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battle15…バーサス
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ある日の夕方。雅は仕事を終え、店を出た。その時だ。
「雅ぃ!!」
「あれ…唯漣…どうかした?」
「今日、今から空いてる?」
「今から…お買い物行こうかなって思って…今日のお夕飯…」
「それならちょうど良かった!!付き合ってくれる?」
「付き合うって…ご飯?」
「…もあるんだけど!!お呼ばれされて…!」
「呼ばれてって……誰に?」
「それが、超イケメン!!もしかしたら雅のバイト先にも来てるかも知れないけど!!」
「え?誰?」
「赤髪のお兄さん!悟浄さんって言うんだって!」
「……知ってる」
「やっぱり!雅のお店にも来てたんだ!!」
「ん、良く四人で来てくれてるよ?でも、だとしたら私お邪魔じゃない?」
「そんなこと無いよ!友達も一緒に行っていい?って聞いて、OKもらってるし!」
「そう…?」
そう誘われて一緒に向かった先は宿屋だった。
「……ってここ、お宿じゃん?」
「お部屋に招待されてるのよ!」
「ちょっと……大丈夫?」
「大丈夫だって!!悟浄さん一人じゃないって言ってくれてるし!」
「…んー」
そういい、あまり乗り気でも無かった雅。それでも唯漣の少し強引な感じからも付き合っていった。
コンコン…
ノックしてすぐに扉は開いた。
「いらっしゃい」
「本当にお邪魔して良かったんですか?」
「いいのいいの!」
「…ねぇ、唯漣、私やっぱり…」
「おいでよ!!」
「ねぇね!あの人たち!雅一緒にお茶してた人たちじゃん?」
「…ッ…」
その空間に少し懐かしさも感じていた。目一杯に手を振る悟空さん。穏やかにお茶をいれてくれる八戒さん。不機嫌そうにも黙々と新聞を読む三蔵さん。そして軽いノリの悟浄さん。
「えっと……お邪魔します」
「どうぞ、いらっしゃい」
そう促された。雅は空いている椅子に座って話をしだす悟浄と唯漣を見ていたがそわそわしてしまい、席を立った。
「あの……やっぱり私…帰る」
「どうかしましたか?」
「なんで帰るんだよ雅!」
「……え…っと…何でって言っても…」
「…好きにしたらいいだろうが」
「…ん、唯漣ごめんね?」
「ううん?私は大丈夫だけど……」
そういうとそっと耳打ちをした唯漣。
「せっかくのご縁じゃない?一緒にお茶した人との再会って……」
「そうかも知れないけど……」
「そっか……無理強いは出来ないもんね……わかった!私も適当な時間で帰るし!」
「うん、わかった」
そうして雅はゆっくりと扉を開けて廊下に出た。その時だ。外で叫び声がした。
「…え……なに?」
「よ…!妖怪だぁぁ!」
そう叫ぶ声がした。
「ちょっと、唯漣さん、待っててくださいね?」
「え…?でも…!」
「妖怪退治も仕事のうちってね!」
「だな!」
そう言って四人は部屋を出ていった。入り口に出るとキラッと眩しい光が視線を奪う。
「…ッッ雅?」
「マジかよ…」
四人の前にいたのは格段に力をあげた雅だった。
スッと横に手を振り払うかの様に引いては妖怪を切り、自身の回りを円で囲めば防護壁にもなる攻撃の筒柱が立つ。
「雅!」
「えっ…悟空さん…?」
「一人で抱え込まなくても良いってんの」
「それに、この方達の目的は家の三蔵の経文ですし」
「でも…」
「ま、なんなら一緒に殺りますか?」
そうにっと笑う三人。三蔵はハァっとため息を吐いていた。しかし立ち回り、銃を出す。
「……ッッ…この音…」
ぽつりと呟くものの誰にも聞かれることはなかった。その時だった。
「この女…!!ふざけやがってぇ!」
「…あのバカ…ッ」
妖怪が近付き飛びかかろうとしていたのを一瞬気付くのが遅れた雅。
ガウンツツ!
