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scene28-C:船内調査 ~接触編~
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時刻は15時…雅は一足早くにその場所に着いた。それでも車の中から降りようとはしていなかった。
「さすがに早く着いちゃったかな…」
そう呟いていた。すでに身はドレスに包まれている。 やはり背中は大きく開いていた。ショールを付け、15時半過ぎた頃か、手洗いに車を降りた雅。
「…何か…凄い見られてる…」
そう。痛いほどの視線が雅に向けられていた。自分では何でこれほどまでに見られているのかは理由は解らなかった。 早々に手洗いから出て下を俯きながらも出てきた時だった。誰かの胸元にどんっとぶつかった。
「あ、すみません!ボーっとしてて」
「いえ、こちらこ…そって、成瀬?」
「か…加賀さん。
「驚いたな…あ、すまん。トイレ…」
そうして加賀は先に手洗いに向かう。そんな時だ。雅の携帯に着信が入る。
「もしもし?」
『もしもし、僕だ。』
「…洸…」
『今どこだ?』
「いま、……えっと、船が見えて、あ、2番ゲート近くの手洗い場にいます。」
『…なんでそんなところに…』
「さっきいて、出てきたところで加賀さんとぶつかっちゃったんです!それで今待ってるところで…」
『そうか。』
「洸は…?今どこ?」
『駐車場に居る。向こうで落ち合おう。インカムは持ってるか?』
「えぇ。私は…」
『ならいいな。入口でそのままつけて入って来い』
「はい。」
そうして切れた電話。同時に加賀もトイレから出てきた。
「ん?どうした?電話か?」
「ん。でも、普通に業務連絡的な…」
「…どうした?」
「なんか…加賀さん…かっこいい…」
「ば…そんな事言っても」
「本当…!なんかそう言う色のって初めて見たからかな…」
「確かに…この色は着た事ないかも知れん…」
「でも本当にカッコいいです!」
「ありがとう…」
心なしか照れくさそうに話をして笑い合っていた2人。少し話しているとすぐに16時を回る。
「ところで栖谷さんは?」
「…知りません…向うで落ち合おうって…船の中に入るまで会えないと思います」
「一緒じゃなかったのか?」
「午前中なんてウロトルマ入ですよ?信じられますか?」
「……ハァ…」
「なんかここ最近だと、加賀さんと居る方のが長い気がする…」
「そんな事ないだろうに…」
「…そんな事あるもん…」
そう言い俯き加減になる雅に上からフッと笑いかけた加賀。
「男の立場からすると、戸惑うところもあるんだろうな」
「戸惑う?あの栖谷さんが?」
「あのって…そんな事も無いと思うが?栖谷さんだって普通の男だろうし。」
「そうかも知れないですけど…」
そんな会話をしていた。乗船時間を確認するとすでに入れる時間になっている。2人揃って船場に向かっていった。
「すみません、宜しくお願いします。」
「はい、確認致します。…・・はい、ようこそ。お待ちいたしておりました。このまま中にお進みくださいませ。」
「ありがとうございます。」
「自分も。お願いします」
「はい。…ようこそ、このままお進みくださいませ」
そういわれて2人は中に入って行った。中に入ると広間の様な所で何やら配っている。
「ようこそ。チケットの確認をさせて頂きます。」
「あ…はい…」
「…はい、ではこちらがお部屋のキーになります。2泊3日の間、紛失なさいません様宜しくお願い致します。なお、お部屋は自動オートロックシステムとなっております。万が一インロックしてしまわれました際には、乗務員にお声かけくださいませ。」
「はい。ありがとうございます。」
「もうお部屋に入って頂く事も可能でございます。船内、自由におくつろぎくださいませ。ただし、移動の際、お部屋から出られる際にはドレスコードをお守り頂きます様お願い致します。」
