?」
「…チッ…」
「記憶失ってないなら……まだ思い出す可能性あるんでしょ?」
「……そりゃな?」
「だったら……いいや…」
「おい…」
「本当はどんなことなのか……どうしたらいいのか…すごく気になるけど…教えれないんでしょ?」
「…」
「天界の上の方の人に知れたら……厄介なんだよね?」
「…まぁな」
「この事、言わないから……心配しないで…?」
「誰も心配なんかしちゃ居ねえよ…」
「そうなの?」
「…オレのした事だぜ?誰にも文句なんか言わせねえよ」
「…クス…菩薩らしい…」
そういいながら立ち上がると雅は菩薩の前にたって首に巻き付いた。
「ありがと……菩薩…」
「何がだ?」
「記憶……残してくれて…」
そういって笑っておやすみ、というと部屋を後にして言った。
「…へぇ……」
雅のふとした疑問に菩薩は答えていた。
「だから、雅、お前がここに居るのは良く居て二ヶ月くらいだな」
「え……そうなの?」
「あぁ。じゃなきゃちょっとめんどくせえ……」
「そうなんだ…ん、解った。」
「その間にバリバリ働けよ?」
「それなんだけど……菩薩?」
「なんだ」
「お給料……私がここ出るまで菩薩が持ってて?」
「…ぁん?」
「その方がワクワクするでしょ?」
「なんだそりゃ」
「ね!」
そういって雅は仕事を始めた。一生懸命覚えてはそれを実践していく。ひとしきり終わると力の使い方の特訓に入る。誰に決められたわけでも無く、ただ自分の為に……
「よっと!!」
筒柱の攻防術は大分すんなり出るようになった。それに加えて力の消耗も押さえられるようになっている。
「菩薩、ここにおいででしたか」
「あぁ、敖潤か…」
「やはり、こうなりましたか…」
「フ…クク……お前の思った通りってか?」
「えぇ……」
「出来ると思ったから教えたんだろ?」
「…さぁ、それは解りませんよ」
「嘘がヘタだな…」
「…失礼します。」
そうして敖潤もその場を離れた。西方軍の面々が集まってくるといつの間に打ち解けたのだろう…雅の回りにはいつだって人だかりになっていた。
「これこれ!すっげぇかっこいいだろ!」
「変な趣味……」
「やっぱそうだよな!」
「うるせえよ!この趣味がわかんねえのか?」
「解んない…」
「雅に同意だ!」
「てかさ?」
そういった話しで盛り上がっている。少しすれば一緒になって手合わせも始まる。大分立ち回りも形になってきた。軍人に混ざっての手合わせや、諸々の事も本来ならば難しいことだった。それでも下界での失われた記憶の片隅に、体が覚えていたのだろう。
「おーおー、やるようになってきたじゃねえの…」
そう呟きながらも菩薩はみていた。その日の夜。
「……菩薩?」
「なんだ」
「あのね……聞きたいことがあって…」
「なんだ」
そう答えながらも菩薩は雅を招き入れた。
「…」
「さっさと話せ、何があった」
「……私…記憶って失ってないの?」
「…なんだいきなり」
「聞いたの……見た事無い人だったから…もしかしたら…うわさ話かも知れないんだけど……」
そういうと雅は菩薩のもとに来る少し前に聞いた話を話し出した。
「……なるほどな…」
「本当なの?」
「どこからどう漏れたのかは解らんが……オレが話してあったのは二郎神だけだからな……とはいってもさすがの二郎神も言う訳無いだろうが…」
「…それって……本当なんだ…」
「あぁ。ただ……」
「ただ?」
「覚えてねえだろ…?」
「え?」
「ほら、夢で見たような…」
「……ん」
「記憶は消せてねえが……蓋して鍵してあるからな……」
「かぎ…?」
「あぁ。」
「それってどうしたら開くの?」
「誰が教えるか、ばぁか」
「…ひどい……」
「何がだ」
「…また菩薩ばかって言った……」
「…雅…プ…そっちかよ」
俯きながらも何かをこらえているような顔をしている雅。
「…泣いてんのか…?」
「…誰が泣いてるのよ!勝手なこと言わないで?」
「…チッ…」
「記憶失ってないなら……まだ思い出す可能性あるんでしょ?」
「……そりゃな?」
「だったら……いいや…」
「おい…」
「本当はどんなことなのか……どうしたらいいのか…すごく気になるけど…教えれないんでしょ?」
「…」
「天界の上の方の人に知れたら……厄介なんだよね?」
「…まぁな」
「この事、言わないから……心配しないで…?」
「誰も心配なんかしちゃ居ねえよ…」
「そうなの?」
「…オレのした事だぜ?誰にも文句なんか言わせねえよ」
「…クス…菩薩らしい…」
そういいながら立ち上がると雅は菩薩の前にたって首に巻き付いた。
「ありがと……菩薩…」
「何がだ?」
「記憶……残してくれて…」
そういって笑っておやすみ、というと部屋を後にして言った。
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