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scene1…目覚め
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「…ン……ここ…」
「目、覚めたか?」
「……菩薩…さん?」
「どうだ?調子は…」
「……眠い…」
そう答える雅は重たい体を何とか起こそうとしていた。それを手助けするかのように菩薩もまた、雅の背中に手を回す。
「こっちに連れて来たは良いけど、悪いな。さっきから呼ばれてんだわ…ちょっと行ってくる」
「菩薩…さ…ッ!!
「心配すんなって。ここ俺の部屋だから誰も来やしねえから」
そういって菩薩は部屋を後にした。手を天井に掲げ、握っては開く、を繰り返す雅。
「……なんだろ…変な感じ…」
そう呟いていた。
「それで?話ってのはなんだ」
「実は…噂を耳に挟んだのですが……」
「だからなんだ」
「観世音菩薩様が下界から少女を連れ帰ったと…」
「あぁ。それがどうした?」
その場に居た天界人はざわついた。それも当然の事だった。
「なぜですか!」
「オレが気に入ったから」
「そんな理由では納得できかねます!!」
「そうですぞ!観世音菩薩様!!」
「あーー、うるせえなぁ。オレが面倒見るって言ってんだろうが。」
「…花も育てた事無いじゃないですか…」
「うるせえよ、二郎神」
「五百年前にも下界から孫悟空を連れ帰った時もあなた様の一言で天界に置く事になったじゃないですか!」
「でも悟空を拾ってきたのは俺じゃねえよ」
「そうかも知れませんが!」
「問題ねえよ。ちょぉっとばかり騒がしくなるだけだ。」
「そんな!!」
「なにか問題でもあるか?」
「……それは」
「じゃぁいいな。」
そういうと菩薩はスッと椅子から立ち上がり、スタスタと部屋を後にしていく。
「菩薩……観世音菩薩!!」
「なんだ二郎神」
「あのような事を言ってしまわれて…大丈夫でしょうか…」
「問題ねえよ。初めから雅はオレの傍においとくつもりだったしな。」
「しかし。」
「大丈夫だ。二郎神とは違う役目を請け負ってもらうだけだ。」
「それなら尚更他の者が…」
「フ…文句何ざ言わせねえよ。このオレに」
「…ハァァァ…胃が痛い…」
「薬飲め、薬」
そう言いながらも雅の居る寝室へと向かっていった。二郎神も一緒に向かう中、今にも鼻唄が聞こえてきそうなほどの菩薩の後ろでため息を吐いていた。
「目、覚めたか?」
「……菩薩…さん?」
「どうだ?調子は…」
「……眠い…」
そう答える雅は重たい体を何とか起こそうとしていた。それを手助けするかのように菩薩もまた、雅の背中に手を回す。
「こっちに連れて来たは良いけど、悪いな。さっきから呼ばれてんだわ…ちょっと行ってくる」
「菩薩…さ…ッ!!
「心配すんなって。ここ俺の部屋だから誰も来やしねえから」
そういって菩薩は部屋を後にした。手を天井に掲げ、握っては開く、を繰り返す雅。
「……なんだろ…変な感じ…」
そう呟いていた。
「それで?話ってのはなんだ」
「実は…噂を耳に挟んだのですが……」
「だからなんだ」
「観世音菩薩様が下界から少女を連れ帰ったと…」
「あぁ。それがどうした?」
その場に居た天界人はざわついた。それも当然の事だった。
「なぜですか!」
「オレが気に入ったから」
「そんな理由では納得できかねます!!」
「そうですぞ!観世音菩薩様!!」
「あーー、うるせえなぁ。オレが面倒見るって言ってんだろうが。」
「…花も育てた事無いじゃないですか…」
「うるせえよ、二郎神」
「五百年前にも下界から孫悟空を連れ帰った時もあなた様の一言で天界に置く事になったじゃないですか!」
「でも悟空を拾ってきたのは俺じゃねえよ」
「そうかも知れませんが!」
「問題ねえよ。ちょぉっとばかり騒がしくなるだけだ。」
「そんな!!」
「なにか問題でもあるか?」
「……それは」
「じゃぁいいな。」
そういうと菩薩はスッと椅子から立ち上がり、スタスタと部屋を後にしていく。
「菩薩……観世音菩薩!!」
「なんだ二郎神」
「あのような事を言ってしまわれて…大丈夫でしょうか…」
「問題ねえよ。初めから雅はオレの傍においとくつもりだったしな。」
「しかし。」
「大丈夫だ。二郎神とは違う役目を請け負ってもらうだけだ。」
「それなら尚更他の者が…」
「フ…文句何ざ言わせねえよ。このオレに」
「…ハァァァ…胃が痛い…」
「薬飲め、薬」
そう言いながらも雅の居る寝室へと向かっていった。二郎神も一緒に向かう中、今にも鼻唄が聞こえてきそうなほどの菩薩の後ろでため息を吐いていた。
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