そうして簡単な説明を受けた後、大まかなタイムスケジュール等の載った物を貰って部屋に入る事にした2人。しかし、すぐに雅は部屋から出てしまった。その足で向かったのは船頭デッキだった。
「…あぁあ…・・部屋番号だって絶対教えてくれなさそうだし…案外私って…洸の事知らないのかもしれない…」
動き出す前の船から海を眺めていた雅。そんな時、後ろから声をかけられた。
「失礼ですが…」
「…・・・」
「失礼、レディ?」
「…え、わ…たし?」
「えぇ。もしかして、お1人でしょうか?」
「えと…」
「もし1人であるなら僕の相手、してくれると嬉しいんですが?」
「相手って…?」
「話し相手ですよ。」
「…すこしなら」
そう返事をした雅。他愛もない話を交わしていた。通信を知らせる音がして雅は髪を梳かす振りをしてインカムのスイッチを入れる。
「風が強いですね…」
「そうですね…」
『…成瀬、聞こえるか?至急加賀と合流しろ』
「私、そろそろ一旦お部屋に戻ります。冷えちゃったみたい…」
そういい会釈をして背中を向けた時、グッと手を掴まれた。
「また、また話せますか?」
「…えぇ。」
するりと腕をすり抜けるように雅はデッキから離れた。しかし、加賀の部屋を知らない…
「加賀さん?どちらに行けば…?」
『いま食堂だ。』
「了解」
そうして部屋に向かわず、食堂に向かった雅。見ると加賀が座っている。向かい合ってではなく少し離れた場所に座った。
「それで?どうしました?」
『ターゲットももうすでに船内にいるという事らしい。』
「栖谷さんは?」
『僕はとっくに船内に居るさ。』
「…そうでしたか」
『BVからの刺客も1人との話だ。ただ、誰を狙っているかは不明だという事らしい。何か変わった事が解ったらすぐに知らせろ』
「了解」
『了解!』
そうして通信は一旦切れた。色々と見て回り、楽しく見ている時だ。出航の合図が出された。船内に放送が入り、広間に集まる様に連絡が入った。
「この度は、お集まりいただきましてありがとうございます。今回の船旅は個人名等互いに詮索しない自由な旅をコンセプトに組ませて頂いております。名乗る名前もご自由に…こちらでは本来の皆様のお名前は控えてありますが他言せず参ります。あと1時間ほど致しましたらお食事になりますので皆様、それまでどうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。」
そう案内された。その時、ようやく雅の視界に栖谷が入る。黒のタキシードにループタイを締めた格好だ。自然体にも関わらずどこか色気すらも感じられる立ち振る舞いだった。栖谷に見とれていた時だった。船頭デッキで会った男が雅に声をかける。
「やっぱり…少し前に会って…今夜一緒にお食事とかどうですか?」
「…あの…」
「それとも、もうすでに誰かと御約束でも?」
約束はしていない。それどころか避けられてるに違いない。返事に戸惑っていた時だった。スッと手を取り甲にキスを落とした。
「食事が始まる頃。ここで待っています。」
そうして雅の前からその男は去って行った。栖谷はそのやり取りを見ていたものの余り過剰の反応は避けていた。困り果てた雅の元にすれ違いざまに加賀は話した。
「俺らも一緒に近くで食事するから、心配ない」
それを聞いた雅は一気にしょげた。加賀は気を使ってくれたのだと思う。それでも近くで初めて会った人との食事を栖谷に聞かれながらとなれば…おいしい訳もない。それでも無情にも時間は刻々と過ぎて行った。鼻をくすぐる香りとおいしそうに煌めく料理の数々。加賀は有言実行と言わんばかりに真後ろの席に位置取った。
「すみません、お待たせして。」
「いえ…そんな…」
「何か飲まれますか?」
「そうですね…」
「お酒は…飲めますか?」
「少しだけなので…止めておきます」
