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魔導王国アミリ朝クテシア編 〜砂塵と共に流れる因縁の章〜
分断された連合軍
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苏月は柱の影に隠れると、部下達に結界を張るように指示して水晶盤を耳に当てた。
「さっきからどうした?」
『もしもし、ロルツです。美凛パパならこの城の壁、壊せますか?』
「壊せるって…壊せない壁など無いだろう」
実際、戦闘が始まってから壁を幾つも破壊している。
『じゃあ、誰かの部隊と合流してくれませんか?此処の壁、何かに守られてるみたいで破壊出来ないんです』
「…オマケで梦蝶も付いて来るけど良いか?」
ロルツが沈黙した。彼も梦蝶の事は知っている。〈第二次苏安内戦〉の戦犯の一人にして、社龍の母親。そして、当時の皇国最強の武人だ。
『外せない…ですか?』
「無理」
『了解です…一応キオネにも連絡してあります』
「分かった。キオネの方の増援を期待しなさい」
何せ、無事に勝てるか分からないのだ。
「はぁ…」
気温が低いからか、梦蝶と世南で戦った時にできた古傷が痛む。しかし、恐らく原因は気温だけではない。気も滅入っているのだろう。
(来儀の仇とは言え、あれは社龍の母親だ。またあの子から母親を奪えとでもというのか?)
そもそも、彼女が自分に対して抱く憎しみの要因は何だろう。大切な物を奪ったとは何だろうか。
(奪われたのはこっちの方なんだが)
先ずは、ちゃんと姉と対面する事から始めなければ話にはならないのだろう。
苏月は立ち上がると、柱の影から出た。正面には梦蝶が立っている。
「なぁ⸺」
直後、梦蝶が襲い掛かる。苏月は瞬時に悟った。対話は不可能だと。
梦蝶の手が炎を纏う。必殺の一撃だ。世南での戦いでは辛うじてこれを躱したが、完全には躱せずに脇腹を深々と抉られている。その傷はあの凄惨な内戦を忘れさせまいと今も疼く。
しかし、対抗策が無い訳じゃない。相殺する用意はしてある。
「一隊、速やかに魔人を制圧せよ。梦蝶には近付くな」
「はっ!」
苏月はアレンの動きを真似て、瞬時に距離を詰めた。唐突な変化に驚いた梦蝶が貫手の為に構えるが、雷を纏った平手で貫手を横から弾き飛ばす。そのまま手を振り抜いた勢いを利用して、今度は回し蹴りを側頭部目掛けて叩き込む。しかし、梦蝶はそれを左手で防いだ。
「アレンの技を真似たか、小癪な!」
梦蝶は袖から苦無を取り出すと、苏月の脚に突き立てようとする。直後、鎖が床を穿った。
「チッ…!」
鎖は壁を削り、行き止まりを破壊する。その破壊した先にはネメシア率いる、人の姿をした人魚の部隊が居た。
「えっ、当たり引いたの俺達!?まあ良いや。メリューン騎士団、援護するよ!後で皆に褒賞とかくれよな!」
槍を持ったメリューン王国の精鋭部隊が増援に加わる。
ネメシアはこの五年で、祖国のメリューン騎士団大陸支部の騎士団長にまで上り詰めていた。それはやはり、ネメシアの高い実力と陸戦の慣れがあるからだ。
続けて、何処からかキオネの銃が火を吹く音が聞こえた。壁が壊れる豪快な音もする。