「ボサッとしてんじゃねぇよ、バカ」
「…あっ……ありがと」
後ろからぐいっと抱き寄せ三蔵の銃弾が妖怪を仕留める。その時、シャラっと胸元からリングが零れた。
「……ッ」
すぐに手を離し、辺りを見渡す。逃げる時にこけたりした人も何人かいた。
「…スゥゥ…」
すっと手を出し祈るようにしてパッと手を掲げる。その光は小さな粒となり辺りの街人の怪我を軽くしていった。
「これで良し。」
「あの、雅さん?」
「あ、八戒さん。済みません」
「いえ、それより体、大丈夫ですか?」
「え…体って…」
「あれだけの力を使ったら…」
「はい、少し眠くなる位で…先に失礼しますね?」
そう言って雅はペコリと頭を下げて、自身の借りている部屋に戻っていくのだった。
「雅ぃ!!」
「あれ…唯漣…どうかした?」
「今日、今から空いてる?」
「今から…お買い物行こうかなって思って…今日のお夕飯…」
「それならちょうど良かった!!付き合ってくれる?」
「付き合うって…ご飯?」
「…もあるんだけど!!お呼ばれされて…!」
「呼ばれてって……誰に?」
「それが、超イケメン!!もしかしたら雅のバイト先にも来てるかも知れないけど!!」
「え?誰?」
「赤髪のお兄さん!悟浄さんって言うんだって!」
「……知ってる」
「やっぱり!雅のお店にも来てたんだ!!」
「ん、良く四人で来てくれてるよ?でも、だとしたら私お邪魔じゃない?」
「そんなこと無いよ!友達も一緒に行っていい?って聞いて、OKもらってるし!」
「そう…?」
そう誘われて一緒に向かった先は宿屋だった。
「……ってここ、お宿じゃん?」
「お部屋に招待されてるのよ!」
「ちょっと……大丈夫?」
「大丈夫だって!!悟浄さん一人じゃないって言ってくれてるし!」
「…んー」
そういい、あまり乗り気でも無かった雅。それでも唯漣の少し強引な感じからも付き合っていった。
コンコン…
ノックしてすぐに扉は開いた。
「いらっしゃい」
「本当にお邪魔して良かったんですか?」
「いいのいいの!」
「…ねぇ、唯漣、私やっぱり…」
「おいでよ!!」
「ねぇね!あの人たち!雅一緒にお茶してた人たちじゃん?」
「…ッ…」
その空間に少し懐かしさも感じていた。目一杯に手を振る悟空さん。穏やかにお茶をいれてくれる八戒さん。不機嫌そうにも黙々と新聞を読む三蔵さん。そして軽いノリの悟浄さん。
「えっと……お邪魔します」
「どうぞ、いらっしゃい」
そう促された。雅は空いている椅子に座って話をしだす悟浄と唯漣を見ていたがそわそわしてしまい、席を立った。
「あの……やっぱり私…帰る」
「どうかしましたか?」
「なんで帰るんだよ雅!」
「……え…っと…何でって言っても…」
「…好きにしたらいいだろうが」
「…ん、唯漣ごめんね?」
「ううん?私は大丈夫だけど……」
そういうとそっと耳打ちをした唯漣。
「せっかくのご縁じゃない?一緒にお茶した人との再会って……」
「そうかも知れないけど……」
「そっか……無理強いは出来ないもんね……わかった!私も適当な時間で帰るし!」
「うん、わかった」
そうして雅はゆっくりと扉を開けて廊下に出た。その時だ。外で叫び声がした。
「…え……なに?」
「よ…!妖怪だぁぁ!」
そう叫ぶ声がした。
「ちょっと、唯漣さん、待っててくださいね?」
「え…?でも…!」
「妖怪退治も仕事のうちってね!」
「だな!」
そう言って四人は部屋を出ていった。入り口に出るとキラッと眩しい光が視線を奪う。
「…ッッ雅?」
「マジかよ…」
四人の前にいたのは格段に力をあげた雅だった。
スッと横に手を振り払うかの様に引いては妖怪を切り、自身の回りを円で囲めば防護壁にもなる攻撃の筒柱が立つ。
「雅!」
「えっ…悟空さん…?」
「一人で抱え込まなくても良いってんの」
「それに、この方達の目的は家の三蔵の経文ですし」
「でも…」
「ま、なんなら一緒に殺りますか?」
そうにっと笑う三人。三蔵はハァっとため息を吐いていた。しかし立ち回り、銃を出す。
「……ッッ…この音…」
ぽつりと呟くものの誰にも聞かれることはなかった。その時だった。
「この女…!!ふざけやがってぇ!」
「…あのバカ…ッ」
妖怪が近付き飛びかかろうとしていたのを一瞬気付くのが遅れた雅。
ガウンツツ!
「ボサッとしてんじゃねぇよ、バカ」
「…あっ……ありがと」
後ろからぐいっと抱き寄せ三蔵の銃弾が妖怪を仕留める。その時、シャラっと胸元からリングが零れた。
「……ッ」
すぐに手を離し、辺りを見渡す。逃げる時にこけたりした人も何人かいた。
「…スゥゥ…」
すっと手を出し祈るようにしてパッと手を掲げる。その光は小さな粒となり辺りの街人の怪我を軽くしていった。
「これで良し。」
「あの、雅さん?」
「あ、八戒さん。済みません」
「いえ、それより体、大丈夫ですか?」
「え…体って…」
「あれだけの力を使ったら…」
「はい、少し眠くなる位で…先に失礼しますね?」
そう言って雅はペコリと頭を下げて、自身の借りている部屋に戻っていくのだった。
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