そういいその男は手を上げてボーイを呼んだ。
「僕は赤ワインのロゼ。」
「えっと…私は…カンパリのオレンジ…」
「かしこまりました。」
「かわいいね…カンパリって…君にピッタリだ…」
そう言いながらも真っ直ぐに見つめるその男は、やってきたワインを片手にスッと名刺を差し出した。
「あの…これって…」
「僕の正体。本物。いつも使ってる名刺さ。」
「瀬戸…さん?」
「sit…シー…」
そう言うと瀬戸は唇の前に人差し指を立てて名前を伏せるように仕向けた。慌てて名刺をしまい雅は『ごめんなさい』と呟いた。
「ありがとうございます。…でも私は…持ってなくて…」
「いいんだよ。僕が渡したかっただけだから。それに、僕がこれ渡したの、秘密ね?」
「…え?」
「大丈夫。君は絶対に危ない目には合せないから。」
「…あの…何の事…」
「さぁ!料理が来た。食べようか?」
そうして料理をおいしく食べられるように料理に集中した。それ故に瀬戸とどんな会話をしたかなど覚えている余裕すらなかった。
少しするとカタン…と背中越しに音がする。その音で雅はドクンと鼓動を高鳴らせた。栖谷はウエイターに『御馳走様』と伝えてその場を去る。
「…知り合い?」
「え?」
「さっきの後ろの…」
「知り合いっていうか…どこかで見たな…って…」
「そっか…なら良かった。知り合いなら悪い事しちゃったかなって思って…」
「そんな…ッッ」
テーブルの上に載っている雅の手にそっと瀬戸は手を重ねた。ふいにその手を払うかのように膝の上に置いて俯いた。
「ごめん。焦り過ぎたね…僕は君に出会えたのは運命だと思ってる。この旅が終わるまでに君の答えがイエスなら…君の名前を聞かせてくれないか?」
「……」
「もし君が僕を選ばないとしてもそれは仕方のない事…その時はその時で諦めるよ。」
そういって最後まで食事をきれいに食べきり立ちあがった。
「それじゃぁ…また気が向いたらその番号に連絡頂戴?…何時になっても構わないから…」
その言葉を最後に瀬戸は雅の肩にポンと手を置いてその場を離れて別れた。
「さすがに早く着いちゃったかな…」
そう呟いていた。すでに身はドレスに包まれている。 やはり背中は大きく開いていた。ショールを付け、15時半過ぎた頃か、手洗いに車を降りた雅。
「…何か…凄い見られてる…」
そう。痛いほどの視線が雅に向けられていた。自分では何でこれほどまでに見られているのかは理由は解らなかった。 早々に手洗いから出て下を俯きながらも出てきた時だった。誰かの胸元にどんっとぶつかった。
「あ、すみません!ボーっとしてて」
「いえ、こちらこ…そって、成瀬?」
「か…加賀さん。
「驚いたな…あ、すまん。トイレ…」
そうして加賀は先に手洗いに向かう。そんな時だ。雅の携帯に着信が入る。
「もしもし?」
『もしもし、僕だ。』
「…洸…」
『今どこだ?』
「いま、……えっと、船が見えて、あ、2番ゲート近くの手洗い場にいます。」
『…なんでそんなところに…』
「さっきいて、出てきたところで加賀さんとぶつかっちゃったんです!それで今待ってるところで…」
『そうか。』
「洸は…?今どこ?」
『駐車場に居る。向こうで落ち合おう。インカムは持ってるか?』
「えぇ。私は…」
『ならいいな。入口でそのままつけて入って来い』
「はい。」
そうして切れた電話。同時に加賀もトイレから出てきた。
「ん?どうした?電話か?」
「ん。でも、普通に業務連絡的な…」
「…どうした?」
「なんか…加賀さん…かっこいい…」
「ば…そんな事言っても」
「本当…!なんかそう言う色のって初めて見たからかな…」
「確かに…この色は着た事ないかも知れん…」
「でも本当にカッコいいです!」
「ありがとう…」
心なしか照れくさそうに話をして笑い合っていた2人。少し話しているとすぐに16時を回る。
「ところで栖谷さんは?」