そしてそれに対抗するように、再び建物が操作される。
一瞬、壊れた壁の隙間からキオネの姿が見えた。
「やあやあ皆久しぶ⸺」
にこやかに、そして優雅に挨拶してこちらへ来ようとするも、キオネは壁に阻まれた。そのキオネの背後では、人の姿に変身している海竜達がクスクスと笑っている。
「…あーんまりじゃないかな!?」
そう言ってキオネは屋根の上の魔人を睨んだ。
「ちょっとそこの君、挨拶くらいさせてくれても良いだろう?何せ、彼らは僕の友人で娘も世話になってるんだから」
霧に包まれていても、キオネの視力は容易にファズミルを目視できる。
(さっきロルツから連絡があったけど、あいつを倒した方が早くないかな)
下手に砲撃すれば、味方ごと破壊してしまいかねない。つくづく、自分の強さに参ってしまう。
(連合海軍と一部の海竜とははぐれちゃったし、殺しても良いよね)
建物の内部は未だ回転しているらしく、壊れた壁の隙間から今度はアレンの姿が見えた。アレン達はジェティと交戦しており、余裕は無さそうだ。
キオネは跳躍すると、屋根の上に居るファズミルと対峙した。
ファズミルはキオネを見ると短剣を抜いた。
「君は毒を使わないようだね」
「私は毒を使わなくても強い」
キオネは銃剣を装着してファズミルとの間合いを測った。
(…向こうも手練だ。最低でもモシン・ナガン一丁分の距離を保たないと)
キオネは距離を詰める仕草を見せて、片手で発砲した。片手で発砲すると、反動で肩が外れる。しかしキオネはそれを海竜の力をもって耐えた。
「…ッ!?」
魔導モシン・ナガンから放たれたのは銃弾ではなく光線だ。その光線は辛うじて躱したファズミルの髪と左耳を焼き払う。
予想外のキオネの行動にファズミルは目を見開くが、直ぐに右手で短剣を構え直してキオネとの距離を詰める。
キオネは海竜だから、一瞬で決着を着けたければ元の姿に戻って敵を纏めて城ごと圧殺する方が早いに決まっている。しかしそうしないのは、味方が居る事を理解しているからだ。であれば、この好機を逃すのは愚の骨頂だろう。
ファズミルはキオネとの距離を詰めて短剣を突き出した。キオネがそれを躱すと、今度は再び発砲される前に短剣をキオネの心臓目掛けて突き立てようとする。
「おっと、危ないな」
キオネはファズミルの右手を掴むと、軽く捻り上げた。ガコンと音がして肘が外れると、ファズミルは別の短剣を取り出してキオネの右太腿に突き立てる。
「くっ…!」
かなり深く刺さったようだ。痛みにファズミルを突き飛ばすと、彼に問う。
「もしかして左利き?短剣は何本持ってるんだい?」
「多分左利きだ。所持数は…忘れた」
右脚が僅かに痺れる。どうやら麻痺毒が使われているようだ。
「そのうち痛みは消える。だが、その脚では満足に動けないだろう」
そう言いながらファズミルは左手で短剣を構えてゆっくり歩いて来る。そこには一切の隙が無く、長年の経験を感じる。
キオネは警戒して銃を構えた。その直後、背筋に悪寒が走る。
(何だ?誰かがこっちを見ている)
嫌な気配だ。霧や騒音で気配は途切れ途切れだが、その途切れ途切れの気配は、キオネの集中力を掻き乱すには充分過ぎた。
(横…!?)
