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本編2-2

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 翌日、リタは部屋から出てこなかった。

 呼び鈴が見当たらず、マイラはベッドから離れて、リタの好きな果物を用意するよう使用人に伝えようと一歩部屋から出たら、ガチャリとドアが閉まり,もう部屋に入れなくなっていた。

 部屋のドアが開かない。リタが魔法で閉じこもっているのだ。今まで対人にはリタは魔法を使ったことはなかった。珍しいことだ。そこまで,怒らせたのか? マイラはジリジリと焦った。このまま拒絶され続けたらどうしよう。

 騙したようにリタの全てを奪った。
 リタはたくさんの人と付き合っていた割には、何にも慣れていなかった。特に男同士はどうなるかもわかっていないようだった。驚いたり、恥ずかしがったり、泣いたり、懇願してきた。

 マイラは全てが愛おしくて、余裕なく抱いてしまった。

 マイラは失敗したと思った。リタから離れたことで、リタがマイラに失望したかもしれない。
 リタは寂しがり屋なんだ。
 どうして離れたのか不安がって怒っているかもしれない。
 部屋のドアを何回も叩いて、「リタ入れてくれ、マイラだ」
 と何度も言うが扉は開かない。

 念のため窓の外にも護衛を配置し、自らは、ドアの前に陣取った。いつドアが開いてもいいように。 
 新婚初夜の翌日に新夫が、寝室を追い出されるなんていい笑い者だ。だけど、そんなことを気にしていられない。

 1日経って試しに押してみたら、扉が開くようになった。

 ベッドの中を覗くと、リタが子供のように包まって寝ている。

 顔には涙の跡がある。リタを悲しませてしまった。
 リタの背中に密着して一緒に寝る。

 しばらくして、リタが目を覚ましたようで、モゾモゾしている。「おれ許してない」とつぶやいている。
 「ごめんリタ」リタを泣かしてしまってマイラは後悔する。
 「リタが目を覚ました時に、好きなものいっぱい置いておこう思って、離れてしまった。おれが悪かった。リタ許してくれ」

 リタは真っ赤な顔になって、首が赤い。
 「おれ聞いてなかった。あんなことするなんて。あんな恥ずかしいことするなんて」
 「リタ? 怒ってないのか」
 「怒ってる。恥ずかしいことばっかりしてきた」
 「怒ってるのはそのこと? ベッドから離れたことを怒ってない?」
 「どうせおれのために離れただけだろ。そんなことよりなんであんなことをしたんだよ」
 マイラは離れたことに怒っていないとわかってホッとした。
 「あんなことって?」
 「いろんなとこ舐めたり。キスしてきたり、愛してるって言ったり、大事にするとか言いながら、変なことしてきた」
 真っ赤なリタをどうしてくれようとマイラは思った。

 「今までしたことない? 」
 「馬鹿にするな。キスぐらいある」
 「それ以上は? 」
 「長く続いたことがないし・・・それにあれは女にすることなんじゃないのか? 」
 マイラは神に感謝した。そしてこの目の前のかわいい供物をどうしたらいいか考えた。どうにかなりそうなのはマイラの方だ。
 「リタ、あれは愛しているって言う証拠だ」
 「愛?」
 「おれがリタを愛してるの知ってるだろ?」
 「知ってる。・・・おれもマイラが好きだ」
 マイラはうれしくてリタを抱きしめる。リタの愛してるが違う意味でも。今はうれしい。

 「結婚して愛し合っているからあれは普通のことなんだ」
 「結婚は偽装なんだろう」
 「偽装じゃない」

 「でも、最初に・・・」
 「艤装じゃないと言ったよ。リタ以外に結婚したい人はいない。おれは何回もリタに愛してるって言っていただろう。大好きだって。結婚していたら昨日の行為は普通のことなんだ。リタも慣れてくれ」

 「そんなぁ」
 リタは泣きそうだ。
 「大丈夫」マイラはリタの額にキスをする。
 「すぐに慣れる」

 マイラは笑顔なのに、リタは不安なものを感じて、逃げ出そうとしたが、マイラに簡単に捕まってしまう。

 「結婚したら毎日愛し合うんだよ。おれのリタ」
 その後、かわいい好きだと言われながらマイラにまた抱き潰されたリタだった。
 「真実の愛、リタとおれで育てよう」とマイラが言うから反抗しにくい。








 以前は、恋人がどこに出かけるのか、いつ誰といるのかが不安だったリタだが、結婚してから今はその不安は無い。

 毎日、騎士団に行って真っ直ぐ帰ってくる夫の方がリタに「今日は何してた? 誰といた?」とうるさい。1日中邸にいるんだから、使用人に聞いたらいいと思うが、リタの口から聞きたいという。

 どこに行くのもリタを連れ添って、いい加減、お前1人で行けと言うのもしばしば。

 毎日毎日しつこい位、愛しているのキスをしてくる。幼い頃から友達だったけど、こんなやつだったのかと驚くこともある。

 いや考えれば、友達だった時から、毎日毎日連絡をくれて好きだと言ってきていた。親友のそれだと思っていたから、リタもおれもだと言ってきた。

 もしかしてあの時からそうだったのか?
 「今頃気づいたのか? リタだけだよ。おれの想いに気づかないの」とマイラが呆れて笑っている。

 リタはマイラが気の毒に思えてきた。リタは恋人がいても、いつも不安だった。想い人がリタ以外の誰かと付き合うなんて論外だ。
 マイラは大丈夫だったんだろうか?

 「うーん。いい気持ちはしなかったけど、リタの1番すぐ側にいたのはずっとおれだったし、これからもずっとそうだって信じていたから大丈夫だったよ」
 そうやってマイラはリタを抱きしめた。
 「だけどもう、だれの所にいかないでね。リタはおれと結婚したんだから」
 「当たり前だろ。そんなこと」
 リタは自分がされたら嫌なことはしない。随分それで傷ついてきたから。
 
 「おれはマイラが好きだ。だがそれがマイラの好きと同じかわからない。それは気にならないのか」
 「キスしても昨日みたいなことをされても嫌じゃない?」
 「まあ、嫌ではなかったな。ひどく恥ずかしいばかりだった」
 真面目に答えるリタに、マイラはやられる。
 「それで十分だ。たぶんいつかリタも、その好きがおれと同じ好きになっていると気づくと思う」

 「すごい余裕だな。マイラはすごいな」
 その自信は昔からずっとたくさんの人に愛されているからだろうか? ポジティブだ。
 
 「リタが何を考えているかわかるけど、多分違うよ。なんて言ったらいいかわからないが、リタだけがおれの運命なんだって信じているからだよ。でもうまく言えない」
 リタがたとえマイラを拒否しても、絶対手放さなかった。ただそれだけだ。なんてマイラはリタに言えない。どこまでも自分勝手なおれを許してくれ。
 
 首を傾げてマイラの話をちゃんと聞いているリタにご褒美のキスをして、何度も愛し合ったのに今だに恥ずかしがるリタに、何度でも伝える。

 口付けと愛の言葉を。

 リタが目を閉じて、無防備にマイラを受け入れる。マイラがどれだけ嬉しいか。

 今日もまた朝まで寝かせてあげられない。










終わり

 
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