「…知りません…向うで落ち合おうって…船の中に入るまで会えないと思います」
「一緒じゃなかったのか?」
「午前中なんてウロトルマ入ですよ?信じられますか?」
「……ハァ…」
「なんかここ最近だと、加賀さんと居る方のが長い気がする…」
「そんな事ないだろうに…」
「…そんな事あるもん…」
そう言い俯き加減になる雅に上からフッと笑いかけた加賀。
「男の立場からすると、戸惑うところもあるんだろうな」
「戸惑う?あの栖谷さんが?」
「あのって…そんな事も無いと思うが?栖谷さんだって普通の男だろうし。」
「そうかも知れないですけど…」
そんな会話をしていた。乗船時間を確認するとすでに入れる時間になっている。2人揃って船場に向かっていった。
「すみません、宜しくお願いします。」
「はい、確認致します。…・・はい、ようこそ。お待ちいたしておりました。このまま中にお進みくださいませ。」
「ありがとうございます。」
「自分も。お願いします」
「はい。…ようこそ、このままお進みくださいませ」
そういわれて2人は中に入って行った。中に入ると広間の様な所で何やら配っている。
「ようこそ。チケットの確認をさせて頂きます。」
「あ…はい…」
「…はい、ではこちらがお部屋のキーになります。2泊3日の間、紛失なさいません様宜しくお願い致します。なお、お部屋は自動オートロックシステムとなっております。万が一インロックしてしまわれました際には、乗務員にお声かけくださいませ。」
「はい。ありがとうございます。」
「もうお部屋に入って頂く事も可能でございます。船内、自由におくつろぎくださいませ。ただし、移動の際、お部屋から出られる際にはドレスコードをお守り頂きます様お願い致します。」
そうして簡単な説明を受けた後、大まかなタイムスケジュール等の載った物を貰って部屋に入る事にした2人。しかし、すぐに雅は部屋から出てしまった。その足で向かったのは船頭デッキだった。
「…あぁあ…・・部屋番号だって絶対教えてくれなさそうだし…案外私って…洸の事知らないのかもしれない…」
動き出す前の船から海を眺めていた雅。そんな時、後ろから声をかけられた。
「失礼ですが…」
「…・・・」
「失礼、レディ?」
「…え、わ…たし?」
「えぇ。もしかして、お1人でしょうか?」
「えと…」
「もし1人であるなら僕の相手、してくれると嬉しいんですが?」
「相手って…?」
「話し相手ですよ。」
「…すこしなら」
そう返事をした雅。他愛もない話を交わしていた。通信を知らせる音がして雅は髪を梳かす振りをしてインカムのスイッチを入れる。
「風が強いですね…」
「そうですね…」
『…成瀬、聞こえるか?至急加賀と合流しろ』
「私、そろそろ一旦お部屋に戻ります。冷えちゃったみたい…」
そういい会釈をして背中を向けた時、グッと手を掴まれた。
「また、また話せますか?」
「…えぇ。」
するりと腕をすり抜けるように雅はデッキから離れた。しかし、加賀の部屋を知らない…
「加賀さん?どちらに行けば…?」
『いま食堂だ。』
「了解」
そうして部屋に向かわず、食堂に向かった雅。見ると加賀が座っている。向かい合ってではなく少し離れた場所に座った。
「それで?どうしました?」
『ターゲットももうすでに船内にいるという事らしい。』
「栖谷さんは?」
『僕はとっくに船内に居るさ。』
「…そうでしたか」
『BVからの刺客も1人との話だ。ただ、誰を狙っているかは不明だという事らしい。何か変わった事が解ったらすぐに知らせろ』
「了解」
『了解!』
そうして通信は一旦切れた。色々と見て回り、楽しく見ている時だ。出航の合図が出された。船内に放送が入り、広間に集まる様に連絡が入った。