霧の中から雷の槍のような魔法が放たれる。それを結界で弾き飛ばすと、今度はファズミルが近接戦を仕掛けて来た。
キオネは短剣で応戦するも、負傷した右脚を引っ掛けられて姿勢を崩す。
(あ、まずい⸺)
ファズミルがキオネの腹部を思い切り蹴ると、キオネは近くの柱に叩き付けられた。
「ゲホッゲホッ…!」
胃液が一気に上がるような嘔吐感に咽ると、その瞬間を狙っていたのか、先程の魔法が再び放たれた。
それはキオネの心臓を狙ったものだが、キオネは身体を何とかずらして急所を外させる。しかし、その槍は肩を貫通して柱にキオネを縫い付けていた。
「…やあやあ、久し振りじゃないか。再会の挨拶がそれとは、礼儀がなってないね」
その槍の魔力をキオネはよく知っている。
「サリバン・ノルディーン」
霧の中から現れたのは、年老いた黒ローブの魔人だった。
「サリバン、漸く真面目に仕事する気になったんだ」
「陛下から流石にお叱りを受けたわい。遊び過ぎだ、とな」
そう無表情で会話する彼らは、キオネの事を意にも止めていないらしい。
しかし槍を抜こうと試みるキオネの気配に漸く存在を思い出したのか、サリバンはキオネの目の前にしゃがむと、槍を掴んだ。
「久しいのう、ゴトディスの倅。あれからもう十年以上立つか?」
キオネは無言でサリバンを睨んだ。直接手を下した訳ではないとはいえ、父王の自害を後押しする原因となったのは他でもないサリバンだ。憎くないと言えば嘘になる。何より、彼は愛しいドゥリンを傷付けた事がある。許せる相手ではなかった。
「良いのう、その目。不屈の闘志が宿っておる。それを、この手でへし折ってみたいわい」
キオネは挑発した。
「へえ?海竜の闘志をへし折るって?やってみたまえよ」
サリバンは槍を掴んだまま言った。
「リヴィナベルク城の上空、成層圏に亀裂がある事は帝国も把握しておる。そして陛下はそれをお求めじゃ。お主が投降すれば、犠牲を最小限に出来る」
「ははは、犠牲を最小限に?今更何を言うのかな。お前達が二十八年前にやった海竜や商人への襲撃を忘れたとは言わせないよ。犠牲なんてこっちは覚悟の上で抵抗しているんだ。巫山戯た事を言わないでくれたまえよ」
サリバンは小さく笑った。
「やはりな、へし折るにはそのくらいの意思がある方がやり甲斐がある」
そう言ってキオネの手脚に拘束魔法を掛けると、槍に魔力を流す。雷を帯びた魔力は、傷口から直接体内を巡ってキオネを苛んだ。
「ぐっ、ゔ…ッ!」
「知っておるか?水とは本来電気を通さない。しかし内包する不純物によっては、電気を通しやすくなる」
傷口が焼ける匂いがする。本来水の中で生きる海竜は、身体の多くを水が占める。しかし純粋な水ではない。
「お前がどれだけこの責苦に耐えられるか、楽しみだよ」
そう言ってサリバンは下衆な笑みを浮かべる。問い無き拷問の時間が始まった。
「さっきからどうした?」
『もしもし、ロルツです。美凛パパならこの城の壁、壊せますか?』
「壊せるって…壊せない壁など無いだろう」
実際、戦闘が始まってから壁を幾つも破壊している。
『じゃあ、誰かの部隊と合流してくれませんか?此処の壁、何かに守られてるみたいで破壊出来ないんです』
「…オマケで梦蝶も付いて来るけど良いか?」
ロルツが沈黙した。彼も梦蝶の事は知っている。〈第二次苏安内戦〉の戦犯の一人にして、社龍の母親。そして、当時の皇国最強の武人だ。
『外せない…ですか?』
「無理」
『了解です…一応キオネにも連絡してあります』
「分かった。キオネの方の増援を期待しなさい」
何せ、無事に勝てるか分からないのだ。
「はぁ…」
気温が低いからか、梦蝶と世南で戦った時にできた古傷が痛む。しかし、恐らく原因は気温だけではない。気も滅入っているのだろう。
(来儀の仇とは言え、あれは社龍の母親だ。またあの子から母親を奪えとでもというのか?)
