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現執着ヤンデレ先輩なのでじっとり可愛がります
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しおりを挟む次の休日に遊びに行くと、素朴な料理も温かい家も感じはよかった。
隠し部屋や地下室もないか確認したがなかった。怪しい言動もない。近所の人間も、田舎の町の素朴な人間だった。
リゲルの兄弟や、近所のリゲルの友達は僕を見て驚いていた。
貴族の人間を初めて見たのだろうか。
「あんな綺麗な人初めてみた」と騒いでいるから、悪い印象ではないのだろう。
リゲルの母親も僕の容姿を気に入ってくれているようで、ほっとする。
遠慮されない程度に土産も用意する。リゲルの家は裕福な商家でしかも堅実な家庭だ。
何が喜ばれるのか本当に悩んだ。
料理はリゲルも手伝ったと聞いて、「だからおいしかったんんだね」というと、リゲルが照れている。
一生僕のために料理を作ってくれないかなと思う。
だれにもこの可愛いリゲルを見せなくないと思う。
リゲルが席を離れている間に、リゲルの人柄に惹かれて、将来は結婚を考えて付き合いたいということを両親に伝えた。
アングリと二人とも口が閉まらないくらい驚いていた。
「あの子は知っているんですか?」と聞かれたので、ご両親の許可を得てから、アプローチをしようと思っていること、リゲルの気持ちがこちらに向くまで無理強いはしないことを告げた。
リゲルの両親はリゲルの人を疑うことを知らない性格と、抜けたところがあるので、商売人には向かないと思っていたことを教えてくれた。
僕は深く頷く。何故これほどまでしっかりした両親からあのリゲルが生まれたのか・・・。
「身分が・・」
「問題ありません」
「周囲の人間が黙っていないでしょう」
「決してリゲルが傷付いたり、不安に思うようにならないようにしましょう」
「まずはご両親の身分を貴族位にさせていただき、それでもまだ不安であれば、ご両親とリゲルが納得していただけるのであれば然るべき位の家に養子をしてもらってから、結婚してもらうのはどうでしょうか」
「はあ」両親は突然の話にビックリしている。
「どうして、そこまで」と聞かれて顔が赤くなる。
「リゲルが可愛いんです。素直で感情表情が豊かなところも可愛らしい。ずっと守りたいと思ったのは、初めてなんです」
「確かにリゲルはいい子ですけど、貴方様のそのお気持ちが冷めた時、あの子はどうなるんですか?」
「決して冷めません!」僕は情熱のあまりに大声を出してしまって、コホンと咳払いをする。
「心配されるお気持ちはわかります。私の気持ちは決して冷めませんが。結婚した時にリゲルに私有財産を一部譲ります。毎月伯爵夫人としての手当も入ります。万が一、万が一決してそんなことはありませんが、離縁した時は私の財産の半分を譲ります。全部書類に書き起こします」
私は必死になってプレゼンテーションをする。王の御前より緊張している。
「ほおー」
リゲルの両親は私の熱意に圧倒されている。
まだだめか。
まだ言い募ろうとしたところで、父親に止められる。
「私たちも欲をだしたいわけじゃないんです。あなたの気持ちを知りたかっただけなんです。それをわかってください」
僕はもちろんと頷く。
「貴族になることで商売も広がるなー」と父親が母親に言う。これは認められたということか?
「本当に。夢みたいな話です」母親が頷いた。
「それならこんな事業はいかがですか?」あらかじめ父親が気に入りそうな仕事の話を持ちかける。
「へー」とか、「ほー」とか言いながら、父親の頭の中は計算が回っているだろう。
母親にはリゲルがどれだけ学園で頑張っているか話す。
そして両親からはリゲルの幼少の頃の貴重な話を聞いた。どれもちょっと抜けているリゲルらしいエピソードだったが、心配になる。よく何事もなくここまで成長したものだ。
両親ならではのリゲルの情報をたくさん得た。
リゲルの話で盛り上がった僕たちはすでにリゲルを守る仲間のようだ。
「本当いい人に見初められて、リゲルは幸せものだ」
両親は頷いている。
リゲルの結婚に関してはリゲルの気持ち次第でと了承してくれた。
僕は満足して学園に戻った。
リゲルも同じ馬車に当然乗っている。
「いいご両親だな」
というとフカフカのクッションに埋もれたリゲルが嬉しそうに笑った。
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