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突き抜けた腹黒第二皇子の執着がすぎる点について

5 兄の動向を知って

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 16歳の成人の儀式を終えても、兄上は皇太子になっていない。成人の儀式の際には近くで兄上を見ることができた。

 正装を着た兄上は幼さを残しながらも、ますます綺麗になっていた。

 おれを見かけるとキラキラとした銀色の目でにこりと笑うのも変わらない。何か口をパクパクしている。

 なんといっているかはっきりわからないが、「元気でいるか」と聞いているようだ。

 儀式の真っ最中にそんなことをしなくてもいいのに。おれはおかしくて仕方がなかったが、もう数年もたまにしか顔を合わせない生活をしているのだから、兄上もこの時しかないと思ったのだろう。



 おれが16歳になると成人の儀式の際に立太子もすると王から言われた。おれは立太子は成人の儀式を終えてからにしてほしいと頼んだ。

 王も渋々了承してくれた。王からの祝の言葉になんの感慨もない。髪の色だけでおれを選んだだけだとわかる。

 今年も兄上の誕生日を一緒に祝えなかったことが残念だ。贈り物をしたが、正妃に取り上げられているだろう。

 正妃からは徹底的に嫌われている。

 

 正妃と兄上はいまだに国民からは評価が低い。ずっと続く不作で、国民は食べるものもないのに、浪費をしすぎている。平民を見下しているなどの噂が出回っている。 

 この根も葉もないうわさは兄上の生活ぶりをみれば嘘だとわかるのだが、国民は兄上の生活を覗けないのだからわからない。そこに付け込んでいつまでもいつまでも噂が終わらないのは王が手を回しているからだった。飢饉ともいえる不作や民衆の不満を正妃と兄上のせいだと、問題をすり替えている。

 そしてなぜか兄上もこの噂を否定しない。



 いつか「レオが王になる方がいい。レオなら立派な王になれるよ」と言っていたことを思い出す。

 おれが王になったら兄上はどうするのだ。おれの傍にいてくれるなら、王になろう。

 しかし兄上はいつまでも妖精のようで、浮世離れしていているように感じる。ふわふわとした笑顔でどこかに飛んでいきそうな気がする。

 実際、ここ数日、影から兄が諸国を回っている神官を部屋に呼んだことを知った。長旅の用意もしているそうだ。

 おれに何も言わずにどこに行こうとしているのですか。

 おれは影から話を聞きながら片手でグラスを握り潰した。

 

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