そもそも、彼女が自分に対して抱く憎しみの要因は何だろう。大切な物を奪ったとは何だろうか。
(奪われたのはこっちの方なんだが)
先ずは、ちゃんと姉と対面する事から始めなければ話にはならないのだろう。
苏月は立ち上がると、柱の影から出た。正面には梦蝶が立っている。
「なぁ⸺」
直後、梦蝶が襲い掛かる。苏月は瞬時に悟った。対話は不可能だと。
梦蝶の手が炎を纏う。必殺の一撃だ。世南での戦いでは辛うじてこれを躱したが、完全には躱せずに脇腹を深々と抉られている。その傷はあの凄惨な内戦を忘れさせまいと今も疼く。
しかし、対抗策が無い訳じゃない。相殺する用意はしてある。
「一隊、速やかに魔人を制圧せよ。梦蝶には近付くな」
「はっ!」
苏月はアレンの動きを真似て、瞬時に距離を詰めた。唐突な変化に驚いた梦蝶が貫手の為に構えるが、雷を纏った平手で貫手を横から弾き飛ばす。そのまま手を振り抜いた勢いを利用して、今度は回し蹴りを側頭部目掛けて叩き込む。しかし、梦蝶はそれを左手で防いだ。
「アレンの技を真似たか、小癪な!」
梦蝶は袖から苦無を取り出すと、苏月の脚に突き立てようとする。直後、鎖が床を穿った。
「チッ…!」
鎖は壁を削り、行き止まりを破壊する。その破壊した先にはネメシア率いる、人の姿をした人魚の部隊が居た。
「えっ、当たり引いたの俺達!?まあ良いや。メリューン騎士団、援護するよ!後で皆に褒賞とかくれよな!」
槍を持ったメリューン王国の精鋭部隊が増援に加わる。
ネメシアはこの五年で、祖国のメリューン騎士団大陸支部の騎士団長にまで上り詰めていた。それはやはり、ネメシアの高い実力と陸戦の慣れがあるからだ。
続けて、何処からかキオネの銃が火を吹く音が聞こえた。壁が壊れる豪快な音もする。
そしてそれに対抗するように、再び建物が操作される。
一瞬、壊れた壁の隙間からキオネの姿が見えた。
「やあやあ皆久しぶ⸺」
にこやかに、そして優雅に挨拶してこちらへ来ようとするも、キオネは壁に阻まれた。そのキオネの背後では、人の姿に変身している海竜達がクスクスと笑っている。
「…あーんまりじゃないかな!?」
そう言ってキオネは屋根の上の魔人を睨んだ。
「ちょっとそこの君、挨拶くらいさせてくれても良いだろう?何せ、彼らは僕の友人で娘も世話になってるんだから」
霧に包まれていても、キオネの視力は容易にファズミルを目視できる。
(さっきロルツから連絡があったけど、あいつを倒した方が早くないかな)
下手に砲撃すれば、味方ごと破壊してしまいかねない。つくづく、自分の強さに参ってしまう。
(連合海軍と一部の海竜とははぐれちゃったし、殺しても良いよね)
建物の内部は未だ回転しているらしく、壊れた壁の隙間から今度はアレンの姿が見えた。アレン達はジェティと交戦しており、余裕は無さそうだ。
キオネは跳躍すると、屋根の上に居るファズミルと対峙した。
ファズミルはキオネを見ると短剣を抜いた。
「君は毒を使わないようだね」
「私は毒を使わなくても強い」
キオネは銃剣を装着してファズミルとの間合いを測った。
(…向こうも手練だ。最低でもモシン・ナガン一丁分の距離を保たないと)
キオネは距離を詰める仕草を見せて、片手で発砲した。片手で発砲すると、反動で肩が外れる。しかしキオネはそれを海竜の力をもって耐えた。
「…ッ!?」
魔導モシン・ナガンから放たれたのは銃弾ではなく光線だ。その光線は辛うじて躱したファズミルの髪と左耳を焼き払う。
予想外のキオネの行動にファズミルは目を見開くが、直ぐに右手で短剣を構え直してキオネとの距離を詰める。
キオネは海竜だから、一瞬で決着を着けたければ元の姿に戻って敵を纏めて城ごと圧殺する方が早いに決まっている。しかしそうしないのは、味方が居る事を理解しているからだ。であれば、この好機を逃すのは愚の骨頂だろう。
ファズミルはキオネとの距離を詰めて短剣を突き出した。キオネがそれを躱すと、今度は再び発砲される前に短剣をキオネの心臓目掛けて突き立てようとする。
「おっと、危ないな」
キオネはファズミルの右手を掴むと、軽く捻り上げた。ガコンと音がして肘が外れると、ファズミルは別の短剣を取り出してキオネの右太腿に突き立てる。
「くっ…!」
かなり深く刺さったようだ。痛みにファズミルを突き飛ばすと、彼に問う。
「もしかして左利き?短剣は何本持ってるんだい?」
「多分左利きだ。所持数は…忘れた」
右脚が僅かに痺れる。どうやら麻痺毒が使われているようだ。
「そのうち痛みは消える。だが、その脚では満足に動けないだろう」
そう言いながらファズミルは左手で短剣を構えてゆっくり歩いて来る。そこには一切の隙が無く、長年の経験を感じる。
キオネは警戒して銃を構えた。その直後、背筋に悪寒が走る。
(何だ?誰かがこっちを見ている)
嫌な気配だ。霧や騒音で気配は途切れ途切れだが、その途切れ途切れの気配は、キオネの集中力を掻き乱すには充分過ぎた。
(横…!?)