「この度は、お集まりいただきましてありがとうございます。今回の船旅は個人名等互いに詮索しない自由な旅をコンセプトに組ませて頂いております。名乗る名前もご自由に…こちらでは本来の皆様のお名前は控えてありますが他言せず参ります。あと1時間ほど致しましたらお食事になりますので皆様、それまでどうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ。」
そう案内された。その時、ようやく雅の視界に栖谷が入る。黒のタキシードにループタイを締めた格好だ。自然体にも関わらずどこか色気すらも感じられる立ち振る舞いだった。栖谷に見とれていた時だった。船頭デッキで会った男が雅に声をかける。
「やっぱり…少し前に会って…今夜一緒にお食事とかどうですか?」
「…あの…」
「それとも、もうすでに誰かと御約束でも?」
約束はしていない。それどころか避けられてるに違いない。返事に戸惑っていた時だった。スッと手を取り甲にキスを落とした。
「食事が始まる頃。ここで待っています。」
そうして雅の前からその男は去って行った。栖谷はそのやり取りを見ていたものの余り過剰の反応は避けていた。困り果てた雅の元にすれ違いざまに加賀は話した。
「俺らも一緒に近くで食事するから、心配ない」
それを聞いた雅は一気にしょげた。加賀は気を使ってくれたのだと思う。それでも近くで初めて会った人との食事を栖谷に聞かれながらとなれば…おいしい訳もない。それでも無情にも時間は刻々と過ぎて行った。鼻をくすぐる香りとおいしそうに煌めく料理の数々。加賀は有言実行と言わんばかりに真後ろの席に位置取った。
「すみません、お待たせして。」
「いえ…そんな…」
「何か飲まれますか?」
「そうですね…」
「お酒は…飲めますか?」
「少しだけなので…止めておきます」
そういいその男は手を上げてボーイを呼んだ。
「僕は赤ワインのロゼ。」
「えっと…私は…カンパリのオレンジ…」
「かしこまりました。」
「かわいいね…カンパリって…君にピッタリだ…」
そう言いながらも真っ直ぐに見つめるその男は、やってきたワインを片手にスッと名刺を差し出した。
「あの…これって…」
「僕の正体。本物。いつも使ってる名刺さ。」
「瀬戸…さん?」
「sit…シー…」
そう言うと瀬戸は唇の前に人差し指を立てて名前を伏せるように仕向けた。慌てて名刺をしまい雅は『ごめんなさい』と呟いた。
「ありがとうございます。…でも私は…持ってなくて…」
「いいんだよ。僕が渡したかっただけだから。それに、僕がこれ渡したの、秘密ね?」
「…え?」
「大丈夫。君は絶対に危ない目には合せないから。」
「…あの…何の事…」
「さぁ!料理が来た。食べようか?」
そうして料理をおいしく食べられるように料理に集中した。それ故に瀬戸とどんな会話をしたかなど覚えている余裕すらなかった。
少しするとカタン…と背中越しに音がする。その音で雅はドクンと鼓動を高鳴らせた。栖谷はウエイターに『御馳走様』と伝えてその場を去る。
「…知り合い?」
「え?」
「さっきの後ろの…」
「知り合いっていうか…どこかで見たな…って…」
「そっか…なら良かった。知り合いなら悪い事しちゃったかなって思って…」
「そんな…ッッ」
テーブルの上に載っている雅の手にそっと瀬戸は手を重ねた。ふいにその手を払うかのように膝の上に置いて俯いた。
「ごめん。焦り過ぎたね…僕は君に出会えたのは運命だと思ってる。この旅が終わるまでに君の答えがイエスなら…君の名前を聞かせてくれないか?」
「……」
「もし君が僕を選ばないとしてもそれは仕方のない事…その時はその時で諦めるよ。」
そういって最後まで食事をきれいに食べきり立ちあがった。
「それじゃぁ…また気が向いたらその番号に連絡頂戴?…何時になっても構わないから…」
その言葉を最後に瀬戸は雅の肩にポンと手を置いてその場を離れて別れた。
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