霧の中から雷の槍のような魔法が放たれる。それを結界で弾き飛ばすと、今度はファズミルが近接戦を仕掛けて来た。
キオネは短剣で応戦するも、負傷した右脚を引っ掛けられて姿勢を崩す。
(あ、まずい⸺)
ファズミルがキオネの腹部を思い切り蹴ると、キオネは近くの柱に叩き付けられた。
「ゲホッゲホッ…!」
胃液が一気に上がるような嘔吐感に咽ると、その瞬間を狙っていたのか、先程の魔法が再び放たれた。
それはキオネの心臓を狙ったものだが、キオネは身体を何とかずらして急所を外させる。しかし、その槍は肩を貫通して柱にキオネを縫い付けていた。
「…やあやあ、久し振りじゃないか。再会の挨拶がそれとは、礼儀がなってないね」
その槍の魔力をキオネはよく知っている。
「サリバン・ノルディーン」
霧の中から現れたのは、年老いた黒ローブの魔人だった。
「サリバン、漸く真面目に仕事する気になったんだ」
「陛下から流石にお叱りを受けたわい。遊び過ぎだ、とな」
そう無表情で会話する彼らは、キオネの事を意にも止めていないらしい。
しかし槍を抜こうと試みるキオネの気配に漸く存在を思い出したのか、サリバンはキオネの目の前にしゃがむと、槍を掴んだ。
「久しいのう、ゴトディスの倅。あれからもう十年以上立つか?」
キオネは無言でサリバンを睨んだ。直接手を下した訳ではないとはいえ、父王の自害を後押しする原因となったのは他でもないサリバンだ。憎くないと言えば嘘になる。何より、彼は愛しいドゥリンを傷付けた事がある。許せる相手ではなかった。
「良いのう、その目。不屈の闘志が宿っておる。それを、この手でへし折ってみたいわい」
キオネは挑発した。
「へえ?海竜の闘志をへし折るって?やってみたまえよ」
サリバンは槍を掴んだまま言った。
「リヴィナベルク城の上空、成層圏に亀裂がある事は帝国も把握しておる。そして陛下はそれをお求めじゃ。お主が投降すれば、犠牲を最小限に出来る」
「ははは、犠牲を最小限に?今更何を言うのかな。お前達が二十八年前にやった海竜や商人への襲撃を忘れたとは言わせないよ。犠牲なんてこっちは覚悟の上で抵抗しているんだ。巫山戯た事を言わないでくれたまえよ」
サリバンは小さく笑った。
「やはりな、へし折るにはそのくらいの意思がある方がやり甲斐がある」
そう言ってキオネの手脚に拘束魔法を掛けると、槍に魔力を流す。雷を帯びた魔力は、傷口から直接体内を巡ってキオネを苛んだ。
「ぐっ、ゔ…ッ!」
「知っておるか?水とは本来電気を通さない。しかし内包する不純物によっては、電気を通しやすくなる」
傷口が焼ける匂いがする。本来水の中で生きる海竜は、身体の多くを水が占める。しかし純粋な水ではない。
「お前がどれだけこの責苦に耐えられるか、楽しみだよ」
そう言ってサリバンは下衆な笑みを浮かべる。問い無き拷問の時間が始